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579話 先に楔を打ちこんだのは


〜邪神side〜




 感情を押し殺してマサルへの妨害行為を諦め、試練後……奴が「正式な配下」になった後、じっくりイジメてやろうと考えていたが……


 奴は試練で手札を晒さないばかりか、俺が見たタイミングでばかり屁をこき、挙げ句の果てには邪神像を脇にはさみやがった!



 そして穢れてしまった邪神像をモンスターの鼻に突き刺すことで、魔法一つ使うことなく敵を倒し、ダンジョンを攻略していく。


 それを見るたびに俺は二重の意味で尊厳を壊されている気になって、怒りのあまり神殿を破壊してしまったのだ。



 修理するのにもリソースがかかるし……ゴマ擦り目的で置いていた上司達の神像も倒れてしまったので、バレたらまずい。


 まったく、あのクソ餓鬼めっ!


 大人しく試練を突破して、俺が特別に用意したギフト(という名の楔)を受け取り、虐げられるだけのモルモットとして生きればいいものを!



 ぶっちゃけマサルの能力は、以前から監視していた事もあってある程度知っているので、今さら確認する必要もないのだが……


 アイツのせいで魔王達が返金を求めて騒ぎだしたうえ、脱落後に俺が回収する予定だったライバル候補のリソースを、半分近くかすめ取られた!



「もう辞めたくせに、いつまでも見苦しく職業<勇者>の特権を乱用してんじゃねぇ。コッチに実害が出ているんだよ!!」


 あぁ〜クソッ、考えただけでムカついてきた。



「覚えていろよ、このクソ勇者が! 貴様が笑っていられるのも、俺に楔を打ち込まれるまでだ。その後は、強制的にリソースを吸われる餌となる」


<−−− カチッ、カチッ、カチッ…………ズオォォォォォォ………… −−−>




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




 邪神は、マサルが試練を突破して正式な魔王になる際、ギフトを授与されるのを利用して、搾取&操作用の楔を打ちこもうとしていた。


 彼にとって、下界で生きる魔王と接する機会など滅多になく、ここしか仕掛けられるチャンスがなかったからだ。



 だが邪神は、一つ"重大な見落とし"をしていた。


 楔を打ちこもうとしていたのは相手も同じで、自身はハンターであると同時に"狩られる側"でもあった……という事を。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜口は災いの元〜


この能力を保持している者が定めたターゲットが、その人を害する宣言を3回したとき、災いが自動で降りかかる。


災いの強さは、ターゲットが宣言した言葉の強さに応じて代わり、格上に対しても平等に効果を発揮するが……


3アウトで災いが発現しない限り、ターゲットを変えることも能力を解除することもできず、ひらすら保険料としてHPを徴収され続けるという、ハイリスクな副作用もある。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 マサルを3度「害する」と明確に宣言したことで、彼が試練の間もずっと保ち続けてきた<口は災いの元>というトラップ型ギフトが発動条件を満たし……


 自分が狙われているとは夢にも思わず、ノーガードだった邪神に災いが降り注いだ。






「うわっ、臭っ! 何だ!?」


 不吉な予感をおぼえた邪神が意識を覚醒させた直後、彼は自分の口の臭さに驚愕。


 喋るたびに口臭で頭がクラクラし、リアクションをとった拍子にワキガアタックで自滅し、膝をつかされた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


状態異常:汚臭地獄


体のありとあらゆる部分が限界まで臭くなり、洗っても数分でニオイが復活する。


またニキビ・耳垢・鼻くそ・ヘソゴマ・膿栓といった"臭う老廃物"も、生産スピードが超速になるため、手を止めることなく掃除しないと惨事になってしまう。


この状態異常を解除するには、己が侵した罪を悔い改めて心から謝罪し、被害者<マサル>の老廃物で煎じた茶のみを100日飲まなければならない。


なお逆上して被害者を殺すと、被害者の残存リソースが"死者の念"となり、より深刻な状態異常にかかるハメになる。


また解除にも相応の労力を要するようになるので、短絡的な行動で被害者を苦しめるのは逆効果だ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 この状態異常……ただ臭いだけでなく、何をやっても体臭を消せないせいで、探知系スキルに引っかかりやすくなる……というデメリットもある。


 また常時お腹の中で屁が量産されるせいで、ガスが溜まって腹痛を引き起こし、戦闘面でも足を引っ張る"厄災"付きだ。



 直接命に関わる災いではないため、今すぐ状態異常を解く必要はないが……当分の間、邪神は「上司達との会議」に出られなくなってしまった。


 なんせ……もしこの状態で出席したら、マサルが皆から距離を取られたように"汚物扱い"され、徹底的に干されるに決まっているからだ。



 神々に理由を説明して助力を請おうにも、経緯を話す過程で「格下にハメられました」と伝えなければならず、それを知られた時点で100%見下される。


 邪神の世界は魔王界隈よりさらに弱肉強食で、隙を見せたらすぐ蹴飛ばされて立場を奪われる、魔界ゆえに。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
死者の念! 某冨樫狩人のあれだな! 殺意と害意で生きてる対象物にとってはほんとぶっ刺さる能力ですな、くちわざ。 むしろ、よくここまで発動引っ張ったな感のほうが強いとかw マサルの尊厳をベットしたチャン…
2つめ3つめのキーワードは、どれとどれだろう
超絶汚臭邪神w馬鹿だね~!
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