547話 闇バイト
邪神の魔の手からは逃れたものの、魔王界を代表する"嫌われ者"となった魔王<ブブカ>の魂は、勇敢な一人の少女によって地獄へ送られた。
当然、彼等が果てた<双龍のダンジョン>には、ブブカが移管させた莫大な資産と、魔王<マジェカ>の遺産が残されており……
これを全部奪えれば、邪神の財布事情も多少は回復したわけだが、そうは問屋がおろさない。
姉の仇をとるために、マジェカがアスタリア&ルノーブルと結んだ契約……
それは、「残された己の財産全てとブブカの財産を渡す代わりに、復讐の手伝いをしてくれ」というものだったからだ。
それに伴い、マジェカ配下のモンスター達も<農民>同盟に譲渡されることが決まっており、彼女がブブカを抱きこみ朽ち始めた段階で……
マジェカ配下のモンスターが、外で待機していたルノーブル配下を呼びこんで、契約どおり"支払い"を始め、二人がこの世界を旅立つ頃には完遂。
<双龍のダンジョン>に所属していたモンスター達も、晴れてルノーブルが治める<不死のダンジョン>所属となり、<双龍のダンジョン>は空っぽに。
またブブカと共に移ってきたモンスターは、管理室からの閉め出しをくらってパニックになっている間に、魔王が死んでダンジョンが滅びてしまい……
ダンジョン運営規約に従って、道連れで命を奪われた。
そのうえ……本来なら、魂となり邪神に回収されて転生できるはずの彼等は、アンデッドに特化したルノーブルの手で、強引にこの世に留まらされ……
一働きした現場班のオヤツとして、剥き出しの魂を食われてしまい消滅。
邪神の元へは、食べカスのような雑魚モンスターのリソースしか戻らず、邪神はまた発狂してストレスで白髪が増えたという。
片や、マジェカとの契約どおり闇バイトを遂行したルノーブルは、悟った表情でアスタリアにメールを送り、"小遣い稼ぎ"が済んだことを伝えた。
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〜メグミside〜
「先輩、実質3位なんてメチャ危ないじゃないですか! 危険な橋を渡りすぎです。反省してください!」
「は〜ぃ」
邪神に大金を取られることも、味方から犠牲者を出すこともなく、無事ミッションを乗り切れたものの……
なんとモンティート先輩が4位にランクインし、"無効チート"の邪神を除くと3位という、「シバかれ寸前」の成績をとってしまった。
そのため僕は現在、心を鬼にして先輩に説教をしている最中であり、先輩もアヒルのように口を尖らせてはいるが、それなりに反省してくれている。
「次やったら、ピーマンを生で段ボール一箱分食べさせますからね! 命をかけたギャンブルは厳禁です!」
「イェッサー。(うぅ〜、メグミ君が怖いよぉ。サーシャちゃんも後ろで手を組んでガン睨みだし、若い頃のアスタリアを彷彿とさせる姉御っぷりだぁ)」
ナーティー先輩も説教に加わっており、孤立無縁のモンティート先輩はマジ凹みしているが、僕等の気持ちも考えて欲しい!
だって……詳細な結果に記されていた、モンティート先輩の得票数……実質2位で散ったホイッスネルと、かなりの僅差だったんだもん。
それなのに、自分ではなく僕に微課金して余裕ぶっこいていたと言うし、もう少し危機感を持ってもらいたいものだ!
あとスティーブ&カルマ君……僕は、先輩のことを大事に思っているからこそ叱っているだけで、鬼じゃないんだから戻っておいで。
特にスティーブ。
此処はお前のダンジョンなのに、ダンマスのお前が部屋の隅で震えていたんじゃ、モンスター達に示しがつかないでしょう。
「ところで、アスタリア先輩は何をやっていらっしゃるんですか?」
「あっ、メグミ君! 薮蛇になるから、ソッチには声をかけないでよ〜!」
「ゴホン! モンティート先輩、何が"薮蛇"なのかしら? まだ喋る余裕はあるみたいだし、そこに正座して私にじ〜〜〜〜っくり聞かせてくださらない?」
「グスッ」
普段ならいの一番に説教を始める、<農民>同盟の風紀委員が、スマホの画面に全集中してモンティート先輩をスルーしていたため……
不思議に思って確認すると、ちょうどケリがついたのか笑顔でコチラにやって来て、モンティート先輩を座布団の上に正座させトドメを刺し始めた。
「まったく……。そもそも、ルノーブルが裏で手を回してくれなかったら、貴方……ホイッスネルに勝って、実質2位になっていましたからね」
「えっ!?」
アスタリア先輩、それは僕も初耳です!
えっ……マジで、そんなに切羽詰まっていたんですか?
「うん、そうなの。ルノーブルがホイッスネルを潰してくれたから、辛うじて難を逃れただけ。本当に危なかったんだから。それに、ブブカも逃げただろうし」
「「「「〜〜〜〜〜!!!?」」」」
ルノーブル先輩……どんなフォローをしてくれたのか分かりませんが、マジでありがとうございました!
モンティート先輩は、脚が痺れて子鹿のようになるまで正座させておきますので、贈答品用の「フルーツ盛り合わせ」でも召し上がってください!
お好きな物を、お好きなだけ贈ります!!
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)