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610話 一人より二人で


〜メグミside〜




 狼狽していたせいで、どうしてそうなったのか経緯は把握できていないけど、眉を顰めて思考タイムに入ったモンティート先輩が、突然僕の方を向いた。


 そして何か言いたげにジーッと見つめ、「いやいや」と首を振ってまた思考タイムに入る。



「(もしかして、<小鬼>同盟のリーダーのくせに狼狽えている僕を見て、幻滅しちゃったのかな? いや、でもそんな雰囲気じゃないぞ)」


 先輩の表情は、バツが悪そうな感じというか……悪い点数のテストを親に見せたくない、受験期の子供みたい。


 つまり僕を責めているのではなく、何方かというと負い目を感じている、って解釈の方が正しそうだ。



「先輩。僕にできること、何かありますかね? 遠慮なく仰ってください!」


 こういう時は、ヘタに自分で考えず先輩に丸投げしてしまうのが吉。



 だって、この場面でという事は……たぶん投票関連でしょ?


 もう残り20時間ない状況で、チームのトップである先輩に悩まれたら、動き出すのが遅れて間に合わなくなるかもしれないじゃん!


 それなら多少無茶振りだろうと、早めに言ってもらって「実行可能かどうか」を判断し、成功率が高い状況で動く方がいい。



「うん、そうだね。悩んでいても仕方ない。メグミ君。マサル君をこの場に呼んでくれるかな? 君と彼、何方かにやってもらいたい任務がある」


「…………!! 分かりました!!」






 先輩から指示が出たので、メールでマサルをこの場に呼び、僕自身も聞く体制に入る。


 「僕等二人のどちらか」ってことは、それなりに高難度かつ危険な仕事なんでしょ?



 そして先輩達でも遂行不可能……もし可能なら、僕等を呼び寄せる前にゴーブル先輩やナーティー先輩を動かして、パパッと片付けちゃうもんね。


「(少し怖いかも。でも、頼りにされている気がして嬉しい。たぶん、身体を張る系だよね? ドキドキするよ)」



 待つこと5分……頭を冷やすと言って水風呂に浸かっていたマサルが、身体を震わせながら戻ってきた。


 そこまで冷やすと、かえって頭の中が「寒い」ばかりになり、考えるキャパも減る気がするけど、狼狽て半泣きになっていて僕にそれをツッコむ資格はない。



「先輩、お疲れさまです! メグミもお疲れさん。ふぃ〜、バッキバキに目ぇ冴えたぜ」


「「お帰り〜」」



 で……先輩、二人とも揃ったし早速お仕事の内容を聞かせてください!


 「お前が邪神になれ」と言われたら心折れるけど、それ以外だったら即答で承諾しますよ!!






「ゴホン! じゃあ、お言葉に甘えて……二人の何方かに、お願いしたいミッションがあります。ウグリスのダンジョンへ行って、奴を尋問してくれない?」


「「えっ!?」」



 ランキング上位の魔王と戦う系とか、先輩達じゃ身体がもたない鬼畜移動を想定していたら、予想外の言葉が返ってきた。


 <汚物変態のダンジョン>へ行って、ウグリスを尋問?



 たしかに臭いし汚いから、女性陣はもとより、免疫が弱っている可能性もある先輩達には任せたくない仕事だけど……アイツ、何の力も持っていないよ?


 ボコったところで1票しか出てこない相手を甚振っても、この短期決戦じゃ結果は変わらないんじゃない?



「まぁ、これだけじゃ理解できないよね。ウグリスは現在、マサル君のおかげで<状態異常:正直者>に罹っているでしょ? しかも配信中」


「「あっ」」


「そう。その配信を利用して、奴の正直な言葉を視聴者に届け、"投票しないとこのゴミが自分達の支配者に返り咲いてしまう"って危機感を煽るんだ」



 なるほど、それなら短時間で多くの魔王に情報を伝えられるし、やり方次第では危機感も煽れるだろう。


 なにせ、ウグリスは根っからのクズ野郎だ。


 現在はシバかれ倒したせいで大人しくなっているけど、状態異常で本心をあぶり出してやれば、すぐにボロが出て魔王達のヘイトも限界突破する。






「「分かりました。僕(俺)が行きます! あっ……」」


 先輩の言っている意味が理解でき、僕等しか遂行不可能な理由も察せたので、1秒でも早く現場へ行けるよう名乗りを上げたら、マサルと被ってしまった。



 先輩的には、言い出しっぺの自分ではなく後輩を現地に送りこむという、パワハラ仕草が嫌みたいだけど……僕等にとっては、なんて事ない任務だもん。


 そして僕にもマサルにも、「自分がやった方がいいかな」と思う理由があるし、承諾被りは仕方ないと思う。



「え〜っと、ジャンケンする? 負けた方が行く感じで」


「いや、俺とメグミの二人で行きますわ。ダンジョンの護りだけ、お願いしてもいいっスか?」



 そして僕が考えていたことを、マサルが口に出して先輩に伝え、二人で<汚物変態のダンジョン>へ行くことが決まった。


 状態異常を与えた張本人で、その解釈にも詳しいマサル。


 そして彼より魔王歴が長くて、ダンジョンの仕組みについても熟知している僕……何方かが行くより、二人で行動した方が任務の成功率も上がるだろう。



 もっとも……<汚物変態のダンジョン>は、その名のとおり行くだけで穢れてしまう危険区域だから、犠牲者の数が増えるってデメリットもある訳だけど。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
3択から、最もやばい選択肢を、排除する さて、どれになりますやら
同じ力を持った勇者と魔王が協力して悪しき神を倒す!という美しい構図(なお相手側の絵面が終わってることは気にしないこととする)
あー、仲間になってからもずっと不憫でならなかったマサルがやっとメグミとダブル主人公共闘!みたいな真っ当なシチュで活躍してくれるのか……してくれるよね? またマサルだけ汚れ役を引き受けたりしないよね? …
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