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474話 リーダー<土龍>




 メグミとモンティートが、魔王ランキングを見てガルガロクの死を知り、対応を始めた頃……


 ダンジョンの様子がガラリと変わり、洞窟の天井が嫌な音を立てているのに気づいた現場のモンスター達もまた、迅速な決断を迫られていた。



「土龍様、たった今メグミ殿からメールが届きました! 魔王ランキングから、このダンジョンを治める魔王<ガルガロク>の名が消えたようです」


「そうか。ほぼ詰みじゃったし自刃しても不思議ではないが、この状況はちとマズイのぉ〜。其方等、今すぐ五芒結界を張れ!」


「「「「「はっ!」」」」」



 現場の指揮をとっていた土龍は、土と相性が良いSSランクモンスターで、ベテランゆえモンティートの魔王業を代行することもある。


 ゆえに多少はガルガロクの考えも読めており、「自らの命と引き換えにダンジョン内にいる敵を道連れにしようとした」ことも察せた。



 そのためダンジョンの崩落で全滅せぬよう、全員に広い空間へ移動するよう指示を出し、そこへ五芒結界を張って取り急ぎガードを固める。


 五芒結界は特段強い結界じゃないが、この結界を軸として精霊や上位モンスターが内側から結界を重ねがけすれば……


 ダイヤモンドが生まれるような地中深くに放りこまれない限り、潰されることのない強力な防御結界を組むことができる。






「土龍様、メグミ様から再びメールが! マスターからの指示にございます!」


「…………! はよぅ言え」



「はっ! 亜空間を持つモンスターの腹の中に、自衛できない弱いモンスターを入れて保護しろ……とのこと。現場の指揮は、土龍様に一任するそうです」


「分かった。おぃ其方等、聞いていたか? 今すぐ亜空間内の食料を結界外へ出して空間をあけ、弱いモンスターを中へ入れるのじゃ!」


「「「「「「「「「「かしこまりました」」」」」」」」」」



「(土の中に閉じ込められたとすると、真っ先に捨てるのは食料および安物の素材。儂等のようなモンスターは、数日食わなくても普通に動けるからな)」


 わざわざ捨てずとも、結界を広げて一緒に守ればいいと思うかもしれないが、結界の強度を維持するのは表面積が大きいほど難しい。


 ゆえに土龍が張るように指示した五芒結界も、モンスター達がぎゅうぎゅう詰めで辛うじて入れるサイズであり、食料を置いておく余裕はないのだ。



 なお、ガルガロクのダンジョンで狩ったSランクモンスター以上の素材は、暗黙の了解で捨てずに残してある。


 これを捨てると赤字の補填ができずモンティートの懐が痛むし、高級素材はもれなくアイテムボックスに仕舞ってあるからだ。


 アイテムボックスは生物を受け付けない仕様のため、空間をあけても無意味であり、わずかな食料と入れ替えている時間も惜しいのでそのままにされた。






<−−− ガラガラガラガラガラ……!!!! −−−>


「(派手に崩れたな。地下170階の辺り……しかも崩落に巻き込まれてだいぶ落ちたゆえ、ここからの自力脱出はちと難しい。外からの助けが要るな)」



 土龍が張るように指示した五芒結界のおかげで、ダンジョンが崩れて上から岩が降ってきても、現場班のモンスター達が死ぬことはなかった。


 しかしココで、予想外の報告が入る。



「土龍様、精霊からのメッセージです。邪悪なナニカが、ダンジョン崩落の瞬間、結界の核を壊して我等を害そうとしたようで」


「…………ガルガロクの残留思念かのぉ」


 さすがの土龍も、ガルガロクが幽体離脱したうえで肉体を壊したとは思っていないため、"死者の念"と仮定して指示を出す。



「精霊達に伝えよ。多少マナを使うが、頑丈に結界を張って"穢れ"を中に入れぬよう徹底してくれ……と」


「かしこまりました」



 これで直近の安全は確保できた。


 しかし問題は、地中深くの空間にロクな用意もなく閉じ込められた自分達が、助けを待つ間どう命を繋ぐかである。






「(食料は、数日食わずともどうとでもなるから無視でいい。水も、水魔法を使えるモンスターが協力すれば全員分まかなえるであろう。だが問題は空気)」


 土龍が心配するとおり、彼等が閉じ込められているのは地中奥深くゆえ、地上の新鮮な空気が届くはずもなく……


 換気ができないので、酸素不足や二酸化炭素不足で脳をやられてしまう可能性が高い。



 高レベルの風魔法を使えれば、多少は状況を改善できるのだが……


 風属性の魔王であるサーシャは、「モンティートに悪女と思われた」設定になっているため、彼女の配下である風龍もこの遠征には同行していなかった。



「(まいったのぉ。なんとか土精霊に"空気穴"を掘ってもらい、それを使って結界内の空気を循環させるしか……)」


 とここで、土龍も予想していなかったアシストが入る。


 なんとメグミチームのオートマタ達が、マジックバッグから酸素ボンベを取り出し、適宜放出し始めたのだ。



「…………!!」


「潤沢ではございませんが多少の蓄えはあるので、時間稼ぎくらいにはなるかと」


「そうか、さすがメグミ殿じゃ。準備が良いのぉ〜!」

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ガルガロクのアンデッド。 ゾンビみたいな状態だと前述した通り崩落した地中深くからどうやって脱出するねん、って感じだけど、レイスみたいな霊体状態なら通り抜ける事は可能なんだろうか? ま…
[一言] 結果的に危機を前にしたメグミとお爺の配下ズが仲良くなるイベントにされてて草
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