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584話 <無能>呪印が生まれた訳


〜メグミside〜




 試練終了後もブレずに"臭い人"をつらぬき、徹底的にポイントを稼いでいるマサルは、試練期間中に100名以上の魔王候補者を屠ったこともあり……


 スキル&ギフトと基礎能力アップによって、「俺TUEEE系魔王」として覚醒した。



 本人の意識の中では未だ「俺KUSEEE系」であり、ぶっちゃけ臭いのも事実だが、どう考えても僕より強いし……


 精神的な面も(色々あって)パワーアップしたので、もし今彼が「俺、やっぱり勇者に戻るわ」と言い出したら、本気で困ると思う。



 ただ、圧倒的なステータスに隠れがちだけど問題点もあって……


 マサルは"仲間の輪"に入りたがりつつも、以前のハーレムメンバーにこっぴどく裏切られたのが尾を引いているのか、無意識に"ソロ向き"の選択をする。



 魔王になった以上、かつてのように「仲間と共に各地を旅して〜」みたいな日々はもう来ないし、モンスターを率いて単騎で動くことになるから……


 その選択が間違いとは言えないけど、彼の心の傷が本当の意味で癒える日はくるのだろうか?



 昔と違って"本当の仲間"になった以上、僕だって「彼には幸せになって欲しい」と心から思うので、彼のこういう判断を見ると少し心配だ。


 まぁ僕等が"対等な仲間"として扱い、裏切らなければ不幸にはならないはずだし、サーシャや先輩と連携して陰ながらサポートするだけだけど。






「それにしても、今回のミッションで邪神はかなり儲けたよね。<無能>の烙印が数日で消えたんじゃ罰ゲームの意味ないから、次のミッションは当分先かも」


「だな、俺が削ったとはいえ利益は出たはずだ。それに、あの<無能>印はタチが悪いよ。アイデアのきっかけを考えたら、当然っちゃ当然だが」



 すでにサーシャとアスタリア先輩から報告があがってきたが、<無能>の烙印を押された魔王は、急に邪神を賛美し始め……


 それまで小便をかけていた邪神像を拝み、自分を卑下するようになったらしい。



 また言っちゃいけない過去の悪巧みを、魔王掲示板でつらつらと書き懺悔し出した奴もいて、ある意味"ドン引き"状態になっているようだ。


 おそらく邪神が与えた<無能>の文字には、心底己を無能だと思い邪神を崇める系の、思考誘導が仕込まれていたのだろう。



 そして、やらかしている面々を見るに、呪印の効果は「口達者で悪口大好きな奴」ほど顕著に出ているらしく……


 ソイツ等に散々バカにされた邪神が、報復を兼ねて嫌がらせしたのは、想像に難くない。



 奴等が自白した「過去の悪行」の中には、<農民><小鬼>同盟を対象とした嫌がらせもあったので……


 サーシャとアスタリア先輩はモニターに張り付いてスクショを撮り、該当者をリスト化。



 次回以降のミッションで「魔王を殺せ」系が出たとき、必要に応じて殺す"生贄"認定した。


 また他の魔王にも、"過去の悪行自白"によってバカにされたりキレられているので、彼等の予後は悲惨なものになるだろう。



「ヘタに魔王同士が結束していると、集団で邪神アンチ活動をして脅威になるから、仲違いさせて"敵意"のベクトルの向きを変えたのかもな」


「あ〜確かに。憎み合っている状況じゃ結束なんて無理だし、自分へのヘイト対策を兼ねているのかもね」



 ここ最近のやらかしを見て、「もしかして邪神はアホなのでは?」と思っていたけど、マサルが言ったとおり"意図的に仲違いさせた"とすると……


 思ったよりズル賢い面もあり、油断ならない相手と分かる。



 もっとも……敵意のベクトルを「強者→強者」へ向けるのではなく、強者と弱者を争わせたところで、また魔王の人数が減るだけだから……


 これ一つで全てが解決するパーフェクトな策、とも言いがたいけど。






「というか、マサルは邪神が<無能>印を押し付けた経緯を知っているの? そんな情報、表には出回ってなかったはずだけど」


「あぁ。邪神に<口は災いの元>ってギフトをくらわせたときに、概要を知った。実は邪神の額にも、同じ<無能>印が刻まれているんだよ」


「えっ!?」



 予想外の事実に驚く僕を見て、マサルは笑いながら事の経緯を教えてくれた。


 なんでも邪神は、ミス連発で上納用のリソースすら枯渇してしまった時期があり、そのせいで十分な上納がおこなえず上位神の怒りを買ったらしい。


 で、元々"好かれるタイプ"じゃなかった事もあって盛大にヤキを入れられ、散々ボコられた後、額に消せない<無能>印を押されたんだと。



「自分がやられた鬱憤を晴らすために、罰ゲーム名目で部下も同じ目に遭わせたんだろう。ついでに、思考誘導で"悪い意味での支配"も進めた……と」


「なるほど。予想以上にグロい代物だったわけね。本当に、マサルが試練を突破してくれてよかったよ」



 たかが「額への落書き」だからとナメてミッションをサボったら、理不尽に邪神のサンドバッグにされるところだった。


 神界の対人関係も色々あるのかもしれないけど、そこで受けたストレスの発散を、部下相手にしないでほしい。



 個人的には、経緯を魔王掲示板でゲロって邪神の醜態も晒したいところだけど、マサルが情報を入手した経路を考えると……表沙汰にはできないな。


 ヘタにバラして、邪神にマサルの情報収集能力の高さを知られると、今後の戦いで不利になる可能性がある。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
> 邪神の醜態も晒したいところだけど、マサルが情報を入手した経路を考えると…… 正確な情報より精度落とした妄想話として尾ひれ背びれ付けた方が愉快かも。 今回の邪神の罰悔しいけど妙手だよな→邪神こんな妙…
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