586話 新世代の考え
〜メグミside〜
なぜかマサルが楽しそうに笑っており、不思議ではあったけど、彼の事だからまた何か悪巧みをしているのだろう。
時がくればきっと教えてくれるし、途中で余計なことをしてプロジェクトを邪魔しちゃうと悪いので、何も見なかったことにする。
「それで、これからの話だけど……どうやって邪神を左遷させようか? それと、スティーブ・カルマ・マサルの自力を伸ばすのも必須だよね」
色々あった試練が終わり、マサルも正式な魔王として<小鬼>同盟の仲間に加わってくれたので、今後のことを話し合う。
まだ微妙に部屋が臭いけど、マサルは当分<嫌悪貯金>ギフトを解除しないつもりみたいだから、諦めてサーシャとアスタリア先輩は部屋に戻した。
女性がいる前でオ○ニーなんて失礼な行為をしなければ、多少の悪臭は許容するので、どうかハメを外し過ぎないでくれよ!
「俺はこの試練中に大儲けできたし、現在進行形で<嫌悪貯金>が爆発しているから、これを元手にダンジョンを強化する。(というかメグミ、視線が怖ぇよ)」
「そうか。マサルは僕等の補助がなくてもやれそうだし、能力との兼ね合いもあるだろうから、一人で進めちゃって! でも、もし分からなかったら頼ってね」
「了解! (それに、<嫌悪貯金>の副作用で定期的にオナラしないと腹が張ってしかたねぇから、一人の方が楽なんだよなぁ〜。寂しくもあるが)」
新人の方が明らかに優秀で、居心地悪そうにしているスティーブとカルマには申し訳ないけど、マサルは別格だからね。
元々強かったうえ、勇者をクビになってコチラ側に来る過程で弱点だったメンタルも鍛えられたから、(認めたくないけど)もう僕でも勝てないよ。
「僕は、<水城のダンジョン>を"もっと人が来る場所"にします! 正確に言うと、上層階を"水の都"にして娯楽施設化しようかと」
比較的近くに街があり、交通の要所からも距離が近い<水城のダンジョン>を治めるスティーブは、人を呼び込む方針に切り替えたようだ。
僕の<オアシスフロア>やモンティート先輩の<ダンジョン村>のように、多くの生命エネルギーを発して社会性を持つ生き物<人間>を囲うのが……
安定したダンジョン経営のコツだし、せっかく地の利・属性の利に恵まれているのだから、それを活用しない手はない。
「具体的には、どんな感じにするの?」
「2つの施策を組み合わせる方針でいこうかと。一つ目は"表"……水を使ったアトラクションを存分に楽しめる娯楽施設で、金を落としてもらいます」
「ふむふむ」
「もう一つは"裏"……水を使う権利を持たない貧民に、"綺麗な水が飲めるよ。農作業用の土地もあるよ"と呼びかけ、ダンジョン村を作ります」
「あぁ、なるほど。それで"表"の接客で人間に任せた方がいい部分は、そこの人をバイトで雇って回していくってことね」
「はい。"裏"の方は小作農扱いで多少税金も取るけど、基本的には安定した生命エネルギー収入狙いです。この辺は、敵に攻められても最悪隔離できますんで」
「なるほど」
<オアシスフロア>のように、デフォルトモードだと地上にあり「ダンジョンの攻略ルートの一部」になっている場所は……
「入り口からコアがある場所まで、必ず"人が通れるように"しておかなければならない」というルールのせいで、隔離するのが難しかった。
しかしスティーブは、最初から攻略ルートと娯楽施設&ダンジョン村の敷地を分けて創ることで、侵略者が来ても出入り口を封鎖できる仕組みにするようだ。
僕も、経済的に余裕ができた現在はそうしているし、ダンジョンで暮らすようになった住民を盾にする気がないなら、最初から分けて創る方がいいと思う。
「僕は、人を呼び込める位置にダンジョンがないので、<コマンダー>ギフトを活用した商売で稼ぎ、ダンジョンも魔境化します!」
気流や潮の関係で、余程の猛者じゃない限りたどり着けない「絶海の孤島」にある、<森のダンジョン>を治めるカルマは……
人間を呼び込むなんて現実的じゃないので、安定収入は虫の養殖でまかない、ギフトを活かして外で稼ぐ方針を固めた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜コマンダー(Bランク)〜
自分の配下を、開拓済みのポイントへ転送できる。
また彼等と思考を共有することで、離れた場所にいながらリアルタイムで指示を伝えることも可能。
特定の配下を"代理"として立てることで、自分の代わりに配下の指揮を任せ、自分は休むこともできる。
一日に転送できる配下の上限は、ランクによって異なり、Bランクの場合は10000が上限となる。
それに加えて、対価のマナを通常時の10倍取られるものの、自分の配下以外も一回につき3名までなら輸送可。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
彼単体じゃ、人手も商品も足りず稼ぎにならないけど、<自販機作製>ギフト持ちの僕と組めば大儲けできるので……
この分野のシノギに関しては、今後も彼と二人三脚でやっていく事になると思う。
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)