524話 悍ましい成長
一口に"魔王"と言っても、トップ層の<農民>同盟と消えかかっている最下位魔王じゃ、動かせるポイントの規模が全然違うため……
ポイントの移動総数が一定ラインを超える度に、カタログギフトの品を贈るにしても、どのラインでどの報酬を渡そうが不満が噴出する。
それゆえ邪神は、宝クジ形式で「1000万ポイント毎に1個のカタログ排出」というカタチの抽選をおこない、何が出るかは運任せにした。
どの種類のカタログが何%の確率で排出されるかは、記載がないので正確には分からないけど……
僕等のカタログを分類した結果、おおよそこんな確率分布になるという、情報は掴めている。
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特級カタログギフト:0.01%
上級カタログギフト:0.99%
中級カタログギフト:3%
下級カタログギフト:26%
初心者用カタログギフト:70%
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この初心者用カタログギフトは、<恵のダンジョン・天国と地獄フロア>で言うところのタワシであり……
ダンジョンを物理的に掘り進めて、少ないポイントで拡張するための鍬やスコップ、1冊あれば十分なルールブック等がもらえる。
幸いなことに、初心者用カタログギフトでも「冒険者になりたての若手が使う安物の矢」は選べるので……
最善の処分方法は、この矢を大量購入して人間のマーケットで転売し、現金に換えて再びポイントを得る資金にするやり方だ。
ヘタに物欲を出して生活用品なんかに換えると、上位互換の商品が下級カタログギフトに載っており、後悔するハメになるので……
還元率は低くても、きちんと現金化してガチャの試行回数を増やす方が、トータル"お得"である。
下級カタログギフトには、スティーブやカルマにとっては嬉しい家具、および「モンスターの渦」等が載っている。
永遠にモンスターを生み出し続けるからと、脳筋100%で「モンスターの渦」に手を出すと、維持管理コストに泣かされるので注意だけど……
「モンスターの渦」が得なのは事実なので、必要に応じてゲットしていく。
「やった〜。これで"ゴーレムの渦"30個達成〜!! 兵隊不足に悩まされなくなる〜♪」
<ゴーレムマスター>の称号をもつサーシャは、有事の際、兵隊として最前線で散っていくゴーレムを補充するために、「ゴーレムの渦」を大量ゲット。
普段は生成装置をoffにしておいて、きな臭くなったタイミングだけonに切り替え、兵士切れによる敗北を防ぐ算段だ。
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〜ゴーレムマスター〜
ゴーレムを愛し、ゴーレムと共に生きる者へ与えられるギフト。使役するゴーレムの攻撃力・防御力が2倍となる。
また日頃から側に置くことで、目をかけたゴーレムの成長速度が早くなり、自然にレベルアップする場合もある。
ゴーレムの成長率には劣るものの、側に置いたオートマタの能力も上がる。
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「モンスターの渦」はスイッチをonにしておけば、改造阻害系のギフトで「購入によるモンスターの補充」を阻害されても、通常どおり機能するので……
欲張ってキャパオーバーのモンスターを抱え込みさえしなければ、保険としても優秀なのである。
何方かというと戦力拡充の方針をとったサーシャとは反対に、僕は下級カタログギフトで、嫌がらせ用のモンスターの渦を大量ゲットした。
ダニ・ハエ・ドブネズミ、何でもござれ……糞尿攻撃と併せて、ある意味「最凶の兵」となるだろう。
そして極め付けは、人間サイズの巨大ゴキブリモンスター<ジャイアントコックローチ>の渦を得たことだ!
この渦から生まれた子達には、死兵となって、仮眠をとる侵入者へ繰り返し奇襲してもらう。
そりゃあ、強さ的には大したことないけどさぁ〜……誰だって嫌じゃん、自分とほぼ同サイズのゴキブリが、ウ○コまみれで襲ってきたら。
しかも甲羅が固くて無闇に倒すと剣が曲がるし、倒したところでドロップアイテムもショボイ!
何より……集団行動するから、襲われる方からするとトラウマものなんだよ。
「なんかさ……メグミ君のダンジョンって、オバケ屋敷より肝冷えるよね〜。いや、私が言えた事じゃないんだけど」
「うん。サーシャのダンジョンも、似たようなものだから」
何たって彼女のダンジョンのコンセプトは、「侵入者の命も身体もお財布も、全部むしり取る」だからね。
死んだ後も、ケツ毛一本まで無駄なくスライムのご飯になるんだから、怖いのはお互い様だ。
まぁ、「全部むしり取る」のに加えて「尊厳まで破壊される」分、ウチの方が少〜しだけヤバイのは認めるけど。
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






