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441話 教え導く


〜モンティートside〜




 メグミ君達が精力的に学ぼうとしていたので、サービスで「蜂システム」も見せたところ、二人とも目の色を変えて真剣に考えだした。


「(うんうん。いっぱい刺激を受けて、自分のダンジョン経営に活かすんだよ! お爺・お婆は肥料にしていいから、グングン育て〜♪)」



 彼等のダンジョンは総じて"汚物まみれ"だから、こういう自然任せの食材作りは危険だけど、応用できる点はあるはず。


 継続してランキング上位にいる魔王は、皆それぞれの特性に応じた安定収入を持っているし、そこをもっと極めてもらいたい。



「僕がダンジョン経営で意識しているのは、いかに無理なくサイクルを回して、それぞれの収入源を相乗効果で伸ばせるか……なの。メグミ君、意味分かる?」


「えっ? 蜂は植物の受粉に欠かせない生き物だし、あの子達を<農村フロア>へ放てば、その手間を半自動化でき楽になりますよね? そういうのとか?」


「ふふっ。そうだよ〜」



「あと……一度蜂に刺されると、次刺されたとき身体の免疫が過剰反応して、ショック死する事もあるので……蜂って意外と暗殺向きです」


 うん、それも「形のないプラスの効果を得る」って意味では正解。



 蜂は外部からの囲い込みなので、洗脳して動かせば、犯人を知られることなく対象者を刺せる。


 そして1〜2年後、ターゲットが抗体をもっているタイミングでもう一度仕掛ければ、ダンジョンの関与を知られることなく始末可能なのだ。



 もっとも……そういう事態になることは殆どないし、蜂に刺されてくれるレベルの一般人相手にしか使えない手なので……


 ダンジョンに不利益をもたらすモメた一般人を、そっと始末するときにだけ使う手段だけど。



「そして先輩が先ほどおっしゃった、5重の利用。正直、ウチでやっているアリの養殖より効率がいいと思いました。さすが、魔王ランキング一位です!」


「アハハハ。まぁ僕も、一応ベテランだからね。まだまだメグミ君には負けないよ〜♪」


「はい!」






 あらら、嬉しそうな顔しちゃって。


 メグミ君は、僕等<農民>同盟が"代替わり"と"永眠"を望んでいたと知っているから、こういうライバル発言をするだけでも露骨に喜ぶ。


 「いずれ抜かしたい」と目をギラつかせつつも、こうやって「生きていて欲しい」と思ってくれているのが分かると、より目をかけてあげたくなっちゃうよ。



 もっとも……彼等みたいな「若くて可愛い子達」を見ていると、眠るより隠居した爺婆として、若者の成長を見守りたい欲が勝つため……


 最近では、以前感じていた虚しさと人生への飽きは消え、「もう少し穏やかな余生を……」とも考えるようになってきたのだが。



「他にもウチは、近隣住民と共存する取り組みとして色々やっているんだよ。たとえば、ダンジョンの広い敷地を利用した"貸し倉庫"とか」


「「えっ!!!?」」



「だってさ、便利でしょ? 自然災害の影響を受けず、盗賊に奪われる心配もない、湿度管理もバッチリの保管庫とか。実際、近隣住民の9割が使っているし」


「「…………!!」」



 ダンジョンに食料を保管するなんて、自殺行為……と他所なら思われるかもしれないけど、ウチはすでに何世代にも渡って信用を築いているから大丈夫。


 食料どころか、現金や季節外れの服、果ては隠し切れなくなったエロ雑誌まで……各自が契約した保管庫に色々と置いており、僕も利用料でウマウマだよ♪






「他にも、脱穀機の貸し出しとか……倉庫に置いてあるものを担保とした、低金利での融資とか……ほんと、色々と……」


「うわぁ〜。モンティート先輩って、メチャクチャやり手のお爺ちゃんですよね。手広すぎてビックリです」


「アハハハハ」



 別に僕も最初から、こんなに手広くやっていた訳じゃないけど……地元民と共存し、ダンジョンマスターとして根付くなかで……


 皆の要望に応えられるよう動いていったら、こんな感じになったんだ。



 だって、冷静に考えてごらん。


 街の高利貸しで借金したところで、帰り道に其奴等と組んでいる悪党に襲撃されて現金を奪われ、返済不能で奴隷落ちさせられかねないし……



 一般市民が持っている程度の物を担保に、金を貸してくれるマトモな組織なんて、儲からないから殆どないじゃん!


 それを考えれば、最悪"質流れ"するリスクはあるけど、それで済むウチのダンジョンから借りる方が、農民達だって楽なんだよ。



「こんな感じで絡み合っているから、近隣住民はウチを切れないし、出入りする商人も実益ベースで押さえている。どうだい? 少しは参考になったかな?」


「「はい! 教えてくださり、ありがとうございます!」」



 うん、二人共いい返事だ。


「じゃあメグミ君……そろそろ僕達は帰ろうか」


 スティーブ君には、ミッション達成のために一晩泊まってもらわなきゃいけないけど、君はそういう拘束とかないもんね♪



「そうですね。スティーブが先輩方のダンジョンでお泊まりしている間に、僕等で勇者排除派をボコッちゃいましょう!」


「オー!!」

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
なるほど…確かにこれは邪神がすぐに方針を変えたわけだ。これは邪神が当初思い描いていたものとは逸脱している。優秀な人材は延々と続く外敵の排除より、お互い信頼は出来ないが信用はできる、ビジネスライクな付き…
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