527話 砂漠ダンジョンのデメリット
そして、お待ちかねの<特級カタログギフト>。
当選確率(目算)0.01%で、どの魔王にとっても垂涎の品だ!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
特級カタログギフト:0.01%
上級カタログギフト:0.99%
中級カタログギフト:3%
下級カタログギフト:26%
初心者用カタログギフト:70%
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
と言っても、多くの場合……このカタログギフトの使い方は決まっている。
「う〜ん。今度は、コッチの小川を支配領域に組み込もうかな? 最寄り街の支配で得られた不労所得には劣るけど、小川に住む魚からもポイントは取れるし」
サーシャが地図を見ながら考えているように、己のダンジョンの支配領域を拡張して、最寄り街や重要な区画を支配領域内に収めるのだ。
そうする事で、その場所に住むダンジョン外生物の生命エネルギーをポイント化できるし、ダンジョンの特性にも影響を与えられる。
支配領域の拡張は、普通のサイズのダンジョンまでならポイント消費だけでもおこなえるんだけど、それ以上となると……
この特級ギフトカタログで権利をもらうか、超難関ミッションを潜り抜けて、邪神から褒美としてもらうパターン以外に道はない。
つまり……ダンジョンの勢力に直結するにも関わらず、代替手段がないため、特級ギフトカタログを得られる機会があれば、その都度それを使い……
ジワリジワリと周りを飲み込んで、勢力拡大するのだ!
とは言っても、特級ギフトカタログ自体が滅多にもらえないレアアイテムなので、最寄りの街をほぼ飲み込んじゃっている激太魔王なんて……
すぐ側でサーシャに先輩としてアドバイスしている、<農民>同盟の先輩くらいしかいないんだけど。
しかし……ここで一つ、悲しいお知らせがある。
「サーシャを含めた多くの魔王が、特級ギフトカタログを得たらほぼ確実にコレを選ぶ」という、支配領域拡大権……僕には何の役にも立たない。
だってさぁ〜、よく考えてみてくれ。
<恵のダンジョン>は、最寄り街まで1日以上かかる砂漠の真ん中にあるんだぞ?
そんな立地条件で支配領域拡大権を得たところで、到底"その街"には届かないし、それどころか……支配できる周りの領域も砂漠しかない。
掌握したところで、生存に向かない砂漠じゃ得られる「ダンジョン外生物の滞在エネルギー」はたかが知れている。
そのうえ、周辺の土地も<恵のダンジョン>を創った立地と同条件の「無機質な砂漠」でしかないため、どこを得てもダンジョンの特性は変わらないのだ。
メリットを挙げるとすれば、支配領域が広がることで侵入者への仕掛けがやりやすくなる……という点があるが……
それは、広い支配領域のどこかで改造阻害系のギフトを使われると、モンスターの補充や侵入者特化の対策ができなくなるという、デメリットと隣り合わせ。
ぶっちゃけ、現在のダンジョン支配領域でも、奥へ奥へとまだフロアを増やせるから全く困っていないし……
せっかくの超レアアイテムである特級カタログギフトを使って、そんな「可もなく不可もなし」的な権利を得るほど、僕は余裕のある強強魔王じゃないのだ。
「(だから、皆が選ぶ支配領域拡張権を選ばないのはいいとして……何をもらおう?)モンティート先輩、いい案とかありませんかね?」
「コソッ。(とりあえずサーシャちゃん用に老化速度を遅くする能力でも買っておけば? 若いうちに買う方が得だし、君達は老化スピードに差があるから)」
なるほど。
たしかにサーシャの寿命を延ばせるなら、貴重な特級カタログギフトの枠を使うだけの価値がある……と言えるだろう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜若返りギフト〜
強いモンスターの肉を食べることで肉体年齢が若返る。
壮年になった頃からアクティブとなり、成人したころの肉体年齢に戻ると鳴りを潜めるため、幼少期に戻ることはできない。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
だけど……
「コソッ。(サーシャって自立心あるタイプの女性だから、これだけ高価なプレゼントは……嫌がりませんかね?)」
「コソッ。(遠慮しちゃうかもだけど、<恵のダンジョン>じゃ支配領域を拡大しても無意味だし、好きな彼女とより長い時間を過ごしたいと言えば……ね)」
ふむ。
それなら、遠慮しつつも受け取ってくれるかも。
交換前に聞いたら遠慮されちゃうかもしれないから、思い切って<老化速度低下>をゲットした後、事後承諾って形で強行突破するか?
サーシャも、僕が<若返りギフト>を得たことを喜びつつ、少し"老化スピードの差"を気にしていたし。
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)