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566話 破れ鍋に綴じ蓋




 メグミが提案してくれた飴地獄は、一見大した事なさそうだけど、コスパの良い鬼畜策だ。


 元勇者だった俺には分かる……いくら耐熱アイテムで熱さを防いでも、ドロっドロに溶けた飴が装備にこびり付いて、動きづらいんだよ。



 だからといって、上空を飛ぶのもダメだ。


 水飴プールの上部も飴の成分でベトベトしていて、気付いたら羽がベットベトになり動かせなくなって墜落する。



 しかも飴地獄を潜り抜けた直後に、ダニだらけのセーフティールームを設けておけば、砂糖に引かれてダニが侵入者の服に集まり……


 いくらポーションを飲んでも治らない、激痒地獄へ落ちるハメになる。



 何よりこの案の良いところは、プールの制作費用がそこまでかからない点なんだよ。


 そりゃあ普通の水を入れるのに比べるとかかるけど、貴金属や宝石が出る鉱山を作るよりはずっと安いし、砂糖は多少汚れても再利用できる。


 熱しすぎて炭化しちまうと勿体ないから、こまめな水分追加と温度調節は必要だが、ダンジョンの機能を使えば自動化できるし管理は容易い。






「飴地獄の派生系で、何日も風呂に入っていないオッサンが浸かったプールの飴を、再利用で"別の侵入者"に飲んでもらうパターンとかどう?」


「えっ?」



「小汚いのが浸かっている映像を流しながら、クイズに不正解したら罰ゲームでぐいっと逝ってもらう感じで♪ 釘バットと2択にすれば全員飲むでしょう」


「……………………」



 そりゃあ<恵のダンジョン>名物、「オリハルコンゴーレムに釘バットで殴り殺される刑」比較したら、オッサンの汗入り砂糖水の方がマシだからな。


 俺も実際にそのバットを見せてもらった事があるけど、一般的な不良が使うモノと違って、尖った方が外向きになっている殺人仕様だった。



 しかもその釘もオリハルコン製だから、ゴーレムの腕力でフルスイングされると、一発で頭が割れちまう。


 ケツバットでも、運が悪ければ脊髄に釘が刺さって半身付随になる、人生を賭けた(救いのない)ギャンブル行きだ。



「あと、事あるごとに砂糖水を飲ませて、侵入者を高血糖にするのもアリかも。カンカンに干からびた灼熱のフロアに、自販機を置けば可能だよ」


「あぁ。キンキンに冷えた清涼飲料水だけを、自販機のメニューにしておくんだな。そうすれば、侵入者の大半が"砂糖たっぷりのジュース"漬けになる」



「そうそう。一つ一つのフロアを別物扱いで設計すると、予算もアイデアも枯渇しちゃうから、いかに"物資を使い回すか"を考えるのが大事!」


 で、メグミが現場の物資(=オアシスフロア住民の排泄物)を有効活用しようとして誕生したのが、悪名高い汚物攻撃なんですね……分かります。



 とりあえず、彼の案は全採用させてもらうとして、俺のダンジョンはもう少し品よく作ろう。


 <小鬼>同盟4人のダンジョンには、もれなく「<恵のダンジョン>産汚物」が使われているから、逃げられないかもしれねぇが……


 俺はまだ、"女モテ"を完全に諦めたわけじゃない!






<−−− ツンツンツン −−−>


「ん? どした、サーシャちゃん」



「ねぇマサル君。私も一つアイデアを思いついたんだけど、いい?」


「もちろん! ぜひ教えてくれ! 先輩からのアドバイス、メチャありがたいから」



「ふふふっ、了解♪ マサル君のダンジョンは、火属性だから基本的に熱いでしょ? だから侵入者は、耐熱装備でかためてくるはず」


「うん、そうだな」



「だったらさ〜。クイズとかゲームを何十回もやって、負けたら罰ゲームで1枚ずつ服とか装備を剥がす……的なのどう?」


「…………。5回くらいで耐熱に隙が生じて、生きたまま焼かれるな。(そうか、この娘も根はメグミと同じなのか。破れ鍋に綴じ蓋すぎる!)」



「うん! <天国と地獄ルーレット>みたいな感じでもいいけど、それよりもひん剥く方が地獄感あるし」


「…………。(あぁ、もう手遅れだ。いくら真っ当な師の元で学び直したところで、このカップルが真人間に戻る可能性はない)」



 サーシャちゃんの案なら、罰ゲームで脱がせたモノを没収してしまえば、ダンジョンはそれの売却益で潤うし、侵入者も焼死か撤退を余儀なくされる。


 何より、終わりの見えない連続イベントで一枚一枚装備を剥がされ、"命の護り"を削り取られるプレッシャーは……。



 もっと言うと、途中で「装備補充の機会」を設けてやれば、たとえボッタクリ価格だろうと全員飛びつき、ダンジョンは儲けでウハウハになるはずだ。


 その代わり、生還者の口から延々と悪口が垂れながされ、ダンジョンの評判は地に落ちるがな。



「よし、サーシャちゃんのアイデアも採用! 浅い階層でやると一般人を巻き込んでしまうかもしれねぇから、深い階層限定だけど……潰す気なら悪くない」


 あと<火>で思い浮かべるのは、古典の授業で出てきた地獄の絵巻物だな。


 あんな感じで雰囲気が怖いフロアも、一つは創ってみたいかも。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
加熱でドロドロの砂糖……あれ160℃で溶け始めるから、加熱した飴に埋まると死ぬ(ガチ)ほど熱い。 しかも水に溶かした砂糖が腐ると、トイレの方がマシな程、どえらく臭い! おっさんが砂糖まみれの体を中途…
やべえ この鬼畜感 そこにしびれるあこがれるw
エリート塩ならぬ、エリート砂糖とかほんまコイツらなぁ。 サウナに待機、クイズにミスったら別のおっさんのエリート塩で塩分補給とかね。我ながらクソ過ぎる。
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