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489話 団欒の時間


〜メグミside〜




 サーシャが僕を労わりつつも、頼りにしている感を出して立ててくれているのが分かり、すごく嬉しい。


 女は黙って男の三歩後ろを……なんていう、化石じみた男尊女卑論を語る気はないんだ。


 だけど彼女が、僕のためを思って動いてくれたという事実が、心に癒しをくれてさらに愛が湧いてくるし、僕も彼女のために……と思えるんだよ。



「ねぇサーシャ。折角だから、僕とお揃いのお肉を食べようよ。ニオイとか気にせず、ガツンとニンニクを効かせた肉を腹一杯食べたかったんだよね〜」


「ふふふっ、メグミ君らしいね。うん。そうしようか」



 だからサーシャの評価を下げぬように、僕に付き合わせるカタチで、彼女が食べたいお肉を選べるよう誘導する。


 女の子って、別にウサギみたいに年がら年中葉っぱを食べている訳じゃなくて、普通にお肉とか好きだからね!


 自分磨きの一環として、ダイエット目的で野菜を食い倒しているだけで、その気になれば僕等と同じ肉食獣になれるのだ。



「うわっ、このハンバーグ美味しいなぁ〜。さすがサーシャちゃん。前から思っていたけど、お料理上手だね」


「正直、執事として諸々の教育を受けた僕より上手いと思います。メグミ先輩が、ガチで羨ましい」



「ふふふっ。先輩もスティーブ君も、お上手ですね〜。おかわり自由なので、足りなかったら遠慮なく言ってください」


 もちろん女性ならではのプライドで、自分のカレーハンバーグが僕等のより一回り小さかったり、先輩達の前では令嬢仕草を崩さなかったりと……


 サーシャにも事情はあるし、僕もそれについて突っ込むことはない。



 ロルカナみたいに性欲一色で読みやすい奴ならともかく、サーシャの乙女心は複雑なので、薮蛇になってもいけないからだ。


 もし分からなくても、二人になった後でコッソリ聞けばいいだけだし、サーシャの献身を仇で返したりしないよ。






 サーシャの接待に満足して、やる事を全て終わらせたモンティート先輩と、さすがに慣れて、全身カチコチ状態から解放されたスティーブは……


 ココアを飲みながら、<農民>同盟が成立した頃の話を聞かせてもらった。



「〜〜〜〜〜〜〜〜〜って事でね、僕等<農民>同盟はボッチが集まってできたんだ。昔は、マジで殺伐としていたんだよ」


「うわぁ〜、それ笑えないやつですね」



 魔王が「当たり前の存在」として認知された現在とは違い、1期のモンティート先輩が魔王転生した頃は、人間にとって「完全な異物」だったため……


 魔王に対する風当たりも現在よりずっと激しく、調子に乗って少しでも目立った魔王は、危険生物扱いで即座に軍隊を送り込まれて潰されたそうだ。



「ほら、現在は300人前後だけど……初期だからさ。50人もいないじゃん。魔王一人当たりに割ける人間のリソースも、何倍も多かったんだよ」


「なるほど。そりゃあ、イキがる新人は全滅しますね」



「そうそう。結果として、ダンジョン内で農業に励んだり人を襲わずに稼ぐことに特化した僕等が、相対的に成長してトップになっちゃったわけ」


「ふむふむ」



「もちろん反発もあったよ。魔王のくせに人間と戦わないなんて、軟弱者だ! とか……。旨味だけ吸う乞食魔王とか……色々言われたなぁ〜」


「そりゃあ、自分と違う方針で成功している人を見ると、自分がやっている事を否定された気になって、つい酷評したくなっちゃいますもんね」



「うん。だけど戦いで疲弊してロクに成長できない魔王が何を言っても、平和な環境でじっくりとダンジョンを育てた僕等には敵わない」


「はい。そうでしょうね」



「そのうち、ボロクソ言われている上位同士で連むようになって、相乗効果でさらにダンジョンを成長させてさ……。何も言われなくなっちゃったんだ」


「なるほど」






 つまり<農民>同盟の先輩方は、今でこそ魔王掲示板で暴れたりしないけど、昔は散々叩かれたりネタにされてアンチ慣れしていた……と。


 そりゃあ、ちょっと勇者排除派に何か言われた程度じゃ動じないわけだ。


 耐性の塊である古の戦士に、掲示板上でしかイキがれない二流魔王が敵うはずなどない。



「ところで先輩。以前アスタリア先輩から伺った、武装農民伝説についても詳細を聞きたいです!」


「ブフォオッッ!!!! それはダメ。勘弁して〜!」



 モンティート先輩のいいくちだと、「のんびりポイントを貯めていたら、いつの間にか周りが勝手に没落して、最強になっちゃいました〜」という……


 チート小説でありがちなテンプレ展開を地でいった感じだけど、実際には先輩って元冒険者で、武装農民として鎌を振り回す暗黒時代があったんでしょ?



 平和に……と言いつつ、冒険者時代の知識をフル活用して侵入者を罠にはめ、食人花みたいなダンジョンを創っていたらしいじゃないですか。


 その名残で、農民テイストなのに<欲望のダンジョン>なんていう厨二病感満載のダンジョン名が残っており、人々にも畏れられていると伺いましたけど。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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