494話 <小鬼>同盟・ノルマ達成
スティーブが石像のように固まって動かないので、先輩達にヘルプコールを出したところ、アイテムボックスから猫じゃらしを取り出し……
3人で一斉にスティーブをくすぐって、無理やり覚醒させたので、容赦なさすぎて吹き出してしまった。
「メグミ君、そんなに笑っていると君にもやっちゃうぞ〜!」
「私達も長年ランキング上位に君臨してきたからさぁ。こういう事も何度もあったのよ」
「土下座降伏しに来た魔王だけで、過去100名はいたからな。そのまま首をはねた事もあったが、大抵は全員で囲んで猫じゃらしの刑に処した」
あぁ〜、なるほど。
プライドを傷つけられたと掲示板で騒いでも、余計に恥をさらすだけだし、自力で勝てないから先輩方に命乞いするハメになったわけで……。
その降伏した魔王達は、身の程を思い知らされて魔王界の片隅で余生をおくり、ほぼ誰にも知られぬまま散ったのだろう。
「この姿勢だと、首も脇も足の裏もノーガードだからな。くすぐり放題じゃ!」
「大抵の子は、30分くらいピクつきながら耐えるけど、そのうち限界がきて起きてくれるんだよ。鼻水垂らして泣きながらだけど」
「粋がっていたタチの悪い魔王も、その様子を動画で記録してやると大人しくなる。ベテランならではの謝罪対策だ!」
OK、先輩方に負けても謝っちゃいけないのはよ〜く分かりました。
スティーブも、猫じゃらしから這って逃げ出しトイレにこもったので、あと5分もすれば使える状態になるだろう。
「という事で……疲れたところ悪いんだけど、さっそくこのリストにある教会関係者を始末してくれ。お前が固まっている間に、悪事の裏が取れた」
「はい。精一杯務めさせていただきます」
トイレから出てきたスティーブは、3徹した後のように10歳くらい老けこんでいたが、生きていたので問題ナシ。
さっそく<水城のダンジョン>から行ける狩場を、リストアップして渡してやると、モンスター達に指示を出しミッションをこなし始めた。
「メグミ君、私はこの4箇所を処理するね! <集金箱のダンジョン>からは遠いけど、戦闘力もある潜伏班が近くにいるんで」
「了解! じゃあ僕は、この5箇所を片付けるよ」
もう外は日の出をむかえており、先輩達と比べると遅い感じがしてしまうが、ウチの調査部隊は極めて優秀だしマサルのリストアップも充分はやい。
ただ単に、魔王界序列トップ同盟の調査力とその後の討伐速度が異次元すぎただけなので、たぶん他の魔王よりは素早く終わらせられるだろう。
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〜ミッション速報〜
<農民>同盟の5名に続いて、<小鬼>同盟の3名がミッションの最低ノルマをクリアした。
未達成の魔王は、引き続きノルマ達成に向けて励め!
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「ん。公に"ノルマ達成"が認められた以上、もう狩りは止めてもよさそうだね。邪神の無茶ぶりにはムカつく限りだけど、こういう速報だけはありがたい」
それにしても……無罪の容疑者もいるかもしれないからと、多めに調査した結果、黒確定だけどミッションの足しにはならないクズが残ってしまった。
生かしておくだけで周りが迷惑しそうなゴミばかりなので、このまま狩り切ってもいいのだが、ちょい勿体ない気もする。
「メグミ君。余っちゃったターゲットは、掲示板で絶望の意を書き綴っている下位魔王達に、恵んであげてもいいんじゃないかな?」
「ふむ、たしかに。情報を買ってくれそうな中堅以上の魔王は、自力でミッションのノルマくらいこなせるだろうし、狩らないなら流してもいいかもね」
だけどそういう連中って、貰えるものは我先にと貰うけどコチラが困ると手のひらを返して叩き出す、ゴミの確率が高くない?
さすがに、そういうゴミには渡したくないんだけど。
「それは同感。じゃあ、今までアンチしなかった魔王で困っている人を対象に……とかはどう?」
「うん。それなら気持ちよくプレゼントできそうかも。さっそく、対象者を探してみよう!」
にしても……自分の身を守ることで精一杯の下位魔王にとって、今回のミッションは鬼畜すぎるよなぁ〜。
へたに好感度の高い教会関係者を殺すと、それに怒った周りの人々が一致団結してダンジョンを攻め、アッという間に潰されてしまうし。
かと言って、僕等のように独自で「狩ったところで内心"ざまぁ"としか思われない系のクズ」を見つけ出す実力もない。
魔王業界は自己責任、とはいえ……気の毒なはなしだ。
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






