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592話 証拠さん、こんにちは


〜メグミside〜




「それで、この鬼畜カード……どうします? お布施で他所へ押し付けますか?」


「いや、ダメだ。いずれは押し付けて爆破しないといけないけど、早いうちに動くと、相手もお布施で解決してコッチへ戻ってきてしまう」


「あぁ、そうか。"他所のダンジョンへ移す"といっても、そのダンジョンを決める権限は邪神にあるから、高確率で戻ってきちゃうんだ」



 ルール上は"ランダム"となっているが、300人近い魔王がいるなかでランダムに配布した結果、<農民><小鬼>同盟の全員にカードが来たのだから……


 邪神のいう「ランダム」は、「俺の気分次第」と解釈するべきだろう。


 でないと重要な場面で容赦なく狙われ、一生不具の身にされるだけでなく、最悪の場合命まで奪われる。



「まだミッション終了まで10日ある。カードは全て僕等が持っているから、現在より状況が悪くなることもないし……ゆっくり考えよう」


「そうですね。慌てても仕方ない」



 己の命がかかっている状況でも、穏やかな口調で後輩を励ませるモンティート先輩は、序列とか関係なく尊敬できる。


 でも、絶対に失いたくない人だからこそ……恐怖で思考が鈍ってしまい、良い回避策が出ないのだ。






「(お布施をしたところで、結局先輩のところへ戻ってきてしまうとすると……詰んでいないか? いや、ランキングの順位を落としてから動けば……)」


 論理的には可能でも、現実問題としてランキングの順位を落とすのは難しい。



 考えてもみてくれ!


 性格の悪いランキング上位者もいる僕達と違って、1〜5位を独占している<農民>同盟が、6位以下まで順位を落とし……


 その状態で、ミッション最終日までキープするには、かなりの資産をダンジョン育成に注ぎ込まなければならない。



 結果として、先輩方の財布はスッカラカンになり……代わりに手数料収入で、このクソみたいなミッションを出した邪神が儲かるのだ。


 そして何とかこのミッションを乗り越えても、先輩方が経済的に追い詰められていたら、邪神はすぐ次のミッションを出すだろう。


 そうやって弱らせ潰したいと思うくらいには、先輩方はアイツの恨みを買っている。



「(先輩方が助かる道は? 期間内に邪神が失脚して、ミッション中止になるとか? それとも、一人ずつ生贄を作って起爆させていくか……)」


 最終日まで先輩方のランキング順位を下げてキープするのは、彼等の資産が膨大すぎることもあって厳しい。


 だが5人のうち一人だけ半日程度最下位になり、その間に敵派閥のクズ魔王にカードを押し付けて、起爆させてしまえば……


 その先輩はゲームクリア扱いとなり、以降カードを回されなくなるため、それを順繰りに繰り返すことで一応回避は可能だ。



 その代わり、露骨に順位を下げて動く過程で、他の魔王に「<農民>同盟は全員カード持ちだった」とバレるし……


 上位者の特権をフル活用して暴力で解決すると、半数をこえる雑魚魔王から恨まれるため、今後の活動に支障が出ること必至。


 モンティート先輩が狙っていた、「邪神にヘイトを向ける」作戦も、先輩自身が嫌われたことで不発となってしまうだろう。






「(そもそも、こちらが色んなものを切り捨ててミッションをクリアしても、邪神の思う壺なんだよ。アイツは確実に儲かるし、ダメージ一つ負わないもの)」


 もしコチラの損失が大きくても、邪神も傷つき痛み分けになるなら、まだ納得できるのだが……



 最初のカード配りの不正とか、お布施でカードを戻した後の行き先とか、邪神が意図的にやっているという証拠がないのが辛い。


 証拠さえあれば、それを先輩が上司神へ送りつけることで、邪神のルール違反を明るみにできるし、邪神左遷の可能性もあるのに!



「ふ〜ん。メグミ。証拠ならあるぞ〜。俺のギフト<口は災いの元>の、アウト記録を見てみろ。ついさっき邪神がくらった、2アウト目だ」


 苛立つ僕に、そう言ってマサルが見せてくれたのは、彼が"お代わり"を狙って仕掛けていた、チートギフトの釣り記録だった。



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〜口は災いの元〜


この能力を保持している者が定めたターゲットが、その人を害する宣言を3回したとき、災いが自動で降りかかる。


災いの強さは、ターゲットが宣言した言葉の強さに応じて代わり、格上に対しても平等に効果を発揮するが……


3アウトで災いが発現しない限り、ターゲットを変えることも能力を解除することもできず、ひらすら保険料としてHPを徴収され続けるという、ハイリスクな副作用もある。


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1アウト目:

<状態異常:汚臭地獄>に罹った邪神が、身にまとう悪臭と止まらない屁&下痢にブチ切れて、「マサルをシバく!」と宣言。同時に力が入って肛門が崩壊し、下痢が噴出してスカベンジャースライムの仕事が増えた。


2アウト目:

ミッションにかこつけた嫌がらせで、意図的に「命を奪うカード」をマサルに回して、命か全ての資産を分取ろうとした。また、周りに助けを求めてもスルーされるように、<農民><小鬼>同盟にも、意図的にカードを送りつけて嫌がらせしている。現在、思惑通りに事がはこんで「エクスタシー」と叫び、腹に力が入りすぎて「実入りの屁」をぶっ放したところ。


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読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
楽しく読ませていただいてますー これ回復スキルとかで身体部位増やしてそこを破壊すればいいのでは? 一時的にナニが2本になった主人公はまたヒロインに搾られるんだろう 合掌
なんというか 実入りに 吹いた
流石に二回目でカ害意い宣言2回しかしてないのは逆に少なすぎるウンターには気が付いたかな? でも気が付いてなかったなら害意宣言2回しかしてないのは逆に少なすぎる気がする。
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