535話 寄付しろやボケェ!
元巫女であるアスタリアが作った契約書でガチガチに縛り、返済を拒んだ場合は"身体払い"で強引にポイント回収した、メグミ達は……
敵対勢力の傘下にいる相手からも、ある程度回収でき、トータルプラスで終えられたが、メグミ達を真似た上位魔王はそうもいかなかった。
「クソッ、あの鼻毛爺め! 俺が貸したポイントを丸ごと搾取し、返済不能な状態で"奴隷"を邪神に殺処分させるとか……鬼畜にも程があるだろう!」
ポイント回収に失敗して損した魔王達は、債務者だけでなく「その背後にいる大物」も恨み、そのくせ自分が奴隷魔王から搾取した件は棚上げ。
結果……彼方此方でヘイトが溜まり、情勢次第では即殺し合いが始まるほど、険悪な関係になった者も現れた。
それを見越して、バッティングした相手のメンツも多少は立て、スッとヘイトを回避した<農民>同盟の債権回収班にとっては、対岸の火事だが……
魔王掲示板では、かつてない程荒々しく上位魔王同士の嫌味が飛び交い、一触即発の空気を醸し出している。
そんな中、辛うじて絶望の淵から逃れた邪神が、新たなミッションを発動。
それも、タチの悪い徴税ミッションであり……誰を狙っているかは明白だった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜緊急ミッション〜
私利私欲を満たした一部魔王のせいでリソースが枯渇し、81期を迎え入れるどころか、貴様等のダンジョンを管理するのも大変になった。
よって「寄付ミッション」をおこない、枯渇したリソースの復活を目指す。
ミッションの内容は以下の通りだ。
己の将来をよく考え、この機会に邪魔者を消すべく投資するのも手だぞ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜ルール説明〜
その1:現在生存している全ての魔王は、初期値100枚の投票券を有する。その券は、「この世から消えて欲しい魔王」の名前を書いて投票することができ、最も多くの名前を書かれた魔王は、全てのコアを破壊されて消滅。次点の魔王も、予備のコアを全て壊され、メインコアにも2度ヒビを入れられて「消滅リーチ」となる。
その2:投票券を他の魔王から譲り受けることはできないが、1枚1000万ロルで私から購入することは可能。
その3:救済措置として、投票券の効果を1枚分消せる投票無効券も、1枚3000万ロルで購入することができる。ゆえに「思い当たる節がある魔王」は、己の命を守る為にも、この機会にガッポリ投票無効券を買い込み、魔王業界に寄付で貢献しつつ自衛するように。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「うわぁ〜、邪神激オコじゃん! この"思い当たる節がある魔王"って、絶対に僕等のことを指しているよね? 私情はさみ過ぎでしょう!」
「と言いつつ……モンティート先輩、メチャクチャ楽しそうな顔をしていますね。悪知恵ばかり働かせると、変なところにシワができちゃいますよ」
「ウゲッ!」
名指しこそされなかったが、ミッションの通達文から邪神の恨みをヒシヒシと感じ、防御結界に刺さっている呪詛と併せ見たメグミ達だが……
その表情に悲壮感はなく、祝勝会とほぼ変わらぬ雰囲気で話し合いを始めた。
邪神の脳内では、「<農民><小鬼>同盟に排除票が集中し、命を守るために彼等が投票無効券を買って、寄付が集まる」イメージが浮かんでいるが……
実際のところ、追加で券を買える上位魔王のヘイトは、貸したポイントを奪っていったライバル魔王へ向いており、メグミ達など目に入っていない。
またメグミ達に深い恨みを抱いた、「セルフサイコロ刑と臓器&ステータス抜き」をくらった連中も、ほとんど邪神に殺されてしまったため……
投票券100枚をメグミ達に集中砲火しようと企む者は少なく、防御も容易なのだ。
「それに、これって"上位2名"に入らなきゃいいだけでしょ? 生贄を用意して、その魔王に僕達の票を集中させれば解決じゃん」
「ですよね〜。最悪の場合でもトップさえ取らなきゃ何とかなるので、生贄1名に票集中でいいと思いますよ」
また邪神は肝心なことを忘れているが……互いを牽制し合い、同盟関係でもパートナーを信用できない者も多い中で……
<農民><小鬼>同盟の仲は非常に良く、計9名の票をターゲット一人に投下することも容易い。
「誰かが僕等を貶めようとする場合、誰が狙われるか分からないですし、"攻撃は最大の防御"って事でいいですよね?」
「うん。多少"投票券"を買う必要はあるけど、誰に来るか分からない攻撃を高い無効券で防ぐのはナンセンス。ターゲット一人を確実に沈める方針でいく!」
メグミもモンティートも、特に関わりのない善良な魔王を生贄にして殺すほど鬼ではないが、今回はちょうどいい相手がいた。
「先輩。生贄は、魔王<ブブカ>でいいですよね? 奴隷状態の魔王に借金を踏み倒させて、絶賛"ヘイト買いまくり状態"ですし」
「もちろん。この前、カルマ君にチョッカイをかけた落とし前……つけてもらうよ」
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)