440話 モンティート流・収益術
〜メグミside〜
保養所のスタッフが入れてくれたお茶を飲みつつ、先輩・僕・スティーブで2階の簡易宿泊所を占拠し、ゴロゴロ。
いつもの仕事に加えて、<恵のダンジョン>の防衛も担ってくれているサーシャには申し訳ないが、草木の香りが心地よく超快適だ。
だが……ただ見学するだけじゃ、学べる範囲なんてたかが知れているし、僕はこの機会にもっと先輩のダンジョン経営術を盗みたい!
「という事で、ウチのモンスター達に地上部とその周囲を探らせてもいいですか? もちろん、先輩配下のモンスターに手は出しません」
「えっ? うん。いいよ」
「ぼっ、僕も学びたいのでモンスターを派遣させてください! 余裕がないので、1部隊しか送れませんが……」
僕が先輩の許可を得ると、すかさずスティーブも許可を求め、学びの機会を得ようとする。
ぶっちゃけ彼のダンジョンに、調査隊を派遣する余裕などないんだけど……学習への投資だし、ギフトで稼いだ金を全ツッパして糧にする気だろう。
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スティーブ(17)
種族:魔人族(魔王)
職業:ダンジョンマスター
HP:2256/2256
MP:2053/3603
スキル:剣術B・身体強化D・水魔法C・物理耐性D・精神耐性E
ギフト:水の職人
その他:称号 (上級パシリ・上級下僕・胃痛マスター)
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〜水の職人(C)〜
HPを半分捧げる代わりに、1日1つ水属性のアイテムを生み出すことができる能力。
アイテムのレア度はギフトランクによって変わり、ギフトランクは能力者の職業ランクと相関する。
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「どうせ調べるなら、先日のケンカで決裂した僕を滅ぼそうと、メグミ君がちょこまか動いている感じで調べてよ。そっちの方が、勇者排除派を騙せるし」
「分かりました! 村八分になって消されない程度に、敵対感を出しつつ調査します!」
サーシャだけ仲間外れにするのも可哀想だし、モンスター同士の接近なら問題はないから、今回の調査には彼女も参加してもらおう。
もちろん<欲望のダンジョン>から、調査団がワラワラ湧いてきたら僕等と先輩が仲良しだって即バレするので、配下は転移陣を使わず現地へ向かわせる。
「<欲望のダンジョン>まで結構距離があるので、派遣するとなると1ヶ月コースですね。早めに指示を出しておきます」
「OK。他の同盟メンバーのダンジョンも、似たような感じだけどチョイチョイ違うところがあるから、後学のために調べておきなよ」
「はい! 先輩方に許可をとったうえで、調査させていただきます!」
僕等の"学ぶ姿勢"を見て気をよくした先輩が、「とっておきを見せてあげる」と、保養所を出て別のフロアにも連れていってくれたので……
スティーブと共に舐め回すように観察し、先輩のダンジョン経営術を盗む。
先輩が新たに見せてくれたのは、ハニービーがブンブンと舞い蜂蜜をつくるフロアだった。
「ハニービーは渦で生み出せるFランクモンスターだけど、ここにいる子達は皆、外から持ちこんだ"お客さん"なんだ」
「あぁ。つまり僕がアリを持ちこみ養殖して、ダンジョンポイントを稼いでいるのと同じスキームですね」
「そうそう。ちょっと違うところは、キャッシュポイントが複数ある点かな。ハニービーは、ハチミツを作ってくれるからね〜」
なるほど。
つまり先輩は、野生のハニービーを捕らえて持ち帰り、ダンジョン内で養殖して増やし、作ったハチミツを売ることで二重に儲けていると。
「いや、五重に活用しているよ。蜂の巣から取り出した蜜蝋は、ロウソクに加工して外部で売っているし、蜂の死骸も肥料にする」
「あっ……」
「そして外敵が来たときは、蜂達に催眠をかけて敵がいるフロアへ誘導し、ウチの配下の消耗ナシで相打ちに持ちこむことだってあるから」
「……………………」
分かっていたけど……このお爺、普段優しいくせに根っこの部分が強かだ!
捕獲されダンジョンへ連れこまれた哀れな蜂達は、子孫諸共、徹底的に搾取されて滅びる運命にある。
「まぁポイント効率だけ見れば、アリの養殖の方がいい部分もあるんだけど、<農村フロア>に蜂の巣を置いたり……色々と使い勝手が良くてねぇ〜」
「なるほどです。(とりあえず、スーパーで売っている蜂蜜を破格で売り捌くのだけは止めておこう。もし先輩の利益を損ねたら、笑顔で〆られかねない)」
スティーブも先輩の笑顔の裏にあるナニカを感じ取ったのか、「似たパターンで、競合にならない品を探します!」と宣言した。
そりゃあ厚意で見せてもらった技術を、まんまパクって先輩の利益を損ねたら、掲示板でのシャレじゃなく本気で排除されかねないもんね。
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






