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543話 ヤドカリ式回避術


〜ブブカside〜




「くそっ、ランキングで負ける目処が立たねぇ。何奴も此奴も、俺の窮地を知って足元を見てくるしよぉ〜。ヘクショイッ!」


 憤りこそ感じるものの、現在ブブカは頭がカッカするまで怒れない状況である。



 彼の治める<風炎のダンジョン>が、日を追うごとにより冷やされてキンキンになり、支出節約のために暖房を切ったこともあって……


 ダンジョン内は冷蔵庫より寒くなってしまい、いくら怒っても物理的に熱が冷めるからだ。



 また痔の大爆発を起こしてトイレに篭ることすらできなくなり、この忙しい最中にオートマタを4体使い、痔の手術をおこなった彼は……


 超高級ポーションで傷こそ治したものの、まだ座ると違和感があり、ベッドに寝転がった状態で執務をこなしている。


 それゆえ、どうしても姿勢が覇気を奪ってしまい、気がつけば現実逃避で不貞寝している有様だ。



 だが……実質1位が確定してしまったブブカにも、一つだけ「ドンデン返しの策」があった。


 それは、以前5期魔王だった彼が滅ぼされたときとった、「己の眷属に魂を移す」やり方で、再び転生して巻き返す……という案。



 だがこの策を実行するには、サブのダンジョンコアが無事で「メイン→サブ」の引き継ぎが正しくおこなわれている必要があるので、このままじゃ使えない。


 2位でギリギリまで追い詰められた後、自分でサブのコアを手に入れて引き継ぎを済ませることは可能だが、1位だと全てのコアを壊されてしまうからだ。






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜緊急ミッション・ルール説明〜


その1:現在生存している全ての魔王は、初期値100枚の投票券を有する。その券は、「この世から消えて欲しい魔王」の名前を書いて投票することができ、最も多くの名前を書かれた魔王は、全てのコアを破壊されて消滅。次点の魔王も、予備のコアを全て壊され、メインコアにも2度ヒビを入れられて「消滅リーチ」となる。


その2:投票券を他の魔王から譲り受けることはできないが、1枚1000万ロルで私から購入することは可能。


その3:救済措置として、投票券の効果を1枚分消せる投票無効券も、1枚3000万ロルで購入することができる。ゆえに「思い当たる節がある魔王」は、己の命を守る為にも、この機会にガッポリ投票無効券を買い込み、魔王業界に寄付で貢献しつつ自衛するように。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 ゆえにブブカは、眷属ではなく「ボコって支配している奴隷魔王」の一人を"器"として、その中に魂を入れることで……


 邪神の容赦ないトップ狩りから逃れよう、と考えた。



 もちろん<風炎のダンジョン>は滅ぼされ、自分自身の肉体も失ってしまううえ、乗っ取った魔王のダンジョンは"格落ち"レベル。


 とはいえ……命そのものを失うのに比べれば、若々しい肉体を乗っ取り再チャレンジする方が、都合がいいので……


 皆の目が、ランキング争いで「モニターに映る順位&名前」へ向いているウチに、コッソリ事を運び生きながらえることにしたのだ。






 そしてブブカは、奴隷魔王の個人情報を改めて確認したうえで、カルマのダンジョンを襲うとき名義貸しさせた80期のマルセラの双子の妹……


 マジェカを、己の器候補の筆頭とした。


「ククククッ。ヒヒヒッッ!」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


第92位:双龍のダンジョン

属性:風

魔王:マジェカ(80期)

保有ポイント:3685,3397


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 この下卑た笑い声からも察せる通り、ブブカがマジェカの肉体を選んだ理由は、「若くて瑞々しい女のカラダ」を堪能したくなったから。


 残念ながら、サーシャと違ってマジェカの顔面偏差値は、お世辞にも高いとは言えないが……首から下は、金をかけて育てられた甲斐あって上質である。


 ゆえに、切羽詰まった状況で今から「最上級の器」を探す暇などないブブカは、手軽に乗っ取れて肉体寿命が長く……


 己の欲望を満たしてくれそうな彼女の肉体を、下卑た本能に従い選んだのだ。



「マジェカも風属性ゆえ、乗っ取った後の運営もしやすそうだしな。あのショボいダンジョンは……邪神に資産を奪われる前に、金を入れて育てておこう」


 下僕扱いならともかく、あと数日で「自分の新たな住処」となるなら、話は別である。


 可能な限り資産を移し、眷属をはじめとする「主だったモンスター」も、<双龍のダンジョン>所属に変えねばならない。



「フゥ〜。よしっ、やるか! クソッ、まだ腹が疼きやがる……」


<−−− ギュルルルルルル〜 −−−>



 それ以外に、このピンチを潜り抜ける術はないと腹を括ったブブカは、大急ぎでマジェカのダンジョンへ向かい、新生活の準備を始めた。


 そのマジェカが、裏で<農民>同盟のルノーブルと繋がっているとも知らずに。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[一言] 追い詰められると調べる余裕も無くなるよね…終わったか
[良い点] …何となく企んでそうな気はしてたよ、投票締切前の転生によるロンダリング。経験者だし。 もちろん、最終手段だっただろうから相当追い詰められてたんだけど。 もっとも、奴隷寝返りの可能性を失念…
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