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506話 棺トラップの発動トリガー


〜とある侵入者side〜




 俺はブブカ様の指示を受けて、序列最下位のくせに勢いのある<小鬼>同盟に入った、魔王<カルマ>に灸をすえるため……


 部下を引き連れて、目ぼしい資源が一つもない無人島へ、複雑な気流を潜り抜けてやってきた。



 今回の目的はあくまでも"偵察"と"釘刺し"なので、カルマが治める<森のダンジョン>が高難度なら諦めて引け、と命じられているが……


 所詮、田舎すぎて誰も寄り付かなかったからこそ生きながらえただけの、雑魚ダンジョンだろう?



 <小鬼>同盟のリーダー<メグミ>が支援して、多少マシにはなっているかもしれないが、足掻いたところでドベはドベ。


 "釘刺し"名目でコアルームまで攻め落として、ダンジョンコアを釘で打ちボロボロに壊してやるよ!



 と思っていたのだが……上陸して、<森のダンジョン>の入り口にたどり着くなり、俺の目に不吉な看板が映った。


「ここのダンジョンも、<小鬼>同盟と同じく"日干しイズム"を継承しているのか。若いくせに、しみったれた魔王だぜ」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜警告〜


当ダンジョンは、冒険者・軍人・モンスター等"属性を問わず"侵入者の受け入れをお断りしております。


そのため、金銀財宝がドロップしたり一攫千金のチャンスがある造りにはなっていませんので、あらかじめご了承ください。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 こんな文章を掲示したところで、わざわざ上陸困難な離島まで来た連中が、侵入を諦める訳ないと思うが……


 あまりに誰も来なすぎて実践経験がなく、「書いたら遠慮してくれる」的なお坊ちゃん思考が抜けきっていないのか?


 魔王<カルマ>は貧乏だったと聞くが、一応ラヴィレンス高等学園に通っていた元貴族子弟だし、ムダにお上品な性格なのだろう。






 当然、ブブカ様から命令を受けてココにきた俺が、若手魔王の"脅し"なんぞ聞くはずもなく……


 看板を火で燃やして消し炭にし、部下と共に意気揚々と<森のダンジョン>へ足を踏み入れた。



「ふむ。名前のとおり、木が生い茂っているのか。我等はスピードに重きを置いて構成された部隊ゆえ、ほぼ全員が"飛行系"。木をかい潜る地上ルートは悪手だ」


 だがこういう場合、木が進路を遮っていない上空を飛べば、魔王自慢のトラップも全て無視してサラサラと進める。



 それを見越して上空にもトラップを置く、慎重な魔王もいるが……あくまでもメインは"森の中"だからな。


 飛行系モンスターしか通らない上空は、サブ的な扱いで仕掛けもゆるく、攻略難度は2,3段階下がるのが普通だ。



<<<−−− ガコンッッ!! −−−>>>


「(何だ!? 変な音がしたが、さっそく敵のお出ましか!?)」



 と思ったら、頭に大きなタンコブを作り気絶した部下達が、上空から地上へ落ちてくる。


 どうやら木のすぐ上に"目に見えない天井"があり、安易に上空を飛ぼうとすると、それにぶつかって墜落させられるようだ。



「(しかも、なんだかカビ臭いな。ダンジョンの自浄機能すら、ポイント不足でONにできなかったのかよ!)」


 仕方ない。


 墜落して失神してしまった部下は、可哀想だが叩き起こして、次点の作戦へ移ろう。



「おぃ。今からこのフロアの木を全て燃やす。風部隊と火部隊に分かれて、業火を生み出せ!」


「「「「「「「「「「うっス!」」」」」」」」」」






 俺たちが好んで使う<火>は、<水>に弱く<土>に強い。


 正確には「<土>に強い」というより、「土属性魔王が生みだす草木が生い茂ったダンジョンに強い」のだが……。



「ここに生えている木は、一見"地上と同じ木"に見えるが、全てダンジョンが生み出したオブジェクト。つまり、燃やし尽くせばカルマの財布は痛む!」


 そしてトラップも"落とし穴"以外全て焼き尽くされ、木がなくなった事で低い天井も無意味になる。



 あまり頻繁に使うと、マナの消耗が激しく疲れるうえ敵に手札を知られてしまうが、ここまで相性のいい場面で使わない手はない!


 さっさと全て消し炭にして1階層を突破し、ダンジョンで攻略の知らせを待っているブブカ様に、めでたい報告を送るのだ!



「火魔法部隊、着火!」


「「「「「「「「「「うっス!」」」」」」」」」」



「風魔法部隊、火を助けて勢いを強めろ! 木を燃料にするイメージで、燃やし尽くせ!!」


「「「「「「「「「「うっス!」」」」」」」」」」



<−−− ウィーーーン −−−>


 って、あれ……?


 心なしか、今……不吉な音が背後からしたような……。



「報告致します! 斥候いわく、フロアの入り口と換気口がいきなり塞がったとかで……」


「(クソッ、やられた! 条件付きトラップが発動するトリガーが、"森の木を燃やすこと"だったんだ。入り口だけでなく換気口まで塞がったということは……)」


 奴等、俺達をここの森ごと自爆させる気だな!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[一言] マルセラ嬢? 80期が、ブブカの配下についた理由、なんじゃろな
[良い点] 現状の罠を見てると王道でお上品だなって思うのは恵のダンジョンに毒されて無いかって少し自分自身に問いかけてしまった い、いやきっとダンジョンの主であるダンジョンマスターが人を嵌めるのが苦手…
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