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479話 ブラックに振り切った仕事環境


〜メグミside〜




 僕とモンティート先輩の主力部隊が、ダンジョン崩落に巻き込まれるという、予想外の出来事が起きたことで……


 味方サイドのメンバーは皆忙しく動いているため、全ての連絡が僕にきて頭がこんがらがりそう。



 正確には、僕じゃなくて「モンティート先輩に指示を仰ぐメール」が集中しているだけなんだけど、先輩は老眼に悩まされるお爺ちゃんだからね。


 僕が本文を要約してショートメールで先輩の判断をあおぎ、返事を失礼のないように文字化して端末に打ち込み、関係各所へ返さなければならないのだ。



 何がヤバイって、これを事件現場へ向かいながら行わなきゃならない事だよ。


 <欲望のダンジョン>経由でナーティー先輩のダンジョンへ向かい、先輩の眷属さんに護衛してもらいながらの移動とはいえ……


 外に出ている以上、僕自身も最低限の警戒をしないと狙われたとき危ないし、足場が揺れた状態で端末を見ているから酔ってゲロ吐きそう。



<−−− ドスドスドスドスドスッ!!!! −−−>


 僕を乗せて爆走しているロックドラゴンさんは、防御力と結界の構築に長けているうえ、土属性のモンスターにしては移動速度も速いエリートモンスター。



 だけど背中に乗っていると、ロックドラゴンさんが走るたびにお尻がバウンドしてしまい、尻餅をついている状態になるのだ。


 僕は回復魔法の使い手だから、常時ケガを治すことで「痛い」で済んでいるけど、もし普通の人が乗っていたら大痔主になっていたと思う。



 もちろんナーティー先輩も、魔王ランキング2位のエリート魔王だから、生物を格納できる亜空間持ちのモンスターだって揃えている。


 だけど彼等は"空間特化"ゆえ足が遅く、今回のような救援要請では先行できないため、後発組として緩々と進んでいるのだ。



 ゆえに、モンティート先輩から「急いで現場へ向かい自販機を設置して」と言われた僕は、彼等と共に旅することはできない。


 連続尻餅で半ば拷問を受けながら、グラグラ揺れる視界の中で端末に文字を打ちこみ、胃酸が込みあげたら無理やり飲みこむ定めなのである。






<−−− ドスドスドスドスドス……ズズズゥ〜〜〜〜ッ! −−−>


「メグミ殿。我はここで休むゆえ、一足先に出ていた別のロックドラゴンに乗り換えて先へ進んでくれ。貴殿の無事と任務完遂を祈る!」


「ありがとうございます。僕だけ先へ進んでしまい申し訳ないのですが、急場ゆえお言葉に甘えさせてもらいます」



 速さと頑丈さが売りのロックドラゴンといえど、水場では多少休憩をとらないと、トータルの進行速度が遅くなるため……


 僕をここまで運んでくれた方は、ここで2時間の休憩をとるらしい。



 だけどナーティー先輩の計らいにより、僕は一足先に移動を始めた別のロックドラゴンに乗せてもらい、先へ進んでもいいそうだ。


 当然、彼等の都合に合わせるため……僕の休憩時間は3分。


 トイレを済ませて水筒に水を汲んだら、即出発である。



<−−− ドスドスドスドスドスッ!!!! −−−>


「(うおぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜〜っ!! ケツが壊れる〜〜〜〜〜〜っっ!!!!)」



 モンティート先輩いわく、ナーティー先輩は気の利く魔王であり、この先も僕のために「休憩ゼロで乗り継げるモンスター」を用意してくれているとのこと。


 崩落に巻き込まれて閉じ込められた配下がいる以上、一刻も早く現場へ到着させてくれるのは、ものすごくありがたい事だが……


 唯一、僕のケツ事情だけがカケラも考慮されていなかった。



 これだけ肉体に刺激が加えられれば、いくら徹夜したところで眠くなることなんてないし、自販機さえ現場に置けば僕は半分"用済み"なので爆睡できる。


 食事も(ウッカリ舌を噛んじゃうリスクさえ恐れなければ、)一応とれるんだけど、乗り心地だけが致命的に悪いのだ!






 とりあえず、逆恨みでふざけたマネをしてくれたガルガロクに地獄を見せなきゃ気が済まないので、巻き込まれたモンスターの全員生還は必須。


 そのうえでダンジョン跡地に、ガルガロクの黒歴史と汚姿を刻んだ石像でも建てて、永遠に存在を貶めてやろう。



<−−− ドスドスドスドスドスッ!!!! −−−>


「(あっ、着地ミスって尾骶骨が逝った。回復魔法で治そうにも、治療より次の衝撃の方が早くてイタチごっこだな。尾骶骨よ、サヨウナラ)」


 現場について自販機設置の任務を完遂したら、時間をかけて完璧に治してあげるんで、それまで暫く砕けていてくれ。



「(ウガァ〜、メールの通知アラームが鳴り止まない! 一度も休まずに返信しているのに、もう50件以上溜まっているよ〜。キツイって!)」


 とはいえ……こんな状態の僕でも、老眼鏡でピントを合わせながら緩々対応する、モンティート先輩よりは早く仕事できるのだ。



 もう勇者排除派は全員死んでいるのだから、サーシャに委託すればいい気もするが、彼氏として「尻がキツイんで無理。ヨロシク」とか言いたくない。


 なんとか気合と根性で耐えきり、生きて現場に到着して自販機設置任務を完遂させ、落ち着いてから「カッコイイ彼氏」として協力要請しなければ!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 自販機で低反発かナノビーズのクッション買って!
[良い点] ガルガロクのせいでダメージを受けただと…! なお、張本人は全く意図してない形の模様。 [気になる点] ぶっちゃけクッション作らんの? それこそテングンから奪ったゼリー化能力使って硬さ調整…
[一言] 思えば排除派ってちゃんとメグミたちに精神的ダメージは与えてるんだよな…
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