601話 これでも彼は神様です
上司神<闇神:スティグマ>の血で染められた召喚状……それを見た邪神は、恐怖のあまり腰を抜かして泣き喚いた。
その書状は、下界でやり取りされるただの手紙とは違うのだ。
受取人が手に取った瞬間その体に"呪い文字"が巻きつき、ターゲットが抵抗しても、無理やり書状に記された命令を実行させるという……
受け取ったら詰みの、呪いアイテムなのである。
ここで、現在の邪神の状態を確認してみよう。
まず<状態異常:汚臭地獄>のせいで、身体のあらゆる部位から垢がこぼれ落ち、顔の穴からは嗅ぐだけで気絶モノの排泄物が……。
そしてワキガ&スソガ&足臭&尻臭が際立ち、1km先にいても存在を感知できるほど、汚物としての格が高い。
また「口臭=ドブの臭い」なので、何か問われて答える際、相手に対して自動的にドブ臭攻撃をくり出すことになる。
トドメに屁が止まらず、常時ブーブー鳴っているうえ、スカベンジャースライムをパンツ代わりに履いているとはいえ、時々傍から下痢が漏れる。
さて、この状態で「偉〜い神々の集まり」である審問会に向かうとどうなるか?
そんなもの、火を見るよりも明らかだろう。
「嫌だっ、嫌だぁ〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!!」
この前ボコられた事もあり、心底それを理解している邪神は、パニック状態に陥りながら必死に抗ったが、すでに彼の手には"呪い文字"が巻き付いている。
上司神の血で作られたその呪いによって、嫌がる邪神は詰問状に引っ張られる形で、ズルズルと引きずっていかれ……
身体全ての穴から汚物を垂れ流した状態で、上司神が待つ「大邪神の城(当然清潔)」へと連行された。
さて、呼び出した上司神だが……まさか邪神が、「汚物の極み」ともいえる格好で、人事権を持つ自分の前に現れるなど、思うはずもなく……
突如訪れたパンデミックに慌てふためき、邪神を怒鳴りつけ……そうになったのだが、息を吸った時点であまりのニオイに吐き気が込み上げてきて……
その場でうずくまり、他の参加者共々、食べたばかりの昼飯を吐いてしまった。
だが、さすがは神界隈の中でも闇属性最大派閥を率いる闇神。
胆力も超一流であり、すぐにメンタルを立て直して、臨機応変に結界を張り、邪神の汚臭攻撃をガード。
そして……それを見ていた派閥に属する神々も、上司をマネして結界を張り……器用な者は防護服も生み出して身を守る。
ガードしたところで、視界に映る「生理的に受け付けない汚物神」の存在は消えず、今からコイツを何日間も詰問することを思い……
どの神も、内心「帰りてぇ」とモチベーションだだ下がりだったりするが、ここで逃げると"この汚物"を解き放つ事になるため、諦めて仕事と向き合う。
「一応、言い訳を聞いておこうか? なぜ貴様は、神聖なる我が城にそのような姿で参ったのだ? 10秒以内に答えよ」
「はっ! 支配下に置いた元勇者の魔王に、<状態異常:汚臭地獄>の災いを与えられてしまい、止めようとしても汚臭が噴き出すのでございます!」
そして邪神は<状態異常:正直者>の影響で、聞かれた問いに嘘偽りなく答えてしまう、誠実モードに入っている。
通常、詰問時に一番大変なことは「罪を逃れたい相手から正確な情報を得ること」であり、その対策として拷問等が用いられるのだが……
何もせずとも、聞くだけでペラペラ喋ってくれるため、その手間が全面的に省けた。
「なぜ勇者ごときに、神である貴様がハメられたのだ? それなりの力を持つとはいえ、所詮勇者は下界の人間。神とは格が違うのだぞ」
「詳細は分かりませんが、勇者を害する宣言を3回すると災いがふりかかるトラップを、其奴に仕掛けられており、それにハマった次第でございます」
「何度だ? 貴様のステータスを鑑定した。状態異常が3つあるぞ? 何度、罠に引っかかったのだ? このマヌケが」
「3度でございます! 途中で気づき対策したのですが、勇者への害意を抑えられず、対策後もなぜかトラップが発動してしまいました!」
「そもそも、なぜ貴様は勇者に罠を仕掛けられたのだ? 魔王と勇者が敵対するのは当然として、その勇者は貴様の配下……つまり魔王になったのだろう?」
「はっ! 日頃から私の邪魔をしてくる、小賢しい魔王共の仲間になろうとしたため、パワハラで潰そうとしたところ反撃されました!」
「自業自得ではないか。それで、貴様の管轄界から上がってきた"ミッション発令時の不正"についてだが……事実か?」
「はい! ルールの穴をついて私の思惑を潰す、憎たらしい魔王共の資産を、狙い撃ちで全没収してやろうと、意図的に命の危機にさらしました」
「そうか。で、経緯と貴様のパーソナルデータを見るに……その魔王達にもしてやられ、股と乳首が消え去って、神のくせに生き恥を晒している……と」
「申し訳ございません! 全て元勇者<マサル>と、私に逆らう魔王共が悪いのです。この災いから解放してくだされば、今すぐ奴等を殺してゲブゥッ!?」
「全て、貴様の愚かさと弱さが招いた事態であろう。下界の者のせいにするな!」
ごもっともである。
だが闇神……そんなに邪神と喋ると、結界越しとはいえ穢れが移るぞ。
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






