451話 使い方を誤ると
〜ロルカナside〜
おかしい、妙だわ。
このところ不自然に体調が悪く、ポーションを飲んでも回復魔法をかけても全然治らない。
それに認めたくはないけど、自分で呼吸するだけでも息が臭く、モンスター共にまでさり気なく距離を取られるあり様だ。
まぁ下僕の分際で、主人を"汚物扱い"したクソ共は、役職をはぎ全員"餌用の肉"として加工してやったけど……
自分でもキツイし、これではフローラルな香水を使っても何の意味もない。
「なにがヤバイって、これじゃあ男と<ピー>できず<ハニー・カード>の恩恵を受けられない点よ。あのクソガキ……ふざけんな、加齢臭と間違えやがって!」
女性への配慮というものを知らず、体調不良による症状を加齢臭呼ばわりした80期のクソガキも、そのままミートボールに加工してやったが……
多少臭っているのは事実だし、早急に対策しないと、カードの補給がままならなくなり将来に関わる。
「そこのアンタ。商人に連絡をとって、大至急"口臭を予防できる薬"を仕入れなさい! あと、体調を改善する薬もよ」
「かしこまりました」
とりあえずはコレで安心だろう。
出所は不明だが……あの薬屋のモノはよく効くし、症状を具体的に伝えておけば、最適な薬を出してくれるはず。
ここ最近、吐き気も酷くてとても毎晩<ピー>できる状態じゃなかったし、それまでは休養と割り切って、傷んだ秘部を休めましょう。
「それにしても、このお腹……なぜこうも膨れているのかしら? カロリー制限はしているから、食べ過ぎって訳でもないだろうに」
もしかして、腹部に病気を患っておりそれが全ての原因なのでは?
「これも薬屋に伝えて、適切な薬を買った方がよさそうね。処理しておきなさい」
「かしこまりました」
ん、お腹の内側から蹴られたような衝撃が……もしかしてこれ、<ピー>のときに避妊をミスって妊娠しちゃったってこと?
「まいったわね。ここまで大きくなると堕胎もできないし、産み落とすまで<ピー>無しとかあり得ないわよ。子供なんて要らないのに」
だけどまぁ、子供だとしたらスペックの高い奴隷として利用できる可能性もあるし、ギフトカードを使えば腹にいる期間も短縮できるはず。
ちょっと身体に負担がかかるから、食事と睡眠をとってから臨まないとだけど、それでおおよその悩みは解決しそうね。
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〜部位加齢〜
対象者の特定の部位を、任意の時間経過させることができる。
ただし能力者と対象者、双方の同意が必要なうえ、死に至るほどの期間"加齢"することはできない。
能力の使用に際しては、対象者の血を供物として捧げる必要があり、加齢期間が延びるほど捧げなきゃいけない量も増える。
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「10ヶ月くらい、お腹の肌年齢が進んじゃうのは気になるけど……顔じゃないから致命的とまでは言えないし、これなら何とか耐えられる」
私にリスクを背負わせて生まれてくるんだ。
子供だからって甘やかされると思うなよ、骨と皮になるまでコキ使って元を取らせてもらうわ!
腹の中でうごめくキモい我が子に殺意を抱きつつ、<部位加齢>で腹部の時間を進めて出産に漕ぎつけた……はず。
しかし私は尋常じゃない痛みを感じ、腹からどころか口から血を吐いている。
おまけに生まれてきたのは、人間や魔王の子ではなく……2mを超える、オークジェネラルの子供……。
これは見るまでもない、化け物が生まれた衝撃で腹が裂けたんだわ。
「おぇっ、臭っ……。なによこの腐臭は……。ゾンビが近くにいる……みたいじゃ……って、えぇ……っ!?」
化け物を腹の中で成長させてしまい、大きさに耐えられなくなった子宮が破裂し、内臓にも甚大なダメージを受けた。
ここまでは私も理解できたし、そばにいる眷属共が大急ぎで傷を治している。
でも私が腹部を見ると……元の艶やかで健康的な肌ではなく、ゾンビのように腐った皮膚と臓物が、グロく散乱し汚臭を放っていたのだ。
「(あり得ない! なにかの病にかかっていて、腹部の時間を無理やり進めたことで、病気も進行してしまったというの!?)」
だとしてもコレ……どう治療すればいいんだろう?
私をこんな目に合わせたオークジェネラルのガキは、生まれてすぐ眷属に身柄を拘束され、誰の仕業か吐かせるために拷問されている。
だけど、破裂どころか腐ってしまった私のお腹は……もう治らないんじゃ……というか、これって私の命もヤバくない?
もしかして、これって私を殺そうとしたもの?
えっ……私って、こんな惨めな最期で果てるわけ?
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






