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469話 アイツの遺産は要らないっス




 トキナを始末して、モンティート先輩が待つ<水城のダンジョン>に戻ると、すでにマサルも最悪の状態からは脱して帰ってきていた。


 もっとも……まだロルカナの腐った<ピー>を見せられ、その状態で誘惑された嫌悪感は消えないらしく、ゲロ吐き用のバケツを常備している状態だけど。



「メグミ君。マサル君が持ち帰ってくれた資産の分配は終わったから、そこにある君の取り分を受け取ってくれ。一応、全部"浄化済み"だから」


「分かりました! トキナと奴を捕らえていたマッドサイエンティストからも、たっぷり奪い取れたので、配下が全員戻り次第集計します」


「了解! そっちは特に浄化する必要もないから、急がなくても大丈夫だよ」



 分け前を受け取ったモンティート先輩とナーティー先輩は、ロルカナの資産に直接触れるのが嫌すぎて、その場で全額ポイント化。


 おかげで魔王ランキングのポイント残高が一気に伸び、魔王掲示板でちょっとした騒ぎになったんだけど、彼等は序列1位と2位の猛者だからね。


 正直に「ロルカナ討伐に協力した」と伝えたら、"僕とケンカ中"なのも嘘だとバレちゃうので、スルーを決めこみ騒動を傍観したそうだ。



「このタイミングで、メグミ君まで分け前をポイント化して資産を爆増させると、協力したのがバレバレだから、悪いんだけどポイント化は数日待ってね」


「…………了解っス」



 僕も先輩達と同じく、ロルカナの資産に指一本触れたくないし、<恵のダンジョン>で保管するのも嫌なのだが、こればかりは仕方ない。


 実害が出ないなら、普段よくしてもらっている先輩方に譲るのも、後輩の仕事。



 ダイレクトに<ピー>を見せられて、そのうえ"呪いの資産"も強制分配されたマサルに比べれば、僕の境遇などカワイイものだし……


 ほとぼりが冷めるまで聖結界の中に放り込んで、ガチガチに封印しておけば、ダンジョンを汚染されることもないだろう。






「あっ。資産の保管が終わったら、メグミさんもコッチに来てもらえます? 身体に塩をふって、身を清める儀式を受けて欲しいので」


「それ、召喚される前に住んでいた場所の文化? この世界でも、塩を神聖な儀式に使うことはあるけど、直接身体にかけるのは珍しいね」



「たしかに。この世界には魔法の概念があるから、わざわざ塩で清める必要ないですし」


「あぁ、そうか。そういえばマサル君が元いた場所は、魔法自体が存在しないんだったね」



 マサルが浄化魔法をかけた塩を、これでもかというほど身体にかけてくれたおかげで、僕の精神状態も多少はマシになった。


「(代わりに、服の中まで塩が入りこんでザラザラ・ベトベトだが、精神汚染よりは遥かにマシだ! マサル、僕を清めてくれてありがとう!)」



 彼自身の吐き気が完治しないのは、気の毒なことだが……塩で清められるほど、ロルカナの穢れは甘くなかったということだろう。


 以前彼が、彼女兼パーティーメンバーの3人に裏切られて、女性恐怖症を発症したときのように、時間が経てば心の傷も癒えるから、まぁ頑張ってくれ。






 そんなこんなで、マサルはゲロ用バケツを抱きかかえたまま、<恵のダンジョン>に引きあげていき、<水城のダンジョン>には僕と先輩が残った。


 もうすぐ、お泊まりミッションをこなし終えたスティーブも帰還するはずなので、彼を迎え入れてから勇者排除派ラストの一人……


 ガルガロクに、トドメを刺すとしよう。



 ちなみに……マサルが以前暮らしていた、日本という国の文化である"清め塩"は、役目が済んだら風呂に入って洗い流してもいいそうなので……


 僕とモンティート先輩は、ロルカナの汚姿が脳裏から完全に消え去るのを待ち、精神の安寧を確固たるものとしたあと共に入浴。



 先輩は、粗相しても極力迷惑がかからぬよう個人風呂にしか入らないので、一緒に温泉に浸かって……という訳にはいかなかったけど…………


 風呂場は声が響くため、離れていても会話に不自由はなく、スティーブが帰ってくるまで、それなりに寛いで時間を潰せたと思う。



「なるほど。それでフルーツミルクを飲みながら、バスローブ姿で出迎えてくださったわけですね。安らいでいただけて何よりです」


 <農民>同盟の先輩方のダンジョンを巡って、お泊まりミッションをこなしたスティーブは、気を遣いすぎてあまり眠れなかったのか……


 目の下にクマをつくっていたけど、総合的に見て間違いなく僕等の方がハードな時間を過ごした筈なので、諦めてココでもモンティート先輩を立ててくれ。






「それで……いよいよ、勇者排除派のエース<ガルガロク>を滅ぼすんですよね?」


「うん。現地にいる配下からのメールを見た感じ、そろそろ僕と先輩の部隊がぶつかる頃合いだし、ここから一気に事態が動くよ!」

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[一言] 塩まきすぎ 農民が、スティーブのダイションに集結する事はないのかな? ミッションこなしてたスティーブくんには、分前ないようだけど‥
[気になる点] 80期で生き残ってかつロカルナに関わった(黒歴史)者はこれから地獄だろうな。 メグミやサーシャの様に冒険者・討伐軍・敵対魔王との防衛の経験が少なく、三者から攻略法を学ばず、もうバックア…
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