616話 物資無限供給システム
〜マサルside〜
ウグリスの邪神復活を防ぐために、メグミと二人で暴露生配信をおこなっていたところ……
それまで一度も直接攻撃を受けたことがなかった<汚物変態のダンジョン>に、突如としてAランク以上のモンスターが押し寄せた。
「(数的に、コチラが不利な状況だ。豊富なマナと卓越した回復魔法の腕をもつメグミが、背後からバックアップしてくれれば、マシになるかもしれないが……)」
それだとダンジョンの最奥に引きこもり続けて、直接戦闘の経験皆無なアイツが、殺されてしまうリスクがあるので、俺だけで耐えるしかない。
<汚物変態のダンジョン>は、ダンジョンなんて名ばかりの洞窟で防御力皆無なので、ダンジョン内にいるからといって安全とは言えないけど……
それでも、スタンピードと見紛う数の高ランクモンスターと、肉弾戦で殺し合うよりは生存確率は高いはずだ。
「(まぁ俺や壁役のロックドラゴンが死んだら、ダンジョン内に押し入られて殺されちまうから、結局のところ俺次第なわけだが)」
とりあえず、先輩方に救援メールは送った。
生配信でも、襲撃者が現れた状況は伝わっているはずだし、俺が時間稼ぎをすれば先輩方が助けに来てくれると思う。
「(だけど味方の最寄り拠点から<汚物変態のダンジョン>までは、ロックドラゴンでも10時間かかる)」
スピード重視の飛行系モンスター部隊による救援が来るとして、3時間は耐えないと話にならないから、死なないようにしつつ中期戦の構えでいくぞ!
<汚物変態のダンジョン>の周辺を結界で囲い、メグミの安全を確保した俺は、召喚したモンスターと共にダンジョンの防衛に努めた。
まず重要なのは、飛行系モンスターを魔法で撃墜すること。
この作業をしておかないと、頭上から一方的に攻撃されてウザい事この上ないし、先輩方の救援が来たときの障壁にもなってしまうからだ。
「聖なる油の弾丸よ。邪悪な鳥に鉄槌を下せ……セントオイルガン! からの……ファイヤーアロー!! よしっ、焼き鳥完成! ざまぁ見ろ」
直接戦闘こそしていないが、メグミは配信カメラの撮影範囲外に、戦闘で使う道具の補給自販機を設置してくれたので、そこで買った油を使って焼き鳥作り。
魔法単品でも油を作ることはできるんだけど、水と違って油を一から作るとマナの消耗が激しく疲れてしまうので、無限補充できる環境はありがたい。
「うっ。物理防御結界、強化! ヒートショック!」
<−−− ガゴオォォォォォン!!!! −−−>
だが相手も知能をもつ高ランクモンスターゆえ、俺の意識が空に向いた隙にゴーレムスクラムを組み、タックルでダンジョンに押し入ろうとしてきた。
召喚で多少補ったとはいえ、モンスターの数・質共にコチラが負けており、勝っているのは位置取りくらいなので、その優位を活かそうと動くのは当然だ。
俺も負けじと結界を強化して、接触部分から熱が伝わり敵にダメージを与えられるよう、防御策をとったが……
スクラムを組んでいるのはオリハルコンゴーレムであり、多少熱が伝わったところで、「金属膨張により動けなくなりました」なんて事にはならない。
だがこの防壁を突破されると、メグミの安全が危ぶまれる状況になってしまうし、なんとかスクラムを崩して敵を退却させなければ!
<−−− モワ〜〜ン −−−>
「(ん、何だ? 心なしか、空気が茶色く濁っている気がする。というか、またダンジョン内にいたときと同じ悪寒が……。あっ、そういう事ね)」
冷静に見てみると、ダンジョン内から「汚臭成分100%の悍ましい風」が吹いており、それまで調子良く攻めていた敵方が乱れた。
スクラムを組んでタックルしてくるゴーレム達は、無生物系なので鼻もついておらず、ダメージも受けていないが……
後方で指揮をとっていたSSランクの水龍が、不意を突かれて汚臭攻撃をくらい、白目を剥いて座りこんでしまったのだ。
「クククククッ。ご愁傷様〜。ウグリスの膿栓とヘソゴマは、殺人兵器として採取してあるからな。直接戦闘になったら、ちゃんと鼻にぶち込んでやるよ!」
しかし、SSランクモンスターとしてTUEEEしたかっただろうに……哀れなものである。
水龍の実力なら、<汚物変態のダンジョン>を水没させる程度、容易いはずだが、それでウグリスが死ぬと主人が邪神に昇格させられてしまうため……
主人命令で過激な攻撃を禁止され、殺れる実力がありながら、指揮官として部下を動かすしかなかったのだろう。
その挙句、並外れた嗅覚が悪い方に働き、ウグリスの発酵した汚物臭で大ダメージを受けて、膝をつかされるとかドンマイ過ぎる。
敵対している俺としては、時間稼ぎができてありがたい限りだが、俺もメグミと戦ったとき似たような形でコケにされた事があるから、気持ちは分かるよ。
屈辱だよなぁ……でも、ざまぁ〜〜〜〜〜wwwww
今夜はテメェの肉をドラゴンステーキにして、屈辱感あふれる表情をスパイス代わりに思い出し、メグミ&救援部隊と一緒に食い倒してやる!
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)