470話 ぼくのかんがえたさくせん
ガルガロクが治める<毒炎のダンジョン>は、その名の通り「毒と炎に特化したダンジョン」で、内部はとにかく熱くサウナみたいになっている。
それに加えて、最低限の明かりしかなく足場も悪いため、実力者でも滞在期間が長くなると体力を削られ詰んでしまうのだ。
「おまけに奴のギフト<呪毒の炎>は、一発浴びるだけで"足手まとい化"確定の呪物だから、結界で炎を防げない侵入者はダンジョン攻略できないだろう」
ちなみに僕は、いくら強力な炎を生み出せるようになれても、絶望的にモテなくなる副作用付きのギフトなんて、欲しくないから自分では乗り込まないよ。
ギフトの副作用で非モテを拗らせた結果、<呪毒の炎>なんか目じゃない程の特級呪物である、ロルカナとしか<ピー>できなくなるなんて……
罰ゲーム同然の人生、歩みたくないもの。
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〜呪毒の炎〜
自身及び配下の炎を浴びた相手は、百種の毒・百種の呪いからランダムで幾つかに暴露し、解毒ポーションを飲んでも最低一日は侵され続ける。
またこの炎で調理した食材や、火を通した水にも呪毒は感染するので、それを飲食した相手にも同様の症状が出る。
ただし術者にも、対価として常に「醜化の呪い」がかかってしまい、絶望的に異性にモテなくなる。
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ちなみに現在の状況だが、僕とモンティート先輩が送りこんだ部隊は、どちらも164階層でウロチョロしている。
この階層は、水蒸気が洞窟迷路全体をおおっていて視界不明瞭なうえ、敵の誘導どおりに進めば、地理的有利な状況で先輩の部隊とぶつかるから……
ガルガロクはここで僕と先輩の部隊をぶつけて、先輩の戦力を少しでも削りつつ、「憎しみあうレベル」まで仲違いさせて撤退させる腹づもりだろう。
「それ以外に打てる手がないとはいえ、たとえケンカしていても、"撤退する前にガルガロクの首をとる"のは確定事項でしょうに。愚かなことだ」
「ふふふっ。人間追い込まれると、余裕がなくなって知能が"お猿さん"になっちゃうからね。もう詰んでいるガルガロクに、そこまで求めちゃ可哀想だよ」
ガルガロクが「ケンカ中」と認識している僕とモンティート先輩は、スティーブが淹れてくれた絶品紅茶を飲みながら、二人で作戦の最終確認中。
奴のダンジョン構造は、ある程度ギルドに情報漏れしており……こちらが入手したマップで迷わず探索できる状況だから、作戦は立てやすい。
「この要塞みたいになっている場所の上に、メグミ君の部隊が来るでしょ? そこにはおそらく、判断力を鈍らせるヤバイ薬が充満している」
「はい。なので現場の主要メンバーには、異世界産のガスマスクをつけてもらい、酸素ボンベも組み合わせて対処させるつもりです」
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〜セレクト自販機(Sランク)〜
以下の店で扱っている物の中から好きな商品を100点選び、ソレ等をいつでも自販機のメニューに並べることができる。
データの書き換えやリセットは、前の商品選択から1日以上経っていないと行えない。
・雑貨屋
・ドラッグストア
・工務店
・スーパー
・武器屋
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<セレクト自販機>の武器屋カタログには、こちらの世界じゃ絶対に手に入らない不思議アイテムがたくさん載っており……
ガスマスクや酸素ボンベも、お高かったけど効果も確かだったので購入した。
致命的な欠点として、商品が"人間サイズ"のものばかりなので、大型モンスターはスライムマスクで代用しなければならないが……
マサルいわく、あちらの世界には意思疎通できるドラゴンなどいないそうなので、商品のサイズが限定的でも文句は言えない。
「ガルガロクの予定では、地理的有利な状況で"敵の部隊"を見つけた僕が、先手必勝と思って仕掛け、取り返しがつかなくなってから間違いに気づく……と」
「そうそう。高い位置から一方的に攻められるウチの部隊は、自力差があってもそれなりにダメージを負い、結果としてメグミ君を恨む……って筋書きだ」
もちろん僕等に作戦がバレている以上、ガルガロクが望む筋書き通りになるわけもなく……
僕の部隊は一気に攻め込むように見せかけて、モンティート先輩の部隊と合流し、そのまま攻略を進めて奴を滅ぼす。
「管理室までそんなに距離もないと思うし、合流したら一気にいくよ! とりあえず目先の目標は、僕等をハメようと頑張る奴の配下の始末ね」
「了解です! 隠れていそうなポイントは、この攻略マップで丸分かりなので、協力して一気に潰しますよ!」
モンティート先輩いわく……ガルガロクは数年前に、ミッション失敗のペナルティーで、ダンジョンの階層情報を公開されたことがあり……
そのときの規模から考えて、現在でも総階層は200階程度だそうだ。
多少の情報公開ペナルティーくらい、ベテランならどうって事ないと思っていたけど、上位プレーヤーに目をつけられると、致命傷になる事もあるんだね。
僕とサーシャも、奴の二の舞にならぬよう反面教師にしなきゃ!
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






