546話 共に地獄へまいりましょう
身勝手すぎる理由で、邪神から寄付ミッションが発令されて10日……遂に、期間終了を告げるブザーが鳴った。
<−−− ブーーーーッッ!!!! −−−>
それと同時に「思い当たる節」しかないとある魔王が、残りの財産を全て「奴隷化した魔王」のダンジョンへ移し、肉体までも乗っ取ろうとする。
そして哀れな魔王<マジェカ>は、はるかに格上のドスケベ魔王に己の肉体を乗っ取られ、魂を消そうと圧をかけられ悲鳴をあげた。
そんな中、1位・2位はおおよそ察しがついているランキングと、不本意ながらトップをとってしまった邪神の講評……
という名の、「お気持ち表明文」が公開される。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜ミッション最終結果〜
1位:〇〇(対象外の者に対する投票ゆえ無効)
2位:ブブカ(繰り上がりで1位)
3位:ホイッスネル(繰り上がりで2位)
4位:モンティート
5位:ガブリ
6位:メグミ
7位:ルチルッカ
8位:ハラスメント
9位:ナーティー
10位:アスタリア
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜講評〜
ミッション期間を通して、貴様等がどれだけ愚か者かよ〜〜〜く分かった。
私に「氏名&ダンジョンの所在地」を知られた状態で、よく命知らずなマネをできたものだ。
ランキング結果とは別に、今回の投票で「無効票」を生み出しやがったバカ共は、私が一覧表にして晒してやる!
雰囲気に流されて自分の考えを持てない……だけでなく、社会不適合者ゆえ方々に迷惑をかけまくっているゴミばかり。
このミッションをキッカケに、そんな「魔王界のゴミリスト」を炙り出せたのは、不幸中の幸いだ。
ルールすら守らないゴミ共には相応しい罰を与えるべきだし、わずかな寄付金で図々しく生き残った序列1位が、手本を見せてくれるはず……と信じている。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
この、2位争い以外は面白さ皆無のランキング戦を見て、当事者以外は「あ〜、やっぱりそうなったんだ」くらいにしか思わず、ほとんど興味も示さなかった。
なんせ1位と2位が段違いで嫌われており、途中経過の段階でほぼ結末が見えていたから。
それでも魔王<ブブカ>の性格および厄介さは、多くの魔王が知っていたため、票を投じた者は皆、魔王ランキングで彼の消滅を確かめ……
名前がランキングから消えたのを見て、「ざまぁ! 飯ウマ〜www」と喜びの声をあげる。
また邪神も、「自分が半数以上の票を独占して、圧倒的1位をとってしまった」憤りはあれど、序列上位のブブカから資産を回収できると思い働き始めた。
だが邪神は、すぐに気づく……魔王<ブブカ>が治めていた<風炎のダンジョン>がもぬけの殻で、彼の肉体にも魂が入っていないことを。
「くそっ、あの野郎。また"器"を替えて逃げやがったな!! いい加減死ねよ!!」
今回の寄付ミッションのペナルティーは、あくまでも「全てのコアを破壊されて消滅」という、ダンジョンに紐付いたものなので……
ランキング外にいる魔王の肉体を乗っ取るカタチで、ブブカみたいに魂を逃がされてしまうと、邪神がコアを壊したところでその影響は届かない。
正確に言うと、普通の魔王がマネをした程度じゃ「ダンジョンコアと魂の連動」の方が強くて、乗っ取り先の魔王も巻きこみ全滅するのだが……
ブブカは、魂逃げのプロ。
この手の技術に関しては魔王界トップなので、その「普通起きないこと」が起こってしまったのだ。
「アガァ〜〜〜〜〜〜〜!!!! 私財まで尽く<双龍のダンジョン>へ移されている。これじゃあ、奴亡き後のダンジョンから栄養を奪えないじゃないか!」
そして……致命傷となるペナルティーを与える筈だったブブカが、ただの抜け殻となり実体は逃げてしまったせいで、邪神はまたもや財を奪い損ねた。
ホイッスネルのように、手持ちの資産をほぼ投票券に変えたうえでの結果なら、「すでに寄付してもらったから」と納得できるが……
ブブカは資産勝負を諦めてヤドカリ戦法に出たため、十分な寄付などしている筈もなく、邪神にとってはただムカつくばかりだ。
こうして邪神のペナルティーをかわし、命も繋いで意気揚々……と思われた魔王<ブブカ>にも、予想外の天罰が降った。
<−−− グサッ! −−−>
「なにっ!? どういう事だ!」
『どういう事もなにも……私の肉体が、ミッション終了後に滅ぶよう、あらかじめアスタリア先輩とルノーブル先輩に"楔"を打ってもらっていたのですよ』
「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!?」
ブブカが乗っ取ったはずの、80期魔王<マジェカ>の肉体が、突如として腐り始めたのだ。
そして聞こえる、マジェカのか細い声。
『姉<マルセラ>を殺した貴方をこの手で殺せるなら、私は自分の命なんて惜しくない! 貴方の魂を抱き込んで、共に地獄へまいります』
「ちょっ、ちょっと待て! なぁ、おい!」
ブブカは、マジェカの肉体から出ようと必死にもがくが……すでに彼の魂には、アスタリアとルノーブルが編み上げた「呪いの術式」が這っており……
どれだけもがいても抗うこと叶わず、マジェカの身体と共に朽ちていくのだった。
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)