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478話 縁の下の力持ち




 メグミとモンティートの配下達が、崩落に巻き込まれた危機を共に乗り越える過程で、親睦を深めている頃……


 モンティートからヘルプコールを受けたナーティーもまた、先発隊からの報告を受けて、移動中の本体へ指示を出していた。



「現場からの報告によると、<毒炎のダンジョン>跡地は通常より何倍も穢れているらしく、ダンジョン全体に"死者の呪い"がかかったようだ……とのこと」


「無理もない。逆恨みで、道連れをつくるために自刃した愚かな魔王のせいで、奴の配下は戦って殉職することもできず消滅したのだ。無念だっただろう」



「そうですね。モンティート殿・メグミ殿の部隊を同士討ちさせるためだけに、捨て駒にされたり、卑怯な誘導の手伝いばかりさせられていたみたいですし」


「ハァ〜。ダンジョン所属のモンスターが、無念すぎて浮世に留まってしまう事は滅多にないが、恨みが強ければ多少は穢れとなって残る。気の毒な話だ」


「ごもっともです」



 魔王ランキング2位のナーティーは、モンティートと同じ土属性の魔王だが、主力モンスターの2割をアンデッドにしている。


 彼のダンジョンは岩場にあるため、水と食料の交換レートが高く、<農民>同盟結成以前に「無理なくモンスターの食費を削る」ために……


 ご飯を食べないスケルトンやレイスを量産した、名残だ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


第2位:逆転のダンジョン

属性:土

魔王:ナーティー(3期)

保有ポイント:3946,2274,6283


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 そのためナーティーは、他の魔王よりも「恨みが引き起こす事象」について詳しく、<毒炎のダンジョン>を潰したガルガロクおよび……


 その自爆攻撃に巻き込まれたモンスター達の心情も、おおよそ理解できていた。






「穢れは、モンティート先輩が自分で処理するんだよな?」


「はい。大精霊のネットワークを通じて、近場の精霊に協力を呼びかけているみたいなので、明日の朝には"清らかな状態"に戻るかと」


「そうか。我等の力が及ばない、雨水による"被災組"の水没がやや心配だが、それ以外の問題は何とかなりそうだな」



 ナーティーの目から見ても、ガルガロクは「自称:次期エースの老害」であり、彼の最後っ屁で、格上のモンティートが潰れるとは思っていない。


 魔王ランキングで唯一「自分より上位の先輩」である、モンティートに対するナーティーの信頼はすさまじく、モンティートから救援要請を受けたときも……



 「また逆恨みされたのか。先輩の配下なら、放っておいても自力脱出できそうだが、今回はメグミ君も巻き込まれているからな。念のため手伝うか」と……


 モンティートではなく、もしかしたら大ダメージを受けてしまうかもしれない、メグミを心配しての即許諾だった。






「ところで、サーシャ殿はどうしている? 勇者排除派がクソみたいな噂を流したせいで、メグミ殿との密会も減ったそうじゃないか。嘆いておらぬか?」


「そうですね。<集金箱のダンジョン>自体は、いつものように"学習しない冒険者"に襲われて、逆に奴等の身ぐるみを剥ぎ追い返しています」



「ふむ。魔王掲示板で暴れた様子もないし……サーシャ殿は、アリスやロルカナとはちがい"上品な淑女"だ。きっと、メグミ君に配慮して過ごしているのだろう」


「そうですね。アスタリア様経由で、サーシャ様のお気持ちを慰めるために、フルーツの盛り合わせを贈っておきますか?」


「あぁ、そうしてくれ」



 しかしナーティーは、モンティートを信頼していると同時に、彼の「女性への配慮不足」もよく理解しており……


 若手ゆえ、対処で手一杯になっているだろうメグミと、モンティート&スティーブの組み合わせでは、サーシャのフォローまで気が回らないのも察していた。



「ヘタに気を利かせて、その気もないのに浮気を疑われても困るからな。アスタリアが贈った体にしておくよう、アイツにも伝えてくれ」


「かしこまりました」






 <農民>同盟で一番目立つのは序列一位のモンティートだが、縁の下の力持ちはこのナーティーである。


 武装農民だった昔のモンティートが、黒歴史を量産しても、<農民>同盟が生き残れるよう陰日向で支え続け、そのうえで自身のダンジョンもきちんと育成。



 ダンジョンの立地に恵まれないのと、ナーティー本人に野心がないため、目立たずそっと2位に収まっているが……


 もし彼にガルガロクのような野心があれば、モンティートを喰って1位になっていたかもしれない。



「ところでご主人様。モンティート様から、"ロルカナの遺産の分け前"が届いておりますが、どうなさいますか?」


「オゲエェェェェッッ!!!? 今すぐ周辺住民へカンパしてこい! お前達がオヤツを買うのは自由だが、間違ってもダンジョン内にソレを入れるな!」



 なお……ナーティーはモンティート以上に潔癖で、「資産には色がついている。キモい金など要らん」と主張するタイプなので……


 たとえ野心があったとしても、清濁合わせのめず、それが原因で出世競争に敗れた可能性は高いが。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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[気になる点] 炎属性魔王のゴーブルとまだ名前も出てない<農民>の風属性魔王はどういった魔王なのだろう?
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