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458話 精霊に好かれる者


〜マサルside〜




 断じて俺のせいではないけれど、俺のとばっちりで酷い目に遭わせてしまった二人の、安らかなる今後を願っていると……


 穏やかな初老の爺さんが、「じゃあ早速だけど転移陣の利用登録を始めるよ」と促してきた。



 まさか、こんな性格の良さそうな爺さんが最強魔王なんて……信じられるか?


 まぁ<欲望のダンジョン>は、その難度もさることながら「地域住民の協力が得られず、討伐が難しいダンジョン」としても有名だったので……


 人心掌握が上手いカリスマなんだろう、とは思っていたけど。



「魔法陣のこの部分に、血とマナを捧げるんだ。容赦なく持っていかれるから、途中で飲むポーションも用意しておいてね」


「分かりました」



 転移陣は魔王だけが使える機能なので、俺も詳しくは知らないが、<恵のダンジョン>から<水城のダンジョン>へ移るとき使ったものと……


 <欲望のダンジョン>へ行くのに使うものは、利用条件が全然違うらしい。



 血やマナを捧げる行為は、最悪の場合"騙されて奴隷落ち"みたいなパターンもあるため、慎重にならざるを得ないのだが……


 魔王<モンティート>の周りには、現在もフワフワと精霊が群がっており、それだけで善良な人間と分かるため、信用がおける。


 闇属性以外の精霊は神聖な気を好むので、快楽殺人者や極悪人には近付かないのだ。






「うわっ。この陣、エグい量の血を持っていきますね〜。まさか樽が消えるとは思いませんでした」


「アハハハハ。製作時に登録すれば多少優遇されるけど、それでも人によっては辛いみたい。このダンジョンのマスターも半泣きだったし」


「へぇ〜。魔王も苦労しているんスね〜」



 モンティート爺さんに言われるまま血を捧げ終わると、メグミさんが皿いっぱいの卵サンドイッチを持ってきてくれた。


「旅立ち前の腹ごしらえにどうぞ。(サーシャがお前のために、手作りサンドを作っちゃったんだよ。それは全部僕が食べて、代わりに僕が手作りしたが)」



 心なしか嫉妬混じりの副音声が聞こえた気がしたが、モンティート爺さんに付いている精霊はメグミさんも好みらしく、ツンツンと突かれており……


 懐かれるのも時間の問題という感じなので、きっと彼もイメージ通りのいい人だし、今聞こえた声も幻聴か何かだろう。



「ありがとうございます! 血は貯めておいた分で賄えたけど、マナをだいぶ持っていかれたんで、飯食って補給させてもらいますね!」


「はい。遠慮なく! (材料自体はサーシャのレシピと同じものを使っているから、安心して食っていいぞ。製作者以外は全部同じだ)」



 あれ?


 また心の声が聞こえたような……ロルカナショックで、俺の頭がおかしくなってしまったのかもしれない。






 やや違和感もあったものの、メグミさんのサンドイッチを全て食べ終えて、転移陣で<欲望のダンジョン>へ行くと……


 一旦目隠しをするよう命じられ、従って十数分移動すると、最初に見た農村風景とは全然違う「厳かな儀式の間」に連れていかれた。



「はい。もう目隠しを外していいよ。メグミ君も、とってOK〜!」


「「了解です!」」



 一見すると、どこぞの宗教団体が金をかけて作った豪華な施設という感じだが、土精霊の数が異様に多い。


 おそらくココは、<欲望のダンジョン>内でも重要なフロアであり、モンティート爺さんにとって「所在地を知られたくない」と思う場所なのだろう。



「ふふふっ。ここは、僕が精霊のために用意したフロアでね。疲れたときは一緒に過ごすことで僕自身も癒される、大事な場所なんだ。ここで"祝福の儀"をやる」


「分かりました。そんな大事な所に連れてきてもらえて、感謝の気持ちでいっぱいです!」



 メグミさんも目をパチクリさせて辺りを見まわし、「精霊?」と不思議そうにしているから、おそらく彼もここへ来るのは初めて。


 しかも彼には精霊が見えないらしく、髪を触られたり引っ張られたりしているのに気付かないという、カオスな状態になっている。






「メグミ君。ついでに君も、精霊の祝福を受けていきなよ。人数にかかわらず手間は同じだから、君もガードをかためたほうがいい」


「えっ? あぁ、そうですね。ロルカナの呪いでまたゲロ塗れになるのも嫌ですし、そうさせてもらいます」



 光・水・草の精霊も混ざっているが、圧倒的に土精霊が多いな。


 逆に火と闇の精霊は一体もおらず、<欲望のダンジョン>にも見た感じ火の気配がない。



 ステータスを隠されているので詳しくは分からないが、おそらくモンティート爺さんは、土特化の魔王。


 そしてサブで光・水・草のチカラも使えて、精霊と相性抜群の能力を持っているのだろう。



「あれ? でも……御二人が現在戦っている、ガルガロクのダンジョンって……火属性でしたよね? モンティートさん、相性悪いんじゃないですか?」


「えっ? うん、相性は悪いよ。だけど相性以上に自力差があるから、特に困ってはいないかな〜」

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[一言] サーシャの勇者への手土産、全部マサルに告げずに恋人が食べてるが、いいのかね〜 マサルは、お礼もできないよ
[一言] サーシャの風精霊シルフィーとノーム、遊べるかな?
[一言] サーシャ「‥」
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