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611話 勇者二人の珍道中


〜メグミside〜




 いくら汚物野郎と直接対面したくないからといって、この切羽詰まった状況で逃げ出す気は、僕もマサルもなかったので……


 僕もすぐ彼の返答に賛同し、二人で<汚物変態のダンジョン>へ行くことを決めた。



 モンティート先輩は、ものすごく申し訳なさそうな様子だったけど……


 魔王ランキング1位の先輩は、行動するだけでヘイトを稼いでしまう存在だし、肉体強度的にも不安があるから仕方ない。


 主人不在で手薄になる僕等のダンジョンを代わりに護り、<農民>同盟の先輩達と協力して、「モチベ底辺組」の票買収を進めてくれれば十分だ。



 もっとも……


<−−− ドスドスドスドスドスッ!!!! −−−>


 移動時の負担を軽減するアイデアは、時間に余裕が出来てからでいいから、考えて欲しいです。



「(あぁ、ロックドラゴンの衝撃で死んでしまった細胞達よ……サヨウナラ。君達の犠牲はムダにしないからね。クスンッ)」


 比較的安全なダンジョン最奥に引きこもっている僕にとっては、肉体と回復魔法を鍛えるいい訓練になるんだけど、常人の移動手段には向かないのよ。



<−−− ドスドスドスドスドスッ!!!! −−−>


「へぇ〜。ドラゴンといっても"岩"だからトロいと思っていたけど、風魔法でアシストしてやると、案外早く走れるんだなぁ〜。便利じゃん!」



 若かりし頃の先輩方……そしてマサルのような逸般人は、アザ一つ作ることなく容易にロックドラゴンを乗りこなし……


 その状態で笑いながらお茶を飲む余裕まである訳だけど、僕・スティーブ・カルマのような凡人にとっては、殺人マシーンと同義だから!!






「って、あれ? 衝撃がこなくなった……ような?」


「おぅ。メグミの方にも、風魔法でエアークッションを敷いたから。これなら、多少は耐えられる……って、えぇ〜っ!!」



<−−− オロロロロロロロ…… −−−>


 うん、たしかに痛みはなくなった。


 なくなったけど……グワングワン肉体が揺さぶられる感覚と、断続的な浮遊感は、三半規管に大ダメージを与える。



「召喚:クリーンスライム。メグミの所へ行って、奴のゲロを掃除してやれ。これからゲテモノと会わなきゃいけないのに、前菜まで食いたくねぇからな」


「なんかスミマセン」



 同じ勇者といっても、攻撃手としてダンジョンを巡り俺TUEEEしてきたマサルと、引きこもり専門家の僕じゃ丈夫さが段違いだね。


 僕も、回復魔法の応用で<クリーン>を使えば、多少の粗相くらいは誤魔化せるんだけど、魔法の使いすぎでポーションを飲むとさらに酔っちゃうので……


 移動中は、全面的に甘えさせてもらいます。






 そんなこんなで、(僕だけ)地獄の移動を続けること10時間……ようやく、ウグリスが暮らす<汚物変態のダンジョン>へたどり着いた。


 本音を言えば、数日休憩してから満をじして乗り込みたいところだけど、投票の残り時間はすでに10時間を切っている。



 早くウグリスを拷問……ゴホン!


 生放送されても、他の魔王に引かれない程度に尋問して、<状態異常:正直者>の効力を引き出し、奴の邪神復活を阻止せねば!!



「ストップ! メグミ。念のためにこのギフト玉を食っておけ。モンティート先輩とアスタリア先輩が護ってくれているとはいえ、保険は必要だ」


「うん。ありがとう! いただきま〜す」



 弱体化したとはいえ元神様の元へ向かうということで、心配してくれたモンティート先輩とアスタリア先輩は、必要以上に呪い対策をしてくれた。


 だから僕等の肉体は、清らかさの象徴である<水>と<聖>属性の精霊に包まれているし、呪い対策の護符も10枚以上装備している。



 だがマサルの言うように、念には念を入れた方がいいだろう。


 もし僕等に万一の事があって、それで怒った先輩方がサンドバッグ像をタコ殴りにし、ウグリスを殺してしまったら強制邪神昇格の刑だし……


 さすがにないとは思うけど、マサルの<口は災いの元>みたいな、一発逆転のナニカを仕込まれていたら面倒だもん。



 マサルの能力玉は、自分だけでなくソレを食べさせた他者にも、一時的にバフを盛れるチート能力なので……


 その恩恵を受ければ、僕だけ呪詛トラップに引っかかりマサルの足を引っ張る、情けなさすぎるパターンはなくなる。






「それにしても、僕等二人で現場に出向いて協力する日が来るとはね。なんか、感慨深いや」


「最初は敵同士だったもんな。これで任務が、神秘的なダンジョンとか秘境の探索だったら、物語に出てきそうな友情ストーリーなんだけど……」


「アハハハハッ。行く場所が<汚物変態のダンジョン>じゃ、汚すぎて絵にならないね」



 さてと……気持ちを切り替えて、「ウグリス詰め詰めモード」に入ろうか。


 感慨に浸っている間にも時間は過ぎていくし、残り時間が減るほど「もう投票しちゃった」という魔王も多くなるから、まずはきちんと任務をこなす!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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