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457話 メグミ、元勇者と初対面


〜メグミside〜




「さてと……汚手紙の破壊力でゲロ地獄に落ちて、スレッドに怒りのクレームを書き込んでいる奴は山程いるが、マサルに対する批判はないから良し!」


 スレッドには「つい先程、ウチに滞在している元勇者<マサル>が、魔王<ロルカナ>のダンジョンへ旅立ちました」と書いたが……


 尾行を避けるために嘘をついただけなので、実際の旅立ちはこれから。



 まずは先輩の希望に沿って、彼を<欲望のダンジョン>へ飛ばして精霊達の"祝福"を受けさせ、身を護るチカラを強化する。


 そしてその後、奴のダンジョンに最も近いナーティー先輩のダンジョンから出て、単独で現地へ向かってもらう予定だ。



 ロルカナの手紙を読む限り、いつ死んでもおかしくない状況なので、さっさと彼を現地入りさせないと、直接手を下す前にダンジョンごと滅びてしまう。


 ゆえに今回は、リスクを侵してでも魔王御用達の転移陣を使って、現地の側まで送るという話になった。



 さて……マサルを迎えるために<恵のダンジョン>へ戻り、砂龍と共に待ち合わせ場所へ向かった僕だが……一つ大事なことがある。


 それは、僕とマサルが直接対面するのは今回が初めて……ということ。



 元々敵同士で命を狙われていたから、停戦協定を結び彼の人となりをよく知ってもなお、直接会うのは怖かったんだよね。


 それに僕が死んだら、<恵のダンジョン>に住むモンスターやサーシャも破滅してしまうので、一人の魔王として危険はおかせなかった。



「だけどモンティート先輩の希望だし、僕も"マサルは信用できる奴だ"と思ったから、もういいでしょう」


 直接会って、自ら<欲望のダンジョン>まで彼を案内し、親睦を深めつつロルカナ事件で負った心の傷を慰め合うというのも、悪くない。






<−−− ガチャッ −−−>


「えっと、メグミさんですよね? いつもお世話になっています! こんな糞イベ中になんですが、会えて嬉しく思います!」



「こちらこそ、マサル殿と直接会えて嬉しいです。この度の不幸は心中お察しします。僕等もマサル殿ほどではないですが、被害を受けたので協力しますよ」


「ありがとうございます!」



 <オアシスフロア>の神殿奥にある神の間に来たマサル殿は、やや緊張しつつも人好きする笑顔で手を差し出して、僕に握手を求めた。


 ゴシップ新聞に載っていた写真は、基本的に「美女の胸元に視線が向いている、鼻の下が伸びだダラシない姿」だったが……


 場所柄、ハーレムとは縁遠い清く正しい生活をおくっているため、現在の彼は「精悍な顔つきの好青年」といった感じだ。



 そんな彼に舞い込んだ"外出の機会"が、また「性格クソな女のせい」なのだから、以前パーティーメンバーに裏切られた心の傷まで開き……


 女性に対して嫌悪感を抱くレベルで、トラウマを刻み込まれたに違いない。



「マサル殿。道中で食べやすいよう、<セレクト自販機>で元いた世界の食事を幾つか用意したので、お持ちください」


 そんな彼に「鮭おにぎり」や「一口肉まん」を入れた、マジックバッグの弁当箱を渡すと、メチャクチャ感謝された。


 どうやら女性ショックのせいで、やや精神が不安定になり、「自分に向けられる裏表のない優しさ」に飢えているようだ。






「先程メールでもお伝えしたとおり、ここから後輩が治める<水城のダンジョン>へ飛んだ後、先輩の<欲望のダンジョン>へ行ってもらいます」


「はい。まさか俺が、あの<欲望のダンジョン>へ、敵としてではなく出向くことになるとは……」



 元勇者でダンジョン討伐を仕事にしていたマサルでも、軽く冷や汗をかくくらいには、<欲望のダンジョン>は知られているらしい。


 冒険者ギルドで討伐依頼が出ることはないので、ぶっちゃけ知名度という意味では、悪目立ちしている<恵のダンジョン>の方が上かもしれないが……


 「熟練者に知られる一流ダンジョン」という意味では、圧倒的に<欲望のダンジョン>が有名なのだろう。



<−−− ヴーーーンッ −−−>


「あれ、その子がマサル君? よく来たね〜。<欲望のダンジョン>を治める魔王<モンティート>です! 初めまして!」



「えっ!? あっ、ヨロシクオネガイシマス」


 さすがにダンジョンマスターが、こんなに朗らかな爺魔王だとは知らなかったのか、転移陣で<水城のダンジョン>へ飛んで対面した途端、固まっていたが。



「(クンクン……。上手く隠しているけど、ここもゲロ臭いな。そうか。明るく振る舞っているけど、この人達もあの手紙に呪われたんだな。南無阿弥陀仏)」


「「…………?」」



 その後、同志を見るような目で真剣に見つめられ、再度かたく握手を求められたのだが、この対応の変化はなぜ起こった?


 マサルが来る前に、プライベート空間の片付けはきちんと終わらせたし……先輩もお風呂で心の傷を癒して、笑顔が引き攣る状況は抜け出したはずだけど。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
そういえばこの勇者、匂いで女の子の日かどうか分かるくらい鼻が良かったな
これ勇者がロルカナのギフトを使用する許可を得たとすれば…ギフトコピーの効率が爆上がりだ。暇な時は血で、いいギフト持ちの女の子がいれば囲って毎晩ハッスルよ
[一言] マサルって、孤独だよな マサルの立場になれば、誰かを信仰するほどよいしれたり、依存したり、異性に溺れたりするのは、わかるわ〜
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