444話 敵の動きを利用する
〜ガルガロクside〜
「どうする? 多少の兵ならともかく、モンティートが本気で俺を攻めた場合、まず間違いなく俺は負ける」
そもそも相性が悪すぎるのだ!
奴配下の軍勢にはなぜか精霊が多く混ざっており、しかも高い浄化力を持っているため、魔王でありながら勇者よりダンジョンにダメージを与える。
そのうえ<呪毒の炎>で滅ぼそうにも、当たり前のように配下全員が強い結界をまとっているせいで、炎を浴びせることすらできない。
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〜呪毒の炎〜
自身及び配下の炎を浴びた相手は、百種の毒・百種の呪いからランダムで幾つかに暴露し、解毒ポーションを飲んでも最低一日は侵され続ける。
またこの炎で調理した食材や、火を通した水にも呪毒は感染するので、それを飲食した相手にも同様の症状が出る。
ただし術者にも、対価として常に「醜化の呪い」がかかってしまい、絶望的に異性にモテなくなる。
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一応、炎による一酸化炭素中毒は効くので、兵を全く倒せないわけじゃないのだが……
軍にとって一番足手纏いとなる、「生きていてよく喋るくせに、まともに動けない状態の負傷者」を量産できないのは致命的だ。
ゆえに、過去に何度かあったダンジョン外での小競り合いでは、もれなくウチの部隊が負けて撤退を余儀なくされているし……
辛うじて生還したモンスターも精神をやられてしまい、ダンジョン内での雑用係しか務められなくなるという、痛手を被っている。
「マトモにぶつかったら潰されるだけ。ならばいっそ、モンティートの軍勢を利用して立ち回る方がマシだろう」
不幸中の幸いというか……奴と時を同じくして、<小鬼>同盟の2人もコチラへ軍勢を派遣しており……
その規模も、全滅したとて痛くない偵察部隊程度のものではなく、確実にダンジョン経営を圧迫する大軍。
ならばガキ2人とモンティートがぶつかるよう誘導して、気付かぬうちに元仲間同士で戦わせ、ガキ2人の戦力を壊滅させる。
その頃にはモンティートの軍勢も、多少なりとも傷を負うだろうし、なによりモンティート自身の精神にも刃が刺さる……と信じたい。
もしモンティートが精神的に参って倒れれば、いくら現場の兵が強くても、兵のモチベーションが下がって総崩れ状態になるはずだ。
その状態なら俺にも活路があり、戦力の大半を失ったガキ2人ならロルカナとトキナに任せておけば良いので、勇者排除派の勝利も確定する。
「うむ、それでいこう。これしか俺が勝ち残れる道はない! あとは、どうやって奴等を潰し合わせるかだが……」
奴等の軍勢の進軍速度を見ながらシミュレーションをおこない、ダンジョン改造阻害持ちのモンティートが来る前に、準備を済ませる!
「トキナとロルカナにも連絡して、最低限の援軍は送らせないとな。俺の軍勢だけ被害を受けて、成果は3人で山分け……は筋が通らんだろう」
しかし先程から連絡しているのに、なぜ返事がこないのだ?
まさかアイツ等も、俺と同じように厄災に巻き込まれているのか?
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〜メグミside〜
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜って感じで、ガルガロクは動いてくる可能性が高い。だから僕等はそれに乗ったフリをして、ダンジョン内部へ入る」
「了解です!」
「そして戦う直前に、実はガルガロクの企みが効いてなかったという種明かしをして、そこからは共闘だ。それまでは、メグミ君達の力で生き残ってくれ」
「分かりました!」
誤解付きで、ロルカナの企みがバレたとガルガロクに知らせ、奴に「僕等3人を同士討ちさせる策」をとらせるよう、誘導したモンティート先輩は……
トキナ&ロルカナを潰す策も並行しながら、メールで軍勢に指示を送り、僕にもガルガロクの行動予測を共有してくれる。
疑問点も尋ねたら詳しく答えてくれるし、ものすごく学びがある時間なので、サーシャをこの場に呼べないのは残念だ。
僕もサーシャも、すでに先輩への疑いは1%も持っておらず、「合流してもいいんじゃ……」と考えているんだけど……
先輩自身が「ケリがつくまでダメ! 他人を信用しすぎないこと!」と、説教をかましつつ遠慮してくださっているので、この状況が続いている。
他人のダンジョンに、まともな軍勢を送りこむのは初めての経験だけど、先輩みたいに信頼できる方がサポートしてくれて、僕等は本当に幸運だ。
ややイタズラ爺感はあるけど、パワハラ三昧しているガルガロクの支援しか受けられない、トキナやロルカナとは比べ物にならないほど恵まれているよ。
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






