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562話 スカウトを受けたマサル


〜マサルside〜




 なぜか異世界と繋がっているスマホを使って、ベッドに寝転びながらエロ小説を読んでいた、ある日のこと……


 メグミさんから、「大事な話がある」という件名のメールが届いた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


マサルへ



突然だけど、君の立場に関して大事な話がある。


悪いんだけど、ウチの転移陣を経由して<水城のダンジョン>に来てくれないか?


実は、邪神が「81期の魔王をスカウトせよ」とかいう、職務放棄ミッションを出しやがってね……。


自分がいい人材を見繕えないからって、僕達にその負担を強いたうえに、人材育成までさせようとしているんだ。


今回に関しては、ミッション未達のペナルティーがショボイから、最悪スルーしても構わないと思っている。


だけど上位魔王達が、有能な人間の奴隷を買い集めて、首輪をはめたうえで派閥に入れよう(=魔王にして搾取しよう)としていて……


このまま見過ごすと後々祟る可能せはあるし、可能であれば僕等も<小鬼>同盟の空き枠くらい埋めたい。


だけど以前話したように、邪神を左遷させるために戦うつもりの僕等が、半端者の魔王を迎えても、その子が可哀想なだけ。


それで色々考えた結果、「スカウト可能な人材がマサルしかいない」って結論になったんだよ。


ぶっちゃけ……君にメリットがある話じゃないし、魔王になるって事は邪神に命を弄ばれるリスクも出てくる。


だから嫌なら遠慮なく断ってくれていいんだけど、もし関心があるなら、より詳しい話をしたいから、<水城のダンジョン>まで来てくれないかな?


って思ってさ〜。



byメグミ


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






「マジか。辞めたとはいえ元勇者で、魔王とは正反対の立場にいる俺に、こういうスカウトが入るとは……。久しぶりに驚いたぜ」


 とはいえ、俺しかスカウトできる人材がいなかったというのは、信頼されている気がして嬉しく思う。



 俺は今でこそ彼等の仲間面をしているし、こうやってメールもやり取りできる仲になったが、元は敵同士だったし、俺はメグミさんを殺そうとしていた。


 だからこそ、心の奥底で「彼等はその頃の恨みを押し殺して、俺と付き合っているのかもしれない」と思うことはあるし、一抹の不安が残っていたのだ。


 だけどこのスカウトを受けて魔王になれば、彼等と同じ立場になるから、ポジションの違いによる溝も埋まるかもしれないし、ぶっちゃけ心惹かれている。



「それに、微妙に申し訳ない居候状態から脱却できるのも大きい。それなりに貢献はしているが、現在の俺は"家なし人間"だからな」


 勇者時代は高級取りだった俺は、調子にのっていたこともあり使用人がいる屋敷を複数もっていた。


 しかし勇者をクビになったと同時に、正式に買ったはずの屋敷は強制差し押さえとなり、登記も抹消されてしまったのだ。



 幸いなことに、メグミさんの配慮で<オアシスフロア>に快適な住居をあてがってもらい、何不自由なく生活できているが……


 正式に「俺の土地」「俺の家」と言える場所はなく、男としてこの根なし草感に、恥じらいをおぼえていたのも事実。



 だったらいっそ魔王になって、自分名義のダンジョンを広げて己の居城を確保し、家持ちになった方がいい気がする。


 メグミさん達の推薦を受ける以上、「100%自力で獲得した住処」とは言えないが、それでも完全居候の現状よりはマシだ。






「だけど、この話にはデメリットもある。メグミさんが仰るとおり、邪神にダンジョンコアを壊されたら滅んでしまうわけで……普通に危険だ」


 勇者として働かないのに勇者枠を埋めている俺を殺せば、新たな勇者が召喚されて魔王界が打撃をくらう以上、私怨が暴走しない限り狙われる事はない。


 だがそれでも、俺が不利になるミッションを出されたり、イビられる可能性は十分にあり、「死ぬまで逃れられないパワハラ」を覚悟する必要がある。



「と言っても、これに関しては教会と連んでいた頃もパワハラ三昧だったし……今更だろう。問題は、民から明確に"敵"扱いされることだ」


 現在も、勇者をクビになったとき併せておこなわれたネガキャンのせいで、俺の評判はすこぶる悪いが、まだ一応"人間"にカテゴライズされている。



 だが民の目から見て、勇者から魔王にポジション替えした俺は、明確な「人類の敵」であり、「誰よりも滅ぼすべきクズ野郎」に映るはずだ。


 悪く思われるのはもう慣れたし構わないけど、それで実害が出たら嫌だし、罪なき人々に大挙して来られると、本気で困ってしまう。



 私利私欲のために命をかけてダンジョンに潜る冒険者は、ダンジョン内で死んでも自業自得だが……


 悪に染まった元勇者を滅ぼすべく、正義感で動いた善良な一般市民を骸にするのは、俺にとって心臓を握りつぶされるほど辛いことだから。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
マサルて、何歳? 何歳でこっちにきたのだろ
ドキドキ展開ですねー できれば、サーシャ妹分が、登場とか、期待しますが、孤児院の後輩とか。。妖精とか。。 まあ、サーシャチルドレンは、まだ、小さいでしょうし、うーむ マサルなのかあー
スマホ買うこと認めたんだ。しかも、異世界と繋がっている! 10倍の金額払っているんだろうか? 風呂は購入してないのかな?あまり風呂に興味なさそうだけど マサルがいるだけで、ポイントたまっているから、メ…
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