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591話 ランダムの定義




 それから暫く、鬼畜ミッションのない平和な日々が続き……<無能>印を押されずに済んだ魔王の財布事情が良くなった頃、新たなミッションが出された。


 なお無能組は、稼いだダンジョンポイントを全て邪神にお布施してしまう奇病を患い、心も財布もスッカラカンになっている。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜期間限定ミッション:裏切りのカード〜



81期が加わり魔王界に新しい風が吹いているのは結構だが、仲間との結束力や団結力に欠ける者もおり、魔王界全体の成長を妨げているのも事実。


ゆえに、普段協力している魔王が「信用に足る存在」か確かめるために、私が手を貸してやることにした。


自己犠牲を払ってまで義理を通すのか、それともビジネスパートナーを背中から刺して難を逃れるのか。


貴様等の根性、しかと見届けさせてもらうぞ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜ルール説明〜



ミッション開始後すぐ、ランダムで10名の魔王に「身体のパーツ」と「4桁の数字」が描かれたカードを贈る。


そのカードは、決して他者に見られてはならない。


なぜなら、カードを見られてその数字を密告されると、そのカードに描かれた部位が腐り落ち、生涯回復せぬ"不具の身"になってしまうからだ。


またミッション終了時にカードを保持していた者にも、同じ災いが降り注ぐ。


助かりたければ、カードを他の魔王に押し付けて数字を密告し起爆させるか、お布施を払って他所のダンジョンへ移すしかない。


なお、一度起爆されたカードは消滅する。


また4桁の数字を密告した者はゲームクリア扱いとなり、以後この「カード押し付け合い戦争」に巻き込まれることはないため、安全が保障される。


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 そして当然のように、<恵のダンジョン>に「性器のデフォルメ画が描かれたカード」が届き、ゲームが始まった。


「…………これ、どう見ても嫉妬じゃん。"ランダム"って言葉の意味、辞書で調べた方がいいんじゃない?」



 邪神の意図としては、局部破壊を恐れたメグミが<農民><小鬼>同盟の男性陣を売り、保身に走ることを狙ったわけだが……


 ボッチを極め過ぎて、「他者を信じる心」が分からない邪神に、仲間を信頼しているメグミの行動は予測できなかった。



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「お股カード」が届いちゃいました( ; ; )


他にも被害者います?


助けてくださ〜い(泣


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 メグミは合理主義者だが、邪神が思うほど薄情な人間ではない。


 ゆえに裏切るか高額寄付で消耗するか悩むまでもなく、とりあえず仲間と先輩に情報共有して、助けを求めた。



 そして彼の行動により、邪神がおこなった嫌がらせが明るみに出る。


 メグミのヘルプコールに応じて、スマホで返事を返す<農民><小鬼>同盟の9人……彼等にも、邪神から「欠損カード」が贈られていたのだ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


<農民>同盟

モンティート:背骨(起爆番号5628)

アスタリア:顔(起爆番号4628)

ナーティー:胃(起爆番号3367)

ゴーブル:肝臓(起爆番号9145)

ルノーブル:魂(起爆番号8246)


<小鬼>同盟

メグミ:性器(起爆番号5562)

サーシャ:乳(起爆番号8265)

マサル:頭(起爆番号1014)

スティーブ:腕(起爆番号3526)

カルマ:脚(起爆番号8975)


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 どう考えても「ランダムに贈った」とは思えない偏り具合に、彼等は大きなため息をついた。


「証拠がないから証明できないとはいえ、明らかに"故意"だろう。邪神の奴、メチャクチャやりやがったな」と。



 全員がカード保持者なので、「各自で動くより皆で対策を考えた方が早い」と、メグミ達は<水城のダンジョン>に集まることに。


 男性陣は呆れ顔、セクハラされたサーシャとアスタリアは、怒りが限界突破して黒い笑みを浮かべている。



「とりあえず、命の危険があるのは5人ってことでいいかな? マサル君は、まだ新人なのに……相当警戒されているね。ご愁傷様」


「ゾウさん抹消されそうなメグミに比べれば、どうって事ないですよ。しかし、なんというか……やりたい放題ですね」



 魔王になったばかりにも関わらず、<小鬼>同盟で最もシャレにならないカードを渡されたマサルに対して、モンティートは同情。


 自分も"背骨"がかかっている状況なので、「カードを取り替えてやる」という事もできず、マサルの軽口に苦笑いを返すしかなかった。



「しかし、どうしたものか。こういう命懸けのミッションは、弱い魔王に全てのババを押し付けて逃げ切れば、これまで何とかなっていたんだけど……」


「詳細説明欄に、"お布施による押し付け以外は、自分より魔王ランキングが上位の者限定"と書かれていますよ。しかも、一人一枚までって」



「うん。シャレにならないよね〜。魔王ランキング1位の僕は、どこに押し付ければいいのさ? 課金強制とかキモ過ぎる」


 このミッションで一番不利なのは、序列1位のモンティートだ。



 彼は制限のせいで誰にも"欠損カード"を渡せず、課金以外で助かる道がない。


 そして<農民>同盟のメンバーもまた、自分より序列上位の魔王は仲間内にしかいないため、課金か裏切りの二択を迫られた。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
押しつけ禁止なんだから本人に承諾してもらえば譲渡でOKじゃね?
「押し付ける」の定義が明記されてない+「魔王にだけしか押し付けられないとは書いてない」+「お布施がポイント限定とは書いてない」 …そして邪神像はまだ恐らく購入できて「お供え」ができる…つまりそういう…
ランキング下げようとしたら、気づかれるし、ランキングを落とすのも、一苦労だろう 換金額がでかい場合も、ばれる 押し付ける相手が嫌われていたり、ボッチ状態じゃなければ、後々対邪神の時に、大なり小なり不…
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