表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

572/933

572話 釣り野伏せ


〜マサルside〜




 モンティート先輩から、<誠のダンジョン>を開始早々に集団攻撃で落とそうとしている奴等がいると、教えてもらった俺は……


 出陣計画を一時中断して、配下のモンスターに防衛の指示を出した。



 ちなみにだが……81期魔王候補生は、スカウトされてから1ヶ月足らずで試練に挑んでいるため、率いるモンスターの練度もたかが知れている。


 だけど俺の配下は、メグミやサーシャちゃん、そして先輩方が育成済みのモンスターを譲ってくれたうえ、指導まで手伝ってくれたので……


 ぶっちゃけ、スティーブやカルマの部隊より練度が高い。



 またダンジョン産ではなく、俺が勇者時代にテイムしていたモンスターも、"部外者"枠でダンジョンに住まわせており……


 生命ポイントをダンジョンコアに供給しつつ、俺を補助してくれるため、俺の指示が未熟でも意外と何とかなるんだよ。



「いいか、お前等。入り口の罠で最初に一削りしたあと、<誠のダンジョン>1階で集合した敵を、俺が少数精鋭で囮になって引きこむ」


 今回俺が採用した策は、島津家の必勝戦術として有名な「釣り野伏せ」に、ダンジョンの特性と鉄砲を取り入れたものだ。






「ターゲットである俺が目の前にいれば、多少怪しくても連中は俺を殺そうとして、追ってくるだろう。そうなると、必然的に陣形が伸びる」


 <誠のダンジョン>には、一人ずつしか通れない吊り橋や廊下がたくさんあるため、どうしたって陣形が乱れ隙が生じてしまうのだ。



「そして、ある程度引き寄せたところで上部から溶岩・火魔法・鉄砲玉を浴びせる。敵は、見るからに危険な溶岩と目立つ火魔法に気を取られ、鉄砲の餌食になるはずだ」


 ここで天井から溶岩を流しこむことで、縦に伸びた部隊を分断し、指揮系統を潰すことができる。



 溶岩っていうのは、そこまで硬いもんじゃないけど……クソ熱いから触れないし、下手に水魔法で壊そうにも……爆発して二次被害をくらうからな。


 結局、「ある程度冷めるまではどうしようもないと」なり、少なくとも数分間は「上からの指示が末端まで伝わらない状況」が生まれる。



 そして鉄砲だけど……小さな穴から敵を狙い撃てるスペースは作ったので、暗い場所で火魔法を囮に一斉射撃すれば、相当なダメージを与えられるだろう。


 もちろん射撃係のゴーレムには、「末端兵より指揮官を狙え」と伝えてある。



 囮である俺に引きこまれて、連中がのこのこ入ってくる場所は、狙撃ポイントより低い位置にあるため……


 途中で敵が気付いても、効率的に反撃するのは一苦労だしな。



「くくくっ。さっそく"カモがネギを背負って"やってきた。さてと……俺たちも動くぞ、準備しろ」


「「「了解」」」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜とある魔王候補者side〜




 ホイッスネル様のご命令で、試練開始直後に元勇者<マサル>のダンジョンを襲撃するよう、指示を受けた俺は……


 仲間の魔王候補者とともに、総戦力の8割の繰り出し、<誠のダンジョン>に乗り込もうとしていた。



 ホイッスネル様いわく、元勇者<マサル>は現時点でも十分強いが、魔王として成長すると、手が付けられなくなる可能性があるため……


 今のうちに数の暴力でボコるべき、とのこと。


 リスクの高い仕事だが、成功した暁には魔王昇格後のバックアップを保証してもらえる約束なので、俺達のモチベーションは高い。



「<誠のダンジョン>入り口に、底が逆槍になっている落とし穴があった。数十体犠牲になったけど、橋をつくれば回避できると分かり、現在建設作業中だ」


「了解」



 参加するだけでも危険なこの作戦だが、その中でも先鋒・次鋒はほぼ確実に殺られる捨て駒なので、死んでもいいギャンブル中毒者の部隊が任されている。


 どうもケタ違いの報酬を提示されて、胸が高鳴り乗ってしまったようだが、さすがに命を粗末にし過ぎだろう。


 亡骸になってから金をもらったところで、あの世へは持っていけないし、精々"棺の飾り"にしかならねぇぞ。






「(まぁ、そのお陰で俺達が安全に進軍できるんだから、止めはしないが。しかし……<恵のダンジョン>系列なのに、随分とシンプルな罠だな)」


 もしかして、メグミとマサルの間には敵対していた頃の確執がまだ残っており、<恵のダンジョン>秘伝のトラップを教えてもらえなかった……とか?



 だとしたら笑える。


 名誉・仲間・金……全てを捨てて魔王側に寝返ったのに、その寝返りを促したメグミにも信用されていないなんて。


 あくまでも仮説だけど、そうだったらこのネタだけでご飯3杯いけるぜ!



「っておぃ、ちょっと待て! あそこにいる敵……マサルじゃないか!? うん、絶対にマサルだ! あの顔、新聞に載っていたし!!」


 マサルは有名人なので、勇者時代のご尊顔がデカデカと新聞に掲載され、"包茎"という小っ恥ずかしい事情まで、知れ渡っている。



「鑑定した。ドッペルゲンガーじゃない、本物のマサルだ!」


「殺せ! アイツを殺せば、俺達の将来は安泰だ!!」



 たしかに腕っぷしは強いかもしれねぇがなぁ、所詮は「彼女にフラれた包茎勇者」だろ?


 もう引退して劣化しているかもしれないし、「独り身オ○ニーマスター」なんかにゃ負けはしない!!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ