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607話 究極の二択


〜メグミside〜




 「神界のお偉いさん達は、この件をどう処理するのだろう?」と思っていたら、現場に押し付ける気満々の通達文が届いた。


「これだけシバき倒したウグリスを、また邪神に戻して権力なんて持たせたら、絶対復讐されるじゃん。実質、選択肢一つじゃん!」



 ウグリスをサンドバッグにしたり、嫌われ者投票で奴に票を入れた魔王は、アイツに権力を持たれると人生詰むので、絶対に復活なんてさせられない。


 24時間以内にイジメ抜いて精神を崩壊させ、ぶっ壊した状態で神の座に戻して、責任だけ全て押し付けるって案もあるけど……


 強強神達のチート能力で奴が正気を取り戻してしまったら、これまでの苦労が水の泡なので、そういう可能性も踏まえるとリスクはおかせないのだ。



「モンティート先輩。もちろん僕達は、"自治制"を選ぶべきですよね?」


「うん。自治制も自治制でリスクの宝庫だけど、邪神の統治に戻るよりはマシだし、僕等の選択肢は決まっている。ただ……」



「ただ?」


「これは、思ったより票……割れるかもね」


「えっ?」



 嫌われ者ランキング、非公式ながらトップのウンコマン……失礼!


 ウグリスが、再び自分達の上に立つ選択肢なんて、本人以外誰も選ばないでしょう。



「選ぶよ。少なくとも、<農民>と<小鬼>を邪魔に思っている魔王は、嫌がらせもかねてウグリス再選を選ぶ可能性が高い」


「えぇ〜。そこまでして、他人の足を引っ張りますかね?」






 僕は、あの汚物野郎がまた偉そうにミッションを垂れ流すくらいなら、ライバルの意見が通る可能性もある自治を選ぶけど、先輩の見解は違うみたい。


「一人一票なら、派閥を形成して物事を有利に運べるから、ほぼ確実に"自治"になっただろう。だけど、闇神の提示する自治はポイント制だ」



「え〜っと、つまり……先輩達の意見が通りやすいから、<農民>をライバル視している魔王は、邪神復活を選ぶ……ってことですか?」


「うん。ウグリスは、他の魔王達にもボコられて恨みを溜め込んでいるけど、直前のミッションで分かったでしょ? 誰を一番恨んでいて、潰したいのか」



 なるほど。


 つまり<農民>をライバル観している上位陣は、邪神が復活して<農民>と<小鬼>をパワハラで潰した後、また責任問題で散ってくれるのが……


 自分達に権力のイスが回ってくる、もっとも都合がいい展開なので、派閥の新人の票も全て使って、「邪神復活」を推す……と。



 もちろん自分達が目をつけられたり、<農民><小鬼>を潰した後、邪神が失脚せず残ってしまうリスクもある訳だが……


 「保有ポイント=人権」の自治制に移行すると、<農民>同盟が魔界の支配者になってしまうので、そうなるくらいなら一か八か賭ける……って読みだ。






「ポイント制ならともかく、今回の二択は"一人一票"持っているからね。"僕等憎し"の連中が、派閥の人間を巻きこめば、かなり邪神復活票は伸びるよ」


「なんというか……組織票、ウザいですね〜」



「うん。それを完全に回避する手段も、あるにはあるんだけど……」


「えっ!? じゃあ、それやりましょうよ!」



「…………。24時間以内に、サンドバッグ像をマジ殴りしてウグリスを殺し、僕達の誰かが邪神へ昇格することで、強引に二択を回避する策だよ?」


「あっ、それはダメっすね」



 たしかにウグリスが死ねば、復活もクソもなくなり自動的に二択問題も消え去るけど、それじゃ邪神昇格した人に負担が集中する。


 「自治制の場合、僅かしか納税ノルマは課されない」って書いてあるけど、たぶん一人だけ邪神に昇格して、これまでの形式で統治するなら……


 闇神からの激詰めと厳しいノルマに追われ、かといって仲良くしていた僕達から法外な取り立てをする事もできず、新邪神は窮地に立たされるだろう。






「ウグリスが復活するくらいなら、僕が生贄として邪神になってもいいけど……」


「絶対ダメです! 神界は怖〜いところなんですよ。先輩みたいに穏やかなお爺ちゃんが行ったら、数ヶ月で潰されちゃいます!」



 9人の安全が護られるからといって、一人を生贄として捧げ、仲間と連絡すらとれない環境で苦しめるなんて、絶対に嫌だ!


 だけど……もし組織票でウグリス復活が選ばれると、10人全員がまた命の危機に晒されることに…………。



「ふふふっ。メグミ君、泣かないの! 僕以外誰もいないとはいえ、もう君も"お兄ちゃん魔王"なんだからさぁ〜」


「そう言われても……。サーシャとか後輩の前では、泣きませんもん」



 モンティート先輩の読みが外れて、ウグリス排斥のまま自治制に移行してくれたら、万事丸く収まるんだけど、それって贅沢な望みなのかな?


 24時間じゃ、投票権を持つ魔王への根回しにも限界があるし……もし、先輩の不安が現実のものになってしまったら…………。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
そういえば、邪神に攻撃を加えられないけど、上級の神には、証拠を持っていけるんだな
元勇者で魔王のマサルが邪神になったら、どうなるのだろうか・・・・・・・・?
自治にしたら、農民小鬼の天下になるから、絶対にやだよ 過半数の中から一人選んでも、マサルに攻撃されるリスクかあるから、実質邪神一択だな
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