表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

522/931

522話 借り入れる魔王達


〜とある魔王side:1〜




 邪神の野郎がクソみたいなミッションを出してきたせいで、「もう終わりだ」と悲嘆に暮れヤケ酒を煽っていたとき……俺に、救いの神が現れた。


 えっ、なぜ自力で足掻こうとしないのかって?


 そんなもん、俺の順位が"下から7番目"だからに決まっているだろう!



 ボーダーラインギリギリの連中は足掻くかもしれねぇが、人間との戦いで消耗して100万ポイントも出せねぇ俺じゃ、どうやってもノルマまで届かねぇ。


 座して死を待つのは嫌だが、足掻こうにも俺の場合元手が足らなすぎて、その土俵にすら立たせてもらえなかったのだ。



 だが、俺の前に現れた神……アスタリア様の遣いは、一時的とはいえ「ポイントを貸してやる」とおっしゃった。


 客観的に見て信用皆無な俺にまで話を持ってくるって事は、他の下位魔王にも借金の誘いがいっているんだろうが、そんな事は関係ねぇ。



 そのまま動かなければ、3アウトで確実に死ぬ運命だった俺に、足掻けば何とかなるかもしれないチャンスが舞い降りたんだ!


 たとえ1%の確率でも、夢も希望もなかったさっきまでよりは余程いい。



 思いっきり足元を見られていて、利率は高利貸しそのものだが……それに文句を言える信用も余裕も、俺には皆無だからな。


 3割乗せての返済くらい、こなしてやるよ!




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜とある魔王side:2〜




 邪神の鬼畜ミッション発令によって、命を失う瀬戸際にいる私は、アスタリア様からの誘いを聞いて驚愕した。


「(まずい! もしこの融資話が、下位の魔王全員にまわっているとしたら……乗らなきゃ、私は確実にランキング争いに負ける!)」



 ダンジョンコアにヒビを入れられるラインである下位50名に、ギリギリ含まれている状況の私は、すでに2アウトなのでコレをくらうと終わりであり……


 生き残るために、睡眠時間を減らして必死に働き、なんとかボーダーラインを越えようと足掻いていた。



 だが……この融資を他の下位魔王が受けてしまい、私が受けずその部分で相対的マイナスをくらうと、私は確実に争いに負けて死んでしまうだろう。


 下位である私がどれだけ足掻いても、トップ層のアスタリア先輩が融資をおこなう破壊力には勝てないし、武力による抵抗など無意味。


 魔王掲示板で抗議活動したとしても、水面下で他の魔王に出し抜かれて、自分だけバカを見る可能性が高いので、"借りる"しか選択肢がないのだ。



「これが資本主義ってやつね。富める者は下から搾取して更に富む。私みたいな下位層は、搾取され続ける人生で終わるのだわ」


 とはいえ……裏を返せば、私がこの場で融資を受ければ、ライバルと比べて相対的不利になる事はないので、自助努力と併せれば勝てるはず!



 短期間で利息3割とか鬼畜の極みだけど、他に選択肢がないし、死ぬくらいならライバルを出し抜いて蹴落とす側に回ってやる!


 そしていつか、私もアスタリア様のように「搾取する側」になって、下位層の働きでオイシイ思いをするの!!




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜とある魔王side:3〜




 魔王<ブブカ>に攻め込まれて実質奴隷となり、今回の鬼畜ミッションで散ることが確定していた俺は……


 奴よりも上位のベテラン魔王である、アスタリアの使者がやってきた事で、僅かな光明を見出した。



「融資の件もそうなんスけど、このダンジョンはブブカに支配されていて……。助けてもらうことって出来ないですかね?」


「其方が、アスタリア様を動かす相応のメリットを提示できるのであれば、取次はしますが、ただ"助けてくれ"は虫が良すぎるかと。で、どうなさいます?」


「…………借りさせてください。(恵まれた立場にいるんだから、困っている相手に手を差し伸べるくらい、してくれたっていいだろうに。この守銭奴が!)」



 だが、アスタリアに金を借りれば下位50位から逃れられるかもしれないし……


 もしブブカに見つかってポイントを奪われても、返済日に「無い袖は振れない」で逃げればいいだけ。


 「<農民>同盟のベテラン相手にそんな事をしたら、ボコられて殺されちまう」って話だが……このまま手をこまねいていても、殺されるからな。


 それなら一か八か借金して、返済不能になった際は、守銭奴のムカつくババァに負債を押し付けて死ねばいい。



「って、あれ? この契約って……」


「あぁ、それは"規定通り返済できなかった際の対応"です。決められたとおり返済していただければ、問題ありませんよ」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


・規定時間までに返済できなかった場合は、魔王本人の身柄を押さえたうえで、ダンジョンにある物をポイント化して、債権回収をおこないます。

なお差し押さえされる財産の中には、魔王の肉体や命も含まれますので、あらかじめご了承ください。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 この契約、怖いんスけど。


 そりゃあ返済不能になった時点で殺されるのは理解しているが、契約書に明文化って……。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 百色の泉は、この際ほしいな スティーブのところで、泉で池か釣り堀を作り、使用税を取り、オアシスフロアやヘブンズフロアの住民に、魚売りをやらせるのも、ありだな
[一言] わんさかカタログギフトのアイテムが手に入るわけか…極悪
[一言] さて、融資受けた奴の何人が生き残れるかなぁ。多分今回出た3人は全滅だろうけど(おいっ) No2はまだワンチャン生存の目があるって程度かな? そして3アウト魔王の資産回収の当てが外れて地団駄…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ