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552話 後輩ペアの悲哀


〜メグミside〜




 資金集めの大まかな方針が決まった後の、先輩達の動きは素早かった。


 まずルノーブル先輩が、飢饉で苦しんでいるピピラッカ地方の領主達に、幽霊系モンスターを使って悪魔の囁きをおこない……


 僕の<遠隔商談>ギフトで、手紙のやり取りから契約締結までもっていき、信用を得るために即刻<コマンダー>ギフトで穀物を送る。



 カルマ君の<コマンダー>ギフトは、転送ポイントを開拓しないと現地に人材を送れないので、最初だけ少し面倒だけど……


 ピピラッカ地方が、ルノーブル先輩が治める<不死のダンジョン>の比較的近くにあったため、ダンジョン内転移からの物理移動で対応した。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜コマンダー(Bランク)〜


自分の配下を、開拓済みのポイントへ転送できる。


また彼等と思考を共有することで、離れた場所にいながらリアルタイムで指示を伝えることも可能。


特定の配下を"代理"として立てることで、自分の代わりに配下の指揮を任せ、自分は休むこともできる。


一日に転送できる配下の上限は、ランクによって異なり、Bランクの場合は10000が上限となる。


それに加えて、対価のマナを通常時の10倍取られるものの、自分の配下以外も一回につき3名までなら輸送可。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「もっ…‥もぅ無理れすぅ〜。し……死ぬ…………」


 骨だけのボーンドラゴンに乗せられて、クッションも何もない状況で時速100kmオーバーの爆走をさせられ、下半身が死んだカルマ君は気の毒だけど……


 ゴメンね、急ぎの案件だったんだ。



 患部を削ぐかくり抜いて最高級ポーションで治せば、痔も生殖能力も戻るので、「死ぬよりマシ」と思ってしばらく我慢して欲しい。


 えっ……口だけじゃ説得力皆無だから、僕も同じ目に遭えって?


 僕は金銭面や戦略面で貢献するので、その辺の苦役は遠慮します!






 穀物の対価としてもらう報酬についてだけど、精製された貴金属のインゴットでもらうより、鉱山の使用権をもらう方が……


 現地にゴーレムを送りこみ、無限労働させられる僕等にとっては得なので、鉱山持ちの領主にはそれを提案した。



 彼等としても、作物が全滅して税金がとれない状況で、莫大な輸入の代金を容易く払えるわけなどなく……


 「現地から勝手に徴収されるカタチで、短期的に自分の財布が痛まないなら」と、皆その案をのんだよ。



 領主達だって、寝床に侵入した霊が商談をもちかけたり、ユアンが悪用した事で知れ渡った<遠隔商談>ギフトによるやり取りがおこなわれた時点で……


 相手が普通の人間じゃない……おそらく魔王関係者だと、気づいたはずだ。



 だけど相手が胡散臭かろうと、取引を断ったら食糧が足りなくなって一揆が起き、自分達の首も危うくなる状況。


 そんな状況で断るという選択肢などなく、取引の交換レートも良心的なので、「背に腹はかえられない」と食いつくしかなかった。



「サーシャちゃん。食糧問題が落ち着けば、必ず契約を反故にして支払いを拒む領主が出る。その前に、代金分の鉱石は全て掘り切るように」


「はい!」



 採掘要員として現地で作業をおこなうのは、主にサーシャ配下のゴーレム達。


 彼女は<ゴーレムマスター>のギフトを持っているし、僕と違って他のギフトがない分、集中的に鍛えており練度も高いから……


 こういう肉体労働をさせるときは、一番頼りになるのだ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜ゴーレムマスター〜


ゴーレムを愛し、ゴーレムと共に生きる者へ与えられるギフト。使役するゴーレムの攻撃力・防御力が2倍となる。


また日頃から側に置くことで、目をかけたゴーレムの成長速度が早くなり、自然にレベルアップする場合もある。


ゴーレムの成長率には劣るものの、側に置いたオートマタの能力も上がる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






 カルマ君の転送枠を無駄にする訳にはいかないので、作業員である彼等は、ルノーブル先輩のダンジョンから、ボーンドラゴンに乗って現地へ向かった。


 普通のゴーレムなら、カルマ君と同じように下半身がぶっ壊れて、痛みこそ感じないものの動けなくなっているだろうけど……



 サーシャが送り込んだのは、全員ミスリルゴーレム以上の「激硬さん」だからね。


 その程度の衝撃じゃビクともしないし、現地に着いた数分後には作業を始めて、大量の「軽く精製した金属」を送ってきてくれた。



 その後の作業は、鉱山施設をもつ僕が<恵のダンジョン>内でウチのゴーレム達にやらせて、インゴットにした貴金属を先輩方に渡す。


 ギフトに恵まれず<小鬼>同盟で唯一仕事がないスティーブは、足手まとい回避のために自ら帳簿をもって駆け回り……


 誰もやりたがらない会計作業を、ウチのオートマタ達とこなしている。



 ぶっちゃけ彼がいなくても、オートマタだけで完結する仕事なんだけど……正直に「要らん」と言うと泣かれそうなので、放置している状況だ。


 <小鬼>同盟単体の資金調達も、鉱山からついでに出てくる天然石を加工して市場に流すことで賄えたし、まぁ悪くないんじゃないかな?

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[一言] 配下、つまり生き物しかおくれない、制限があり、 配下以外は、マナ10倍以外に、契約した者とかの制限はなし?
[一言] 飢饉の代わりに、鉱山が廃鉱になるなんて、なんて鬼畜なんだw 鉱山周りの仕様は一体!? まさかの条件付きで無限排出!?
[一言] >えっ……口だけじゃ説得力皆無だから、僕も同じ目に遭えって?  僕は金銭面や戦略面で貢献するので、その辺の苦役は遠慮します! 無理(笑顔) 自販機による補給物資の供給源が何を言うかと。 と…
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