568話 新しい扉を開かされて
〜メグミside〜
さすがチート能力保持者というか……覚悟を決めたマサルの稼ぎっぷりはすさまじく、他人の悪口だけでダンジョンを13階層も拡張した。
その代わり、側にいるだけで吐き気がこみあげる程、彼のワキガ&足臭攻撃も酷くなっており、つい対物用の消臭剤をぶっかけてしまったが……
汚物フロアよりヤバいんだもん、僕等の気持ちも分かってくれ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
815 名前:ホイッスネル(7期)
本当にムカつくわー、敵を味方扱いして引きこむ奴。
真の敵は、行動力のある無能ってマジなんだな。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
<−−− ピロン♪ −−−>
<−−− 「死ね」と思われています。嫌われポイントが35貯まりました −−−>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
816 名前:ナルシースト(11期)
期待の新人君が入ってきたら、僕達で協力してトイレ掃除から叩き込んであげようよ。
チヤホヤされてきたお坊ちゃんだし、"下っ端"の仕事なんてした事ないだろう。
先輩として、一から丁寧に指導しなきゃね!
817 名前:ホイッスネル(7期)
そうだな!
幸いな事に、あのグループには汚物溜めが幾つもあるし、それを全部ピカピカになるまで磨かせるべきだ。
本人が一番の汚物だから、自分の心臓と脳も取り出して、焼却処分してほしいところだが……。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
<−−− ピロン♪ −−−>
<−−− 2人から「クタバレ、汚物」と思われました。嫌われポイントが81貯まりました −−−>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
それにしても……貯金残高と共に次々と追加されていく、この「嫌われ報告」はエグいな……心底憎まれているのがリアルに分かる。
マサルは何とも思ってなさそうだし、僕も悪口なんて言われ慣れているから耐えられるけど、スティーブやカルマ君がくらったら引きこもりそうだ。
「ハァ〜。お望みなら、メグミにもこのギフト玉……10個くらいあげるぞ。お前だって界隈で嫌われているじゃん。この機会に、一緒に稼ごうぜ」
「嫌だよ。僕には彼女がいるんだ! どれだけ稼げても、彼女の前で汚臭人間にはなれない!!」
そう……何がヤバイって、マサルの<スキル図鑑>で生み出した能力玉は、他者に食べさせることもできるのだ。
つまり、コイツがその気になれば僕等も汚臭地獄に落とされてしまう!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜スキル図鑑〜
相手の許可を得ることで、スキルおよびギフトが図鑑に登録され、登録された任意の能力を一時的に模倣できる、特殊な<能力玉>を生みだせるようになる。
ただし<能力玉>をつくる際は、己の血とHPを対価として捧げる必要があり、事前準備ナシでは役に立たない。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「なら、先輩方でも……」
「ごめんね、マサル君。僕等がそのギフト玉を食べたら、老人用オムツのニオイが拡散されて、大量殺人を引き起こすから」
「あっ、そうっスね。スミマセン。(くそぉ〜。解除したら収入が途絶えてスタートダッシュをキメられない。だけど、さりげなく距離をとられるのも辛い!)」
ただ……僕は絶対に食べたくなかったけど、サーシャとしては「濃いメグミ臭」も性癖に刺さるようで……
マサルから一つ"ギフト玉"を受け取り、それを僕の口へ向けて投げてきた。
<−−− パクッ −−−>
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!?」
マズイ、今日はまだ風呂に入っていないのに!
この状態で<嫌悪貯金>のギフト玉なんて食べたら、マサル以上の汚臭を曝け出して、陰で「本体もダンジョンも臭い」とか言われてしまう!
慌てて僕は、<水城のダンジョン>から<恵のダンジョン>へと戻り……
プライベート空間である寝室にこもって、そこでギフト玉の効果時間が過ぎるのを待った。
しかし現実は残酷というか、1分もしないうちにサーシャが後を追ってきて、動揺している間に服を脱がされてしまう。
「え〜っと、サーシャさん。さすがに今はマズくない? というか、自分でも分かるレベルでギフト玉の副作用が出ているから、離れて結界を張った方が……」
「メグミ君、何を言っているの? これはエロスだよ! いつも不潔なのは嫌だけど、特殊プレイも偶にはそそるじゃん♪ この機会にいただかないと」
ちょっと待って、もしかして僕って……強制的に、「据え膳状態」にされている!?
というか、もし今致したら先輩方に何をやっていたかバレバレだし、恥ずかしくて燃えそうなんですが。
「ふふっ、恥じらっているメグミ君も可愛い〜。これだよね〜、萌え。では、いただきま〜す!」
一つ分かったことがある、サーシャは意外と変態だ。
そして……そんな彼女に好き勝手されると、たまらなく愛おしい……と感じてしまう自分もまた、重度の変態である。
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)