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549話 反乱の芽


〜モンティートside〜




「え〜っと、先輩……生きています?」


「生きてる生きてる、ダイジョーブ」


 アスタリアの地雷を踏んで説教が折檻に変わってしまい、真面目に死にかけたが、辛うじて三途の川を渡ることなく帰ってくることができた。



「モンティート先輩、いいですね!? 死にたくなかったら、今度からは自分のことも考えて立ち回るのですよ!」


「いや……何方かというと、僕が殺されかけたのはアスタリアにであって……」



「あ゛ぁっ?」


「いえ、何でもありません。僕が全て悪うございました!」



 ヤバいヤバい、また地雷を踏んで仕置きが長引くところだった。


 セーフ!!



 それにしても……さっきから、邪神の呪詛が飛んできてウザすぎるんですけど!


 スティーブ君が治める<水城のダンジョン>だと、守りが甘くて呪いが筒抜けちゃうので、説教中にも関わらず僕のダンジョンに移るよう要請して……


 なぜか正座のまま運ばれるという不条理を経験したが、本当に移動しておいてよかった。



「(ここまでキツイ呪詛を飛ばされると、僕はともかく仲間の誰かがくらってしまうのは時間の問題。少しでも堅牢な<欲望のダンジョン>で耐えた方がいい)」


 それにしても、なぜ邪神は急に殺意をむき出しにしたのだろう?



 アイツが失敗をする事は過去にも何度かあり、僕等が盛大に稼いで平和に暮らす手助けをしてくれた。


 その度に、次のミッションで微妙に嫌がらせをされたり、悪口を言われる展開が続き、いつしかそれがお決まりパターンになっていたが……


 ここまで露骨に呪詛が飛んできて、しかも殺気塗れなのはマズイかも。






「(ハァ〜。基本的に、僕等は"邪神に管理される側"の立場だ。これまでは、邪神がアレ過ぎて大きな問題にならなかったけど、本気で潰しにこられると詰む)」


 ぶっちゃけ被害を受けるのが僕だけなら、「それも自業自得。仕方ない」ってなるけど、<農民>同盟の仲間やメグミ君達まで巻き込まれるとなると……



「(ダメだな、皆を苦しい目に遭わせるなんて許容できない。もし邪神の害意が本気なのであれば、こちらも身を守るために動かなきゃ!)」


 だけど、相手は神だぞ。


 勝てるのか?



 僕等は常にダンジョンと繋がれ、コアを破壊されると連動して命を失うという、枷をつけられている。


 「ムカつくから」みたいな私情で、好き勝手にコアを破壊される事はないけど、邪神が僕等に不利なミッションを流し続ければ、いずれ耐えきれず死ぬ弱者だ。



 そんなハンデを背負いながら、性格最悪とはいえ"神"である邪神を引きずりおろし、本当の意味で平和を手に入れるなんて……


 常識的に考えると、無謀なのかもしれない。



「(とはいえ、僕が感じたこの違和感。本当に邪神が僕等を滅ぼしたいと思っているなら、出来るだけ早く動かないと! 時間が経てば経つほど不利になる)」


 たとえ致死率10%のミッションだろうと、似たようなものを10回繰り返せば半分以上……30回繰り返せば、95%の確率で僕等は死ぬ。


 そのうえミッションを発令する度に、あんな奴でも学習するので、凶悪性も上がってくるだろう。



 死なないまでも疲弊するパターンを加えると、ギリギリで踏みとどまったところにトドメを刺される可能性も上がり、より洒落にならない事態に……。


 つまり邪神に時間を与えて、殺人ミッションの試行回数を増やさせるのは悪手であり、もし邪神を排除するなら迅速に動かなければならないのだ!






「(この話は、僕の独断で決めていいことじゃない。とはいえ、僕等の動きは邪神に監視されている可能性もあるから……。よし、メールでいこう!)」


 メグミ君から支給された携帯電話のメール機能を使えば、任意の相手にメッセージを一斉送信できるし……



 魔王用のチャット機能を使うのに比べると、邪神に監視されるリスクも低いはず。


 それでも発覚の可能性はあるけど、スピード重視で動く場合どうしたってリスクは付きものだし、隠し通せる可能性に賭けよう!



「(あとは、誰にどの程度情報を伝えるか。<農民>同盟のメンバーには、僕の思いを全て伝えても大丈夫)」


 彼等は成熟した立派な大人だから、僕の考えを全て受け止めたうえで、自分達の頭で考えて答えを出してくれるはずだ!



「(メグミ君にも、全部伝えようかな? ビビっているように見えて軽蔑されるかもだけど、あの子も歳の割には落ち着いているし、きっと受け止めてくれる)」


 というか……もし彼やサーシャちゃん達を排除して動いた場合、後で「信じていたのに! 相談してくれないなんて酷い!」と泣かれかねない。



 相談しない事で彼等の命がリスクに晒されずに済むなら、多少の文句は覚悟のうえでスルーするけど、あの邪神がそんな生温い真似するわけないもの。


 きっと彼等にも同じように危険が降り注ぐし、地力で僕等に劣るメグミ君達は、より大変な防衛戦を強いられるだろう。



「(だから、"言わない"はナシだ! 相談の段階では、発覚リスクを下げるためにリーダーのメグミ君だけ。本格的に動くときは、他の3名にも情報共有する)」

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[一言] モンティートがいなくなったら、農民崩壊しそうだな
[一言] 実態は単なる逆恨みの八つ当たりなんだよなぁ。 基本的に邪神のミスから大損こいたんだし。 まあ、魔王側には知る方法はないけど。 そしてまともな神経なら適当なとこで気持ち切り替えてからまた通常…
[一言] これからは邪神のリソースを削る=死に追いやるだからな… 直接糞尿を浴びせてやりたいけどダンジョンには入ってこないのが面倒だ
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