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456話 それは手紙じゃない。殺人兵器だ!




 まだガルガロクは、僕とモンティート先輩が仲違いしたと信じているので、このおぞましい手紙は僕の名で晒す。


 いくら他人とはいえ、僕だって多少の情けくらい持ち合わせているから、スレッドは新しく作って、タイトルに「閲覧注意」の文字を入れておくよ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


いや、タイトルで警告しても意味ないから。


散々脅されて覚悟を決めた私でさえ、速攻でリバース&トイレダッシュの地獄におちたもの。


あれと同じ"女"扱いされるの、不味いゴブリン肉を食べることより嫌だわ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 一人で作業するのは危険物すぎて怖いので、メールでサーシャにも共有して、二人で話しながらブツをアップロードしているのだが……


 同性ゆえに僕等よりダメージを受けないと思ったサーシャも、ガッツリ体調を崩してしまい、先ほど「夢に出たらどうするのよ!」とお叱りメールが届いた。



 ちなみに……先輩方のダンジョンで、お泊まりミッションをこなしているスティーブにも、「呪いの手紙」を共有したところ……


 アスタリア先輩が速攻でお祓いを始めたと、返事があった。



 僕等と違って、執事の家柄出身だからかスティーブは軽い眩暈程度の症状で済み、アスタリア先輩に「鋼の心臓」と称えられたそうだ。


 まぁ彼が仕えるはずだった上級貴族は、基本的にクズで自分のことを神か何かと勘違いしているナルシストばかりなので、強心臓なのも無理はない。



 今後似たような特級呪物が届いた際には、まずスティーブに開封と初読みの儀を任せて、汚染度合いを確認してもらい……


 余計な犠牲者が出ぬよう、取り計らうべきだろう。






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


1 名前:メグミ(78期)

 つい先程、ウチに滞在している元勇者<マサル>が、魔王<ロルカナ>のダンジョンへ旅立ちました。

 僕の助っ人ではなく、単にロルカナが彼にとんでもない手紙を送りつけて、それを読んだ彼が「〆ずにはいられない」と自発的に動いたものです。


 この先は、ただひたすらに悍ましい文字列が並んでいるので、読まれる方は覚悟を決め、いつ嘔吐してもいいようバケツを用意してからご一読ください。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


マサル君、初めましてm(_ _)m


君は私のことを知っているかな?

魔王<メグミ>に虐げられ、女としての尊厳を踏み躙られたあげく、秘密裏に葬られそうになっている魔王<ロルカナ>といいます( ; ; )


こんな事を急に言われて困るかもしれないけど、私を助けてくれる王子様は、正義感の強い貴方しかいないと思って、手紙をしたためました。


マサル君は知っていますか?

貴方が滞在している<恵のダンジョン>を治める魔王は、今年だけでも10名近くの魔王を殺し、私のようなか弱い女にも牙を突き立てるゲスってことを。


私は魔王<メグミ>に、お金を奪われ……慕ってくれた後輩達を奪われ……そして女としての尊厳と身の安全も奪われて、朽ち果てようとしています。


あの男は、生きながらにして私の身体を腐らせる奇病を埋めこみ、無理やりオークジェネラルを産ませて、私のお腹をグチャグチャにしたの。


毎日眺めて幸福に浸っていた乳飲み子のような肌も、あの男のせいでゾンビみたいに腐ってしまい、見る影もありません。


負の感情がいっぱいでもう死んで楽になりたいけど、か弱い女である私をここまで意地汚く弄んだ魔王<メグミ>の、思惑通り滅びたくはない!


だけど魔王である私には浄化が使えず、手紙を送れる方の中でそのチカラがあり、正義感をもっているのはマサル君だけだった。


お願い、マサル君……知人の悍ましさなんて信じたくないだろうけど、弱き者の声にも耳を傾けて、手を差し伸べてください。


助かった暁には、恩を返すためにどんなご奉仕だってするから!


勇者として世界平和に貢献しようと身を捧げた、貴方の心根と優しさを信じます。


ロルカナ


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 さすがにこれだけ警告したのだから、魔王たちも用心して読んでくれると思っていたのだが……結果は、サーシャの予想が的中。


 「ただの手紙だろう?」と甘く見た連中は、その毒牙がモンティート先輩に届くほど鋭いと知らずに、晩酌中エールを飲みながら一読し……


 あまりのおぞましさに、半分以上の魔王が「修理代がメチャクチャ高いモニター」にゲロをぶちまけ、中にはトイレに駆け込みそびれた猛者まで現れた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


2 名前:ロックバード(65期)

 いやメグミ君、こんな殺人兵器を公の場で晒さないでよ。

 要約文でいいじゃん! 要約文で!


3 名前:ミオラ(69期)

 そうよ!

 というか皆様……世の中の女が全員、こんな怪文書を書く妖怪だと思わないでくださいね!

 大半の女性は、旦那を支え子を慈しむ善良な生き物ですから。

 断じて、このババァとは違います!


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 そして、スレッドも一瞬でカオスな状態になる。


 被害報告する男性達と、「このキチガイ婆は特別だ。普通はもっとマトモ!」とロルカナを切り捨てる女性陣。


 その中に、マサルの突撃を咎めるものは誰一人としていなかった。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[一言] 「要約文でいいじゃん、要約文で」 要約文作るには、汚手紙の読み返しが必須なんですよ……?
[一言] ここまで被害拡大するとロルカナに称号ついてそう まあ見る余裕なんて無いだろうが…
[良い点] こうして新たな勇者(生贄)が誕生した(待て) スティーブすげーな、おい。 [一言] 何というテロ行為…! ここまで数多くの魔王達を巻き込んだ痛ましい事件があっただろうか!?
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