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580話 #邪神の不幸に乾杯




 邪神がトラップ型ギフト<口は災いの元>の発動条件を満たし、無事災いをくらって社会的に死んだことは、すぐマサルの知るところとなった。


 このギフトは、アウトカウントと災いが発生したとき、所有者にその詳細を通知する機能も持ちあわせているからだ。



「くくくっ! 腹を据えて、汚臭ばら撒きやろうになっておいてよかったぜ。ギフト持ちのコンプレックスと災いが似通るって、本当だったんだなぁ〜」


 彼が、この能力の持ち主から聞いた情報によると、その人がハメた相手は、(彼に似て)もれなくハゲたらしい。


 また残尿とEDにも苦しめられ、そこまでキツイ災いが降らなかった者も、いろんな意味で詰んだそうだ。



「つまり、俺が汚臭製造機になってコンプレックスを爆発させている最中にアイツが地雷を踏めば、アイツにも汚臭地獄が降り注ぐわけ。キシシシシッ!」


 せっかく道連れにできたと思ったのに、サーシャとイチャラブしまくり一人だけ青春爆発中のメグミは、彼にとって"汚物仲間"とは言えず……


 悩みや愚痴を相談したり、自分より惨めな相手をせせら笑いメンタルを保つこともできないため、内心「そういう事ができる生贄」を求めていた。



 だが邪神が、メリットもないのに汚物生産機(=自分より下の存在)になったことで、心が軽くなり……


 ライバルに罵られ<嫌悪貯金>が爆速で貯まろうとも、一切傷つかず喜べるようになったのである。



 もちろん、良い事があったら"仲間"に共有したい。


 ゆえにマサルは、ダンジョンを攻略しながら素早くメールを打ち、<水城のダンジョン>で観戦中のメグミ達に、「ざまぁ報告書」を送った。






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


タイトル:邪神、逝く



これまで、魔王に理不尽を強いてきた邪神さん……


 まさか自分が"狩られる側"になるとは思っておらず、ノーガードで俺の地雷(<口は災いの元>ギフトの3アウト目)を踏んで逝ったぜ。


現在は<状態異常:汚臭地獄>をくらって、俺より臭いうえに垢掃除しないと、鼻とか喉が詰まって健康にも影響が出る有り様だ。


呪いの解除条件が俺にとっても地獄なんだけど、さすがの邪神もこの方法で解こうとは思わないだろうし、とりあえず「ざまぁ成功」と思っていいだろう。


邪神は当分の間、立って歩くだけでも屁で腹が圧迫されて痛みを感じ、助けを求めようにも無条件で嫌われる"体臭オバケ"になった。


この喜びを、先輩やメグミ達とも共有したいんだ!


「敵を騙すにはまず味方から」ってことで、コッソリ能力を発動していたのは謝るんで、一緒に邪神の地獄落ちを祝ってくれ!!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜口は災いの元〜


この能力を保持している者が定めたターゲットが、その人を害する宣言を3回したとき、災いが自動で降りかかる。


災いの強さは、ターゲットが宣言した言葉の強さに応じて代わり、格上に対しても平等に効果を発揮するが……


3アウトで災いが発現しない限り、ターゲットを変えることも能力を解除することもできず、ひらすら保険料としてHPを徴収され続けるという、ハイリスクな副作用もある。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






 報告書を見たメグミ達も、邪神に起きた災いを心の底から祝福し、サーシャとアスタリアに頼んで魔王掲示板でも拡散してもらう。


「アスタリア先輩。『#体も心も汚い神』ってタグを、全ての投稿に付けてください。あと、『#邪神の不幸に乾杯』ってタグも」



「分かったわ。他の子達にも付けるように頼めば、自然と目立つようになってアクセスも集まるわよね」


「はい! もう検索ページのトレンド欄に載っています。このスレッドがトップに上がり、皆でお祝いできるようになるのも時間の問題かと」



 マサルの意向を汲んだサーシャとアスタリアは、魔王掲示板で情報を広めるだけでなく、ルノーブルを通じて人間社会にも働きかけ……


 買収した大手出版社のゴシップ誌・最新刊で、邪神の惨状を報じ、「邪神がこうなったのは、皆が邪神像を酷く扱ったからだ」と偽情報を流した。


 これによって、巷に「邪神像を酷く扱えば扱うほど邪神本体にも咎が及ぶ」という勘違いが生まれ、邪神像の扱いはますます酷くなっていく。



「ミッションは終わったけど、まだ邪神像自体は課金すれば買えるし、それの転売で大儲けできる機会が再来してありがたい! ハイタッチはできないけど」


「ほんと、マサル君には感謝よね〜。私も(臭すぎて)抱きしめてあげることはできないけど、身を削って得た栄誉を讃えるわ!」



 しかし……どれほど成果をあげても、生理的にキツイ汚臭を漂わせたマサルは、女性陣から微妙に距離を取られてしまい……


 ご褒美も、「アスタリア先輩、セレクト自販機のカタログに"マジックハンド"という玩具が載っていますよ」というサーシャの一声で、間接握手に落ち着いた。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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魔王たちの反応は?
最初から、全てが罠。あっぱれです
面白かったです。マサルの心情が特に良いです。
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