602話 ゲテモノは食いたくないんです
本人の意思に関わらず、聞いたことには何でも答える正直者体質になってしまった、"穢れ神"の尋問はスルスル進み……
わずか半日で全ての悪事が包み隠さず暴露され、派閥全員の知るところとなった。
また思ったことは正直に喋ってしまう状態異常のせいで、日頃ライバルや上司に抱いている不満まで、バカ正直に伝えてしまった邪神。
その中には、「偉そうなことを言っているけど<ピー>が小粒」「毎度、一本鼻毛が"こんにちは"しているの……お笑い芸人でも目指しているのか?」等……
言うとモロに反感を買う爆弾発言も数多混ざっており、たとえこの場を乗り切れても、邪神の出世の道は完全に閉ざされてしまう。
そんな完全に詰み形の邪神だが、諸々の暴露を聞き終えた神々も、「コイツをどう処分するべきか?」悩み、なかなか裁定がおりない。
考えてもみてほしい……汚物まみれの性格最悪神だぞ?
降格させて僻地に左遷しようにも、汚すぎて受け入れ先が拒否する。
だからといって、一思いに殺すのは甘すぎる処分だ。
殴る蹴るをすればもれなく手足が汚れるから、鉄拳制裁を与えるのも難しく、呪いを重ねが消したところで、本体がすでに"人生終わった状態"。
これ以上の苦しみを与えることは難しく、せめてもの仕置きとして肉体を逆さ釣りにし、漏れ出た下痢が顔の方へ流れる状態で、邪神は放置されている。
「どうする? あんな汚物、どんな僻地だろうと引き取りたい者などおらぬぞ? 他派閥に奴隷として売り払うことすらできん」
「誰も、自分の屋敷を穢す"糞神"など欲しくはありませんからね」
「降格は当然として……どぞこで、一生プライベートなく働かせるのは?」
「ダメに決まっておるだろう! 使ったもの全てがウ○コ臭くなり、そのフォローで周りの仕事が増えるだけだ」
鼻に溜まるウ○コを、フガフガと鼻息で吹き捨てながら、己の処遇について聞き耳を立てる邪神は、あまりの惨めさにボロ泣きしているが……
「弱者は助けたい姿をしていない」の典型例になっており、誰一人、手を差し伸べてくれる者はいない。
ただ派手に屁をこくと、イラついた上司神が雷を彼に直撃するよう落として、やらかした肛門を焼くだけだ。
そして、邪神が雷を落とされること50回……半日以上経ったところで、ようやく一人の神が「良いことを思いついた!」と手を挙げた。
「邪神の神格を奪い、アイツが管理する<サルトー区・ポルカト界>の魔王に堕としてはいかがですか?」
「「「「「「「「「「それだっ!!!!」」」」」」」」」」
邪神は、メグミ達が暮らす世界を含めた4つの世界の闇を支配する神だが、<状態異常:魔王化>で魔王と同列になってしまった以上……
支配者として魔王達に飴と鞭を与え、適切な管理と上納をおこなうのは難しい。
厳しいミッションを発令すれば、それは自分の首を絞めるのと同義になり……逆に甘過ぎると、魔王達が緩んで勢力争いで聖属性神派閥に負けるからだ。
だが神の座を追放して、文字通り「ただの魔王」にしてしまえば、状態異常があっても関係ないし、クサイ汚物を合法的に神界から追放できる。
また邪神が管理を任されていた世界のうち、<サルトー区・ポルカト界>以外の3界においては、後任の神を自分達の誰かから出せばいい。
永久のときを生きる神々にとって、「出世したくても上が詰まっていてムリ」問題は深刻な悩みであり、この3界を引き継ぎたい者は大勢いるのだから。
「コイツは現場の魔王達にも随分嫌われているようですから、ただ魔王に堕とすだけじゃ数日で殺されてしまうでしょう。絶妙な配慮が必要かと」
「そうだな。逆に強くしすぎて、"恨み晴らさでおくべきか"と魔王共を食いまくられても、またリソースが不足して困る。絶妙な塩梅がいいだろう」
「そうですね。早速、"邪神にとって絶望的"かつ"すぐに死ねない条件"を模索いたします」
妙案が出て、満場一致で邪神の神界追放処分が決まったことで、晴れ晴れした表情を浮かべる神々だったが……
上司神が述べた次の一言で、皆一様に固まった。
「ところで、<サルトー区・ポルカト界>は誰が引き継ぐ? 邪神の神格をはぐ以上、あそこにも誰か管理者を置かねばなるまい」
「「「「「「「「「「…………。(絶対に嫌だ! 神にこんなエゲツない仕打ちをする元勇者とか、追い落とす気満々のチクリ魔がいる世界の管理とか)」」」」」」」」」」
彼等は、美味しいポストには争ってでも座る強欲者だが、地雷臭しかしない部下とウ○コ臭漂う神殿が待ち受けるポスト……
そんな罰ゲームみたいな場所を引き受けるほど、バカじゃない。
「申し訳ございません。邪神の気持ち悪い姿を見ていたら、私まで体調がですね〜〜〜〜〜〜〜〜」
「あっ、しまった! 申し訳ございません。管理する世界のイベント中で、絶対に外せない時間帯にっ!」
「あぁ、いけない。突如、ふしだらな欲求が頭に浮かんでまいりました。邪神のように無礼を働く前に、失礼いたします!」
その場にいた神々は、我先にと「それっぽい用事」をでっちあげ、理由をつけて帰っていく。
そして数分後……「逆さ釣りウ○コ」がプラプラしている現場には、上司神ただ一人が残されたのだった。
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)