454話 モンティート、ダメージを負う
マサルが寄越した手紙を読むと、案の定、僕が予想した人物がこの攻撃祭りの主犯だと分かった。
というかさ……手紙を読む前に、「嘔吐に注意。必ず、汚してもいい場所で読むこと」なんて警告を、受ける日が来るとは思わなかったよ。
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マサル君、初めましてm(_ _)m
君は私のことを知っているかな?
魔王<メグミ>に虐げられ、女としての尊厳を踏み躙られたあげく、秘密裏に葬られそうになっている魔王<ロルカナ>といいます( ; ; )
こんな事を急に言われて困るかもしれないけど、私を助けてくれる王子様は、正義感の強い貴方しかいないと思って、手紙をしたためました。
マサル君は知っていますか?
貴方が滞在している<恵のダンジョン>を治める魔王は、今年だけでも10名近くの魔王を殺し、私のようなか弱い女にも牙を突き立てるゲスってことを。
私は魔王<メグミ>に、お金を奪われ……慕ってくれた後輩達を奪われ……そして女としての尊厳と身の安全も奪われて、朽ち果てようとしています。
あの男は、生きながらにして私の身体を腐らせる奇病を埋めこみ、無理やりオークジェネラルを産ませて、私のお腹をグチャグチャにしたの。
毎日眺めて幸福に浸っていた乳飲み子のような肌も、あの男のせいでゾンビみたいに腐ってしまい、見る影もありません。
負の感情がいっぱいでもう死んで楽になりたいけど、か弱い女である私をここまで意地汚く弄んだ魔王<メグミ>の、思惑通り滅びたくはない!
だけど魔王である私には浄化が使えず、手紙を送れる方の中でそのチカラがあり、正義感をもっているのはマサル君だけだった。
お願い、マサル君……知人の悍ましさなんて信じたくないだろうけど、弱き者の声にも耳を傾けて、手を差し伸べてください。
助かった暁には、恩を返すためにどんなご奉仕だってするから!
勇者として世界平和に貢献しようと身を捧げた、貴方の心根と優しさを信じます。
ロルカナ
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「オゲェェェェェ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」
ヤバイぞ、この手紙……ある意味、一番呪われているじゃないか!
鬼畜ババァのくせに女を全面に押し出し、マサルを殺そうとした過去を棚上げして、「か弱いのにイジメられている可哀想な私」ムーブをかますなんて!
マサルの警告に従って廊下に出ていなかったら、モンティート先輩がくつろいでいる寝室で、ベッドにゲロを吐き土下座謝罪になるところだった。
<−−− ギュルルルルルゥ〜〜〜〜 −−−>
「うっ。吐く物がなくなったと思ったら、次は腹かよ! マジで特級呪物だろう、この手紙!」
とりあえず、距離をとった状態でモンティート先輩にも確認してもらい、可能なら"土の精霊"の力で祓ってもらおう。
そうじゃないと、ゲロと下痢のダブルコンボで脱水症状を起こして、死んでしまうかもしれない。
「だけど、この手紙でハッキリ分かった。ロルカナは、僕の仕掛けた腐毒と出産トラップが効いて、現在死の淵に立たされている」
オークキングの子供が生まれる期間は、もう少し長いはずだし不自然なところもあるけど、自らこんな手紙を書くくらいだ。
臓物が腐ってポーションも効かず、出産による腹部破裂との相乗効果で、ほぼ詰んでいると見て間違いない。
「賭けは、モンティート先輩の勝ちか。くそっ、どちらか片方でも引っかかれば御の字だと思っていたのに……ダブルなんて、あのババァ間抜けすぎるだろう」
あ〜ぁ、明日の晩はデザート抜きかぁ〜。
「マスター、どうなさいましたか?」
「えっ? いや、なんでもないよ。とりあえずマサルに、事の経緯とロルカナの状況を伝えておこう。以前、大雑把には伝えたけど……」
気合いを入れて身を守ってもらわないと、死ぬ前に<ハニー・カード>をばら撒き道連れを増やそうとしているロルカナに、殺られかねない。
あれ?
攻撃して相手を殺すことで道連れを増やすとか、ゾンビそのものじゃん。
あのババァ……腹部だけじゃなくて、性根までゾンビになったのかよ。
『オゲェェェェェ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!』
あっ、モンティート先輩がベッドルームで吐いちゃった。
聖気にあふれて呪いを寄せ付けない体質の先輩に、手痛いダメージを与えるとか、あの手紙の呪物度は凄まじいな。
「先輩。腹にも来るんで、一通り吐き終えたらトイレへ移動した方がいいですよ。片付けは僕がやっておくので」
「メグミ君ごめん。油断した……これはキツイわ。目も脳もやられた。オゲェェェェェ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ」
しかし……まさか先輩にこれだけのダメージを与えられる攻撃を、ロルカナが放てるとは……勘違いババァ、恐るべし!
それにしても……先輩の哀れな姿を見ただけで、また内容を思い出して貰いゲロしたくなってきたんだけど……いい加減体調戻ってくれないかなぁ〜。
読んでくださり、ありがとうございます!
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






