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508話 進んでも地獄、引いても地獄


〜メグミside〜




 若手魔王を試すつもりで気軽に入ったダンジョンで、2桁の部下を殉職or後遺症持ちにされた挙句、ウンコが原因で仲間割れとか……


 愉快すぎて笑いが止まらない!


 このままじゃ、表情筋と腹筋が筋肉痛でバキバキになって、皆の前で醜態を晒すハメになっちゃうよ。



「大丈夫。たぶん僕等も、同じように筋肉痛地獄に落ちるから。ヒィ〜ッヒッヒッヒッ!!」


「歳を言い訳にして普段運動をサボっているつけが、こんな所で回ってくるとは。ダメッ! 面白くて、お腹の痙攣が止まらないわ!」


「メグミ君がデザインしたダンジョンには、この喜劇が付いてくるから癖になる。同じSSランクでも、俺達の眷属は楽々通れそうだがな」



 …………と思ったら、僕と同じく先輩方も笑い沼に沈んでしまったようで、3人とも身体をくねらせてピクピクと痙攣していた。


 ちなみに、サーシャは猫を被り上品ぶっているが……喜びが隠しきれておらず、口角がニュッと上がっている。


 すっかり僕等に染まったスティーブも、先輩方がいる手前、さすがに笑い転がりはしないけど、部屋の端で三角座りになり背中をピクつかせているよ。



「えっ? えぇっ…………?」


 敵を地獄に叩き落としたダンジョンの主であるカルマだけは、侵入者を殺したことによるポイント収益と、モニターに映る惨状に呆然自失。



 まだ石化していないだけマシだけど、状況を理解して敵の不幸を喜べるようになるには、まだ経験が足りないので……


 ここは先輩として温かく見守り、いずれは彼も図太い魔王になれる事を願って、成長記録を動画に撮り残しておいてやろう。






「で……これだけ一方的にやられたのに、一旦引いて状況を立て直したり、事態を主人に報告するでもなく、ウンコまみれの部下と先へ進むのね。終わったな」


「このダブル・フェニックスには、退却を受け入れられる器がないのでしょう。将に据えるモンスターをミスりましたね」


「我々にとっては、SSランク一体をカルマの糧にできるチャンス! ブブカの財布で<小鬼>の新人を育てるとか、愉快でたまらないぜ!」



 初見殺しの罠に引っかかり2桁の部下を失ったにも関わらず、怒りで視野がせまくなり、無策のまま先へ進もうとしているダブル・フェニックスを見て……


 先輩3人は容赦ない評価をくだし、サーシャが「(汚い映像の)口直しに」と用意した、「黒糖きな粉わらびもち」を食しにかかる。


 すでに彼等の中では、ブブカの偵察失敗とダブル・フェニックスの死は確定事項であり、そんな事より「きな粉をこぼさずに甘味を食す」方が重要なのだ。



「(まぁ実際、ダブル・フェニックスがクサイ部下を連れて、時間経過によるトラップ解除で扉が開いた隙に2階層へ降りた時点で、勝ちは決まっている)」


 だって……奴等がさっきまでいた1階層は、トラップの再設置と清掃作業が終わり次第、先輩方の眷属達がたむろする「鉄壁のフロア」になるんだもん。



 眷属含めて6体のSSランクモンスターが入り、それを補助するSランクモンスターも数十体いる状況なので……


 出口を塞がれてしまったブブカの部下は、まず間違いなく生きて外へ出られない。


 彼等に残された道は、大人しく倒されてダンジョンの糧になるか、ウンコ臭を撒き散らし、先輩方の配下に「戦闘後の入浴時間」を多く取らせるかの2択だ。






 もっとも……そんな事など一切知らない、ダブル・フェニックス率いる視察団は、2階層で「ぬかるんだ堆肥」と戯れていた。


 <森のダンジョン>は予算節約のため、フロアの構造を金太郎飴形式にしたり、同じトラップを多用したりと、基本的には似た環境が続く。


 しかし全て同じという訳ではなく……2階層は、木がより良く育つ事を願って、<恵のダンジョン>産の堆肥をたっぷりと撒いてある。



 ちなみに3階層より下は、以前マサルから聞いた「花粉症の猛威」を再現するために……


 アレルギーを引き起こしやすい花粉がメチャクチャ飛ぶ植物を、其処かしこに植えてある。


 しかもサラッと風が吹くだけで花粉が舞うので、風魔法など使おうものなら、その場にいる連中は花粉症街道まっしぐらだ!



 しかもその植物達は、「花粉がたっぷり詰まっている状態」でデフォルト登録したため、ポイントで自動修復すれば無限に花粉を飛ばせる。


 僕は花粉症じゃないので、その辛さが分からないんだけど……マサルいわく、「永遠に続くくらいなら金属バットで殴られる方がマシ」らしいので……


 たぶん特定の人にとっては辛いのだろう。



 もちろん味方のモンスター達を、花粉舞い散るフロアへ入れるときは、ガスマスクを着けさせたり結界で防御させるよ。


 花粉で困るのは、何も知らずウンコに気を取られて他への警戒がおざなりになっている、侵入者だけだ!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[一言] これって、再生能力がある状態で倒しても、カウントされるのかな?
[一言] 笑顔の絶えない職場で良いですね!
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