461話 両者の思惑が一部一致した結果
(ある意味)数多の男から注目され、手紙一つで多くの猛者を動かした、ロルカナはというと……
メグミ達へ報復できる手札を全て使い切った後、出血と痛みによるショックで途絶えそうになる意識を、叫ぶことでなんとか保っていた。
「あのクソ野郎共、絶対に許さない!! この私が、こんな哀れな最期を迎えるなんて、あってはならないの! 必ず、道連れにしてやるんだから!!」
そして外傷により減りゆくHPを、ドンマイポイントで生み出した「HP微回復カード」を多用することで補い、次なる施策を考える。
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〜ハニー・カード〜
蜜月の交わりをもった魔王のギフトを10日間トレースする、特殊なカードを作れる能力。
1回の交わりにつき1枚しか作れないため、カードを量産するには下半身を酷使せざるをえない。
また自らを慰めたときに自然と生まれる<ドンマイポイント>を貯めると、コピーカード等、汎用性が高い低ランクカードを作ることができる。
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ちなみに彼女は、痛覚を麻痺させる系統のカードも保有しているが、さすがにこの状況でそんなモノ使わない。
痛みがあるからこそ、人は「どこが悪くなっているのか」分かるのだ。
延命治療にあたっているオートマタ達が、少しでも致命傷の患部を見逃したら、それだけで寿命が数時間縮まってしまうのだから……
痛みを和らげるためだけに、その見逃しを指摘できる確率を自ら下げるほど、ロルカナの理性は消えていなかった。
そして考え尽くした結果、「オートマタの一体と自分を融合させることで、腹部の機能を代替させ生きながらえる」方針を決めたロルカナだったが……
そこに彼女が待っていた"白馬の王子様"が訪れる。
ロルカナの腐った内臓を浄化できる、強力な聖魔法使いの元勇者<マサル>、その人だった。
もっとも……ロルカナの思惑とは裏腹に、彼はあの汚手紙で地獄を見て怒っているので、ここへ来た目的も彼女を助けるためではなくトドメを刺すためだ。
ゆえに隠すことなく殺気を放っており、ロルカナが治める<美魔女ダンジョン>に突入した途端、全速力で下階層を目指し始めた。
マサルは、一刻も早く最下層へたどり着いてロルカナを自分の手で殺したい。
ロルカナも、腐った内臓を癒してもらうために一刻も早くマサルを迎え入れたい。
目的が違うものの、その過程にある「一刻も早く会いたい」という思いが重なった結果、ロルカナはマサルの元へ迎えの使者を出し……
彼女の不愉快な勘違いを利用してでも、時短することを選んだマサルもまた、使者(=ロルカナの眷属)を殺したい衝動を抑えて誘いにのった。
もしこの段階で、ロルカナがマサルを拒絶してオートマタとの融合作戦を進めていれば、(<ハニー・カード>は作れなくなるが)生き残れたかもしれない。
だがマサルの出現によって、ロルカナの中に「元の美しく色気漂う身体に戻れるかもしれない」という希望が湧き……
その可能性を断つオートマタとの融合を自ら中止したため、人工生物とのキメラとして生きながらえる道は消えた。
<−−− ウィーーーン −−−>
「ご主人様。マサル様をお連れしました」
「来てくださったのですね、我が救世主様。このような姿で申し訳ございません。それもこれも、全ては貴方様が暮らすダンジョンの主にやられたもので……」
極限状態まで追い詰められているため、余裕がなく思慮が浅くなっており、マサルの殺意を見抜けなかったロルカナは、対面するなりメグミへの呪詛をはく。
ちなみに腐った内臓を治療するために、ロルカナは全裸でベッドに寝転がっており、足を閉じる余力すらないため100%「あられもない姿」だ。
腹からはゾンビ臭が漂い、性病でヤバイ臭いも放っている現在の彼女を見て、欲情する男などいないと思うが。
「そうですか。とりあえず、危機的状況をなんとかしましょう。皆さん、少し離れてください。結界を張るので」
「「「「「「「「「「かしこまりました」」」」」」」」」」
治療に協力してくれると思い込んだロルカナは、視線で執事型オートマタに退くよう命じ、治療にあたっていたすべての側近を下がらせた。
それを見て、マサルが結界を張り……同時に召喚魔法で、ナーティーの眷属である岩龍を喚びだす。
そう……実は彼はナーティーのところで、彼の眷属達と一時的な召喚契約を結び、決定的な場面でのサポートを頼んでいたのだ。
「え…………っ?」
「大人なんだから現実を見ろよ。誰が、あんな不愉快な手紙を寄越したババァとヤるために、こんな場所まで出向くかっての」
そしてSSランクモンスターを喚び寄せることで、あっというまにロルカナのいる「ダンジョンの管理室」を占拠したマサルは……
岩龍にダンジョンコアを握らせて、いつでも砕ける状態にしたうえでO・HA・NA・SHIに入った。
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






