表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

614/933

614話 暴露させたい派vsさせたくない派


〜とあるモブ魔王side〜




 危機感をもった俺は、大急ぎで「投票制による自治」に票を投じ、しっかり投票されたことを確認したあと、魔王掲示板で他の魔王にも投票を促した。


 モブでしかない俺が、ウグリス復活派の魔王もいる中でそんな事を表明したら、目をつけられて搾取されるんじゃ……って?


 もちろんその可能性はあるし怖いけど、あの根性ねじ曲がった暴君の極みみたいな野郎が、統治者に返り咲く方が問題だろう。



 それに俺は、ウグリスをサンドバッグにしまくったから、奴が神に返り咲き犯人探しをした時点で、諸々バレて詰む可能性が高い。


 そのリスクを考えれば、<農民>同盟の控えでしかない連中に目をつけられる程度、なんて事ねぇよ。



「おっ、サボっていた連中も動き出したな。そりゃあ、あんな生配信を見せられちゃ当然か」


 俺が投票したり魔王掲示板で広報活動している間にも、生配信ではウグリスの本音暴露が量産され、ヘイトを稼ぎまくっている。



『第十一問! ウグリス君は、魔王界のランキング制度についてどう思う?』


『どのくらい搾取しても死なないか、どういう形で搾取するのが向いているタイプか判断するのに、便利な指標だろう』



『何で?』


『不愉快極まりないが、<農民>同盟みたいに自活できるタイプは、細く長く搾取することでトータル大きく儲けられるんだ。だが、下位のゴミ共は……』



『下位の魔王達は?』


『ミッションで強引に人間と戦わせて、炎上商法で一気に生命エネルギーを稼ぎ、ダンジョンが攻略されたら残ったリソースも全て回収の方が、効率がいい』



『そうなの?』


『あぁ。どうせ初期投資したところで大して育たないゴミだし、炎上で命を燃やして使い捨てにした方が、費用対効果が合うからな』



『へぇ〜』


『ランキング下位80%は、いくらでも替えが効く駒だ。稀に下剋上する奴もいるが、そいつは細く長く搾取するパターンに切り替えればいい』



 こんなムカつく統治論を、元支配者だった奴が垂れ流すんだ。


 それもつい数十分前まで、綺麗事を並べ立てて「清き一票を」とか言っていた奴がだぜ。


 誰しも裏表くらいあるもんだと理解はしていても、あまりに酷すぎて人間不信になりそうだよ。






「逆に、メグミとマサルの株は上がったな。魔王自ら、あんな肥溜めの中に入っていき、未曾有の危機を食い止めようとするなんて……根性据わっているぜ」


 もちろん彼等の目的は、<小鬼>同盟の親玉である<農民>同盟が、邪神復活により滅ぼされぬよう、「自治案」に入る票を増やすこと。


 それくらい、バカな俺だって分かっている。



 だがそれでも、不恰好な作業着を身にまとい眉を顰めつつあの地獄に居座る根性は、認めるべきだろう。


 メグミに関しては、「<汚物ダンジョン>の主」でもあるから、若干「そっちの趣味があるの?」と思わなくもないけど……


 マジだとしたら触れちゃいけねぇ部分だし、先輩として後輩の特殊な癖をスルーしてやるのも、優しさだと思う。






「ん、どうした? ウグリスの暴露が止まった。何があったんだ?」


 慌てて配信が映っているモニターに目を向けると、メグミとマサルが慌てた様子で声を荒げている。



 仲間割れか?


 いや、ケンカしている感じでもない……どっちかというと(荒っぽいけど)不意の対応で司令等が二人いて、相反する指示を出しちまったっぽいな。



「マサルが、召喚魔法でモンスターを大量に喚び出している。メグミは、ウグリスの尋問に戻った。これは……要するに、邪魔が入ったってことか!」


 召喚魔法は便利だけどMP消費の激しい高難度スキルだから、いくら元勇者だろうと、何もないときに使いたくはないだろう。



 そもそも今は生配信中で、不特定多数の魔王がこの配信を視聴している。


 そんな中で己の能力をムダに晒すほど、奴は愚かな男じゃない。



「考えられるのは、近くを通りかかった冒険者が偶然ダンジョンを見つけた……とか? いや、でもそれはないな」


 俺は正確な所在地こそ知らねぇが、ウグリスのダンジョンは、ペナルティーで「根本的にポイントを獲得しにくい場所」に創られたらしい。


 つまり、近くを冒険者が偶然通りかかって……などというミラクルが起きる可能性は、ゼロに近いのだ。



「だとすると、ウグリスが本音を暴露して"自治制"に票が集まると不都合な連中の仕業かっ! メグミ&マサルごと、口封じしようとしているんだ!」


 もしウグリスを殺してしまうと、自分が邪神ポジションを押し付けられて、上のよりエゲツない神様にイビられると、分かっているから……


 サンドバッグ像を過度に殴ってウグリスを殺す奴は、誰もいないけど、気絶させて投票期間が終わるまで時間稼ぎするだけなら、睡眠薬一つで済む。



 メグミとマサルは強いが、見たところ大勢の部下を連れてきた感じじゃないし、今なら殺せると思ったのかもしれない。


「ウグリスのダンジョンは、ダンジョンなんて名ばかりの洞窟。ゆえに防御力も皆無! これは……あの二人、ヤバイんじゃないか?」

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
部下である元邪神<ウグリス>とそれがめちゃくちゃにした世界を厄介払いしたいはずの闇神<スティグマ>から見て、その部下が戻ってきかねない現状って、どう感じるんでしょうね? それを防ぐように動いた二人を…
うーん、やべーな。相手がどの程度の戦力かによるけど、早々に突破して撤退せんとアカンな。 マサルは大丈夫だろうけど、メグミはステータス自体はともかく戦闘経験ほぼないし。 あとの広報活動は配信を見てた白票…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ