593話 気分次第でoffにできる保険
久しぶりに想定通り事が運び、喜びとマサルへの加虐心が限界突破して、「エクスタシー」と叫びながら"実入りの屁"をぶっ放した邪神は……
ついでに元気になった<ピー>も解放して、快楽に浸ろうとしたところで、設置しておいた探知システムから警告をくらった。
<−−− ビイィィィィーーーーーーーッ!!!! −−−>
『元勇者<マサル>のトラップ型ギフトに、先程の発言が引っかかりました。あと1アウトで、再び災いが降り注ぎます』
たとえ上納リソースを積んで、派閥内での序列が回復したとしても、上司の神殿に挨拶へ行くことすらできない、汚臭地獄に落ちた邪神は……
マサルの脅威を再確認して、何を仕掛けられても対策できるように、防御プログラムを作動させていたのだ。
もっとも……「さぁこれから!」というタイミングで横槍を入れ、最近お疲れで元気がない<ピー>の、解放チャンスを潰した警告音に、邪神は不満タラタラ。
怒りの向くままに警告装置をぶっ壊し、側仕えのスカベンジャースライムが泣くほどの発散タイムを終えた後、賢者となりその愚行を悔いたのだが。
「ハァ……、ハァ……、ハァ……。さっきの発言が引っかかった〜云々書かれていたな。つまり、俺が奴を害すると表だって言うと、アウト判定されるわけだ」
マサルが何重にも隠蔽しており、<聖>と<闇>の属性的相性もあって、邪神はマサルの<口は災いの元>ギフトの詳細を把握できていない。
だがおおよそでも発動条件が判明すれば、神であり大きなチカラを持つ彼は、対策できる……と自認している。
「臨時プログラムON。マサルに危害を加える旨の発言をしそうになったとき、我の言葉を封じよ」
『承りました』
動かすだけでリソースを消費するため、普段はスクラップ置き場に放置されている制御システムだが……
払うもんを払えば、神である彼の行動すら制御してくれるので、こういう時の保険には便利である。
ただし、システムはあくまでもシステムであって、意思を持ち邪神の言動を制限できる絶対権力者ではない。
ゆえに先ほど警告をぶっ潰したように、他の出来事が重なって邪神の理性が飛び、システムに「黙れ」と命じた瞬間、その保険は無効化されるのだ。
<--- ブゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ。ブリリッ、ブリブリブリリッ --->
「クソッ、あの〇〇〇〇〜〜〜〜。あぁ、そうだ。ダメなんだった」
また大声で言語化するという行為は、怒りの発散に効果的なので、それを抑制することにより邪神のストレス値は上がった。
そしてコレが、後々とんでもない喜劇(邪神にとっては悲劇)を巻き起こすキッカケとなる。
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〜メグミside〜
予想外のラッキーパンチで、「邪神が不正をはたらいた証拠」が出てきたので、マサルの許可を得たうえで、僕は急いで仲間全員に報告。
邪神にコチラの考えを知られぬよう、メールで緊急作戦会議を開いた。
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左遷される程の決定打とは言えないけど、不正は不正。
奴が属する派閥の上司神へ、この証拠を添付して諸々チクれば、監査が入り奴の肩身は狭くなるはずだ。
マサル君の災いのせいで、邪神の神殿は肥溜め化しているって話だし、(臭すぎて)調査員が引き返しちゃうかもしれないけど。
byモンティート
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うわっ、それ嫌だなぁ。
もし狙いどおり邪神が排斥されても、後任の神様決まらないかも。
ウ○コ臭い神殿とか、リフォーム済みでも使いたくないだろうし。
byメグミ
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邪神の現状がアレ過ぎて、話すだけでも部屋の中が臭くなった気がするが、きっと気のせいだろう。
もし「逆恨み邪神の祟り」とか言われたら、今すぐ邪神像を生贄に捧げて、全ての怨念を封じてアイツに送り返す自信がある。
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証拠の扱いは、コッチに任せてよ。
ルノーブルがその辺り詳しいから、彼に任せてミッション期間中に、上司神へのチクリを済ませる。
byモンティート
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了解です!
だけど、邪神の排斥狙いだけじゃ博打ですよね?
もし計画が失敗したとき、カードが僕等の元にあると失うものが大きすぎるし、もう少し確実な手を打ちたいです。
byメグミ
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それなんだけどさぁ〜、マサル君の<口は災いの元>がまだ生きているなら、ワンチャンいけるかもってアイデアがあって……。
降りかかる災いって、ギフト発動中のマサル君のコンプレックスに似るんでしょ?
だったら多分、ミッション期間中に邪神が3アウトくらったら、欠損カードに関する災いをくらうんじゃない?
特に、マサル君が強く意識すればするほど
byサーシャ
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なるほど。
それで災いを受けた邪神に、色々ひっ被せて俺たちは逃げるって作戦か。
悪くねぇな。
byマサル
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読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)