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490話 過半数が引きこもる同盟?




 新人魔王時代のおこないを掘り起こされたくないのか、珍しく先輩が「ナイショ!」と抵抗していると、気の毒な天災が先輩に降り注いだ。


「あっ、メグミ君。コレ……」


「おぉ、ナイスタイミング? 先輩。アスタリア先輩とナーティー先輩が、食事会の話を聞いて"合流したい"とメールしてきました。いいですよね?」



「えっ!? いや、ぅん……構わないよ」


 今絶対「黒歴史を掘り返される」と思って、先輩二人の合流を拒否しようとしましたよね?


 だけど理由が不純だとアスタリア先輩が怖いから、仕方なくOKの返事をした……と。



「あぁ〜。武装農民時代の黒歴史が、メグミ君たちに広まっちゃう! あれは若気の至りなのに〜〜!!」


「でも先輩、冒険者を引退した45歳のときに魔王転生させられたんですよね? 若気の至り?」



「うっ! だって、それまで身一つで動く冒険者だったんだもん。チームを組むことも人に指示することもなかったし、初体験でハッチャケたというか……」


「なるほど。(僕もボッチだったので、先輩の気持ちは痛いほどわかりますが、スティーブがいるので言葉には出しません。威厳がガタ落ちになっちゃうので)」



 でも、土精霊のハーフで精霊に愛されている先輩が、よく何十年もソロ冒険者なんてやりましたね。


 普通、強い仲間を求めた同業者からお誘いがくるでしょうに。






「それは、このお爺様がハーフだったからよ。精霊からはともかく、人間界だとハーフって嫌われるじゃない」


「あぁ、なるほど。って、お迎えもせずスミマセン! アスタリア先輩・ナーティー先輩、ようこそお越しくださりました!」



 アスタリア先輩は、お堅い感じの上流階級のお婆さん……ナーティー先輩は、極道っぽい感じの強面爺さんである。


 救援活動のときに、ナーティー先輩とは対面済みだけど、改めて見ると迫力満点だ。



「ん? あぁ、そりゃあ俺はマフィアの跡取り息子として生まれたし。親父も爺ちゃんも抗争で死んじまったから、俺自身は平和主義者に育ったけど」


「なっ、なるほどデス。(マジもんだった〜!? じゃあもしかして、魔王転生前から日常的に命のやり取りをしていたプロだったの!? すげぇ〜)」



 そしてアスタリア先輩は、魔王転生でギフトを得る前から<聖者の祈り>を使えた、元巫女さん。


 <農民>同盟は、名前だけ聞いていると平和だけど……メンバーの経歴がおそろしく濃い!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜聖者の祈り〜

純潔を守りとおし、"長い間"修行を積んだ聖職者だけが得られるギフト。

ダンジョンの改造阻害や、ダンジョン攻略時のステータスアップなど、熟練度によって叶う範囲が広がる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






「でも、そういえば……残りの御二方とは、僕メールでしかやり取りしていないんですけど、直接伺って挨拶しなくてもいいんですか?」


「えっ? うん、アイツらは"真性の引きこもり"だから大丈夫。というか、そもそもギフトの制約のせいでダンジョンから出られないし」



 うわっ、そんなパターンの制約もあるのか!


 ガルガロクが強力なギフトを得る代わりに、ものすごいブサイクになる呪いをかけられて、男としての人生を終了させられたのは、僕も知っているけど……


 ダンジョンから出られない「強制:引きこもり」の刑とか、適性ない人間がくらったら、精神を病んで自殺しちゃいそう。



「ふふふっ。<憤怒のダンジョン>を治めるゴーブルは、職人気質のドワーフだから、鋼さえ渡しておけば何百年引きこもっても病まないよ」


「ですね。<不死のダンジョン>を治めるルノーブルも、己をアンデッド化したことで時間感覚がなくなっちゃったから、引きこもり生活程度じゃ病まないし」



 うおぉ……残りの先輩達も、ちょっと聞いただけで「メチャクチャ濃い」のが分かる。


 というか、種族違いを飛び越えてアンデッドになっちゃった先輩までいたんですね……凄すぎます。






「そうそう。折角だし、今夜はゴーブルとルノーブルの話でもしようか? (助かった〜。これで、武装農民時代の黒歴史がバレずに済む)」


「えっ? 僕、モンティート先輩が若かりし頃の武勇伝を聞きたいです! 武装農民と呼ばれていた頃の!」


「グスン!」



 あっ……スティーブが好奇心を爆発させて、悪気なくモンティート先輩を地獄沼へ蹴り落してしまった。


 先輩のバツが悪そうな顔を見て色々察した、アスタリア先輩とナーティー先輩も、ものすごくいい笑顔をしているし……


 今日は夜がふけるまで、「昔話」という名の「モンティート先輩の尊厳破壊」がおこなわれるんだろうなぁ。



「勿論いいわよ♪ スティーブ君に、若かりし頃のモンティート先輩の武勇伝をたくさん教えてあげる! すごくカッコ良かったんだから♪」


「俺も、酒を飲んで口が軽くなっていたところなんだ。どんな黒歴史だって、悪気なくペラペラ喋っちまうぜ!」


「アスタリア、ナーティー、お願いだから手加減して! お爺を虐めすぎると、<農民>同盟3人目の引きこもりになっちゃうよ!」

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
たまに絶妙なタイミングで広告が載る事がある。ワンピースのルフィの祖父ガープが出て「ナーティはこういう感じ?」とおもった。
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