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613話 他人事から自分事へ


〜とあるモブ魔王side〜




 何十年経っても上がらない魔王ランキング、努力しても報われず"その他大勢"扱いされる毎日に、俺は嫌気がさし……


 最低限の仕事だけして、あとは豪華な自室に引きこもる、怠惰な生活をおくっていた。



 当然、今回きた闇神の投票案件にも応じる気は一切なく、良くも悪くも何も変わらない日々を過ごしている。


 最近の趣味は、エリートだったのに転げ落ちた元邪神<ウグリス>の、無様すぎる生配信を見て、サンドバッグ像をシバきストレス発散することだ。



 考えてもみてほしい。


 ただ生きているだけのクソつまらない人生で、自分の惨めさを嫌という程感じている俺が……


 友達すらできない引きこもり生活の中、できるストレス発散法といったら、自分より下の奴を見て、バカにして心の安らぎをえることだけなんだ。



 特に、坊ちゃん育ちの新米魔王が落ちぶれる様子とか、エリートだった奴が何かの拍子で転がり落ちるところとか……見るだけで酒がすすむだろ?


 他人の不幸は蜜の味。



 そんな、まっとうなエリート様に知られたらゴミ扱い間違いなしな、クソッタレな趣味をもつ俺にとって、ウグリスの生配信は最高のオカズだったんだよ。


 配下のモンスターが汲み取りしているとはいえ、排泄物まみれで虫湧きまくりの部屋で配信してやがるから、絵面は汚いけどな。






 そんな俺が、いつものようにベッドに寝転び邪神の生配信を見ていたある日のこと、突然二人の男が<汚物変態のダンジョン>に侵入し……


 ウグリスをゴーレムで拘束して、尋問生配信を始めやがった。



「あの顔は、たしか……メグミとマサル? チッ! エリート様が何の用だよ。その掃き溜めはテメェ等がくる場所じゃねぇんだ。とっとと帰りやがれ!」


 だが土下座して必死に票を乞い、いい感じのオカズになっていたウグリスの本音を聞いて、俺は危機感をもつ。



『ウグリス君〜、第一問いくよ〜。貴方は、自分をサンドバッグにした魔王達をどう思っていますか?』


『八つ裂きにして殺したいに決まっているだろう! いや、八つ裂きじゃ足りん。臓物を全て引き摺り出して、切望という言葉すら生温いやり方で殺してやる』



「おい、ふざけんなよ! サンドバッグ化されたのは、テメェが苛政を敷いてチクリを入れられ、上の神様達から処分されたからじゃねぇか!」


 なぜ当然の権利を行使した俺まで、恨まれなくちゃならねぇんだ!!



『そうだ! 先輩方、申し訳ないんですが暫くサンドバッグは勘弁してやってください。本音を聞き出しづらくなるんで』


 いいぞ。


 普段ならメグミの頼みなんざ絶対に聞かねぇが、この話は俺の生死にも関わる一大事だし、言うとおりにしてやる。



『いや、違うっ! おぃ貴様等、卑怯だぞ! 俺が理不尽極まりない災いにかかっているのをいい事に、好き放題しやがって!』


 そしてウグリス……テメェ、本性出しやがったな!


 散々シバかれて分を弁えたと思ったのに、今までの態度=演技だったとは……よくも騙しやがって!!






 怒りのあまり力が入りすぎて、買ったばかりのシルクのパジャマが破けてしまったが、そんな事どうでもいい……今は、この生配信に集中するべきだ。


『ではでは、第二問いきま〜す。ウグリス君。貴方は、今回の投票で邪神に復活できたら、何をしますか? 優先順位の高いモノから挙げていってください』



『まず神である俺がこのような目に遭い、魔王風情にナメられぬよう、密告ルートを完全に潰す! そして元凶である、<農民>と<小鬼>を惨殺する!』


『ふむふむ』



『それが終わったら、苦境に陥った俺をサンドバッグにしやがった、存在価値すらないゴミ共を一掃する! 奴等程度、代わりはいくらでもきくからな』


『なるほど』



『最後に、投票で俺の復活に票を投じなかったクソ共も、生き地獄へ叩き落して、魔王共を全員奴隷化。徹底的に搾りとり、闇神への復讐の足掛かりとするのだ!』


『へぇ〜、そうなんだ。メグミ、ウグリスの話を聞いてどう思った?』



『どうって……幼稚すぎて話にならない。そこら辺の石として生まれて、妄想オ○ニーを垂れ流すならともかく、コイツ……他人の上に立っていたんだよ』


『だよなぁ。上に立つ者なら、それ相応の振る舞いが要求されるし、納税者である魔王を虐げる気満々の奴にその資格はない。コイツ、神に戻しちゃダメだろう』






 ごもっとも。


 メグミもマサルも、スペックの高いエリート野郎で気に入らねぇが、俺達に復讐する気満々の奴に権力を持たせちゃいけねぇよ。



 ホイッスネルやガブリが、魔王掲示板で「一旦元の状態に戻して、ゴミ掃除をした後また失脚させれば〜」云々言っていたけど……


 これじゃ、ゴミ掃除のついでに俺達まで掃除されてしまうじゃねぇか!!



 反省した、俺はちゃんと投票するぞ!


 無投票も白票もダメだ、きちんと「投票制による自治」に賛同して、二度とウグリスを権力の座に戻さぬよう尽力する!!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
なんか今の日本みたいだぁ…
よく妨害パンチ入らなかったなぁ 敵さんは配信見てないのか?
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