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437話 後輩の定め


〜メグミside〜




 一般的な男性の肉体から、大樽一つ分の血を一気に取られて死ぬ……事はないと理解できたスティーブは、安堵感から全身脱力。


 レンジでチンした後のお餅みたいにフニャ〜っとなり、安心し切った様子でうたた寝を始めた。



 別にそのまま眠ってくれても全然構わないんだけど、僕の後ろでイタズラ心を疼かせていたお爺様が、ここで悪魔のチョッカイをかける。


「ふふふっ。ちなみにだけど……スティーブ君さぁ〜。メグミ君の血って、魔王とその配下を倒すための武器としても使えること……知っていた?」


「……………………!!!?」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜勇者の聖血〜

数多の魔王をほふった規格外の勇者<メグミ>が、「神聖なる儀式」の場で採取した血に聖魔法をかけたもの。

邪神のしもべであるモンスターに、強い嫌悪感と苦痛を与える効果がある。

効果時間は相手の力量によって変わるが、成熟したSランクモンスターでも、丸一日は<異物感・嫌悪感・恐怖>等に苦しめられる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 まぁ確かに使えるけどね。


 でも今回は使ってないよ……儀式と聖魔法ナシなら、そこら辺の一般人の血と大差ないし。



 モンティート先輩の意地悪でスティーブは再び硬直し、ピクリとも動かない化石になったが、すでに彼の血はほぼ僕の血と置き換わっている。


 一般男性の血液量なんて精々5リットルであり、大樽には1/3ほど血が貯まった状態なので、彼の血はもうほぼ全て樽へと注がれてしまったのだ。






「グスッ! メグミ先輩。僕……殺されるんでしょうか?」


「いや、死なないから。特に痛みとか痒みも感じないでしょ? あとモンティート先輩。後輩イジメすると、アスタリア先輩にチクりますよ」


「ゲッ!? それだけは勘弁! 絶対シバかれるし、ネチネチした嫌味で半日潰されちゃうもん!」



 なら大御所らしくドーンと構えて、置物のように僕等若手を見守っていてください。


 スティーブはまだ修羅場慣れしていなくて、繊細なんですから!



 シュンとなった先輩が正座しつついじけちゃったので、それをスルーしてスティーブに輸血を続けると、樽の血も徐々に貯まっていき……


 数時間経つ頃にはスティーブの石化も解除されて、またお餅みたいにフニャフニャしだした。



「スティーブ君。気を抜くのはいいけど、一応"目上の大先輩"がいる前だから、最低限のモラルはまもらないといけないぞ〜」


「最低限……ですか?」



「コソッ(そうそう。微睡の中でうっかり屁でもこいた日には、後々モンティート先輩にイジられて羞恥地獄に落ちる。最低限、気をつけておけよ〜)」


「コソッ(寝かかった時点で、無自覚になりますもんね。それはマジでダメなやつなんで、気をつけます)」



 この先輩なんで、マジギレされるとかはないだろうけど……実は僕も今朝方やりかけて、内心冷や冷やだった。


 絶対イジられるし、サーシャの前でやらかしそうになった時とは別の意味で、肝が冷える事象である。



「ん。メグミ君。もう血はいいから献血止めて! 一応、スティーブ君に栄養と休息をとらせてあげてくれ。君も一緒に休んでいいから」


「了解です!」






 ヒソヒソ話をしているうちに必要量の血が貯まり、先輩が<血盟の転移陣>設置の準備を始めたので……


 僕はスティーブに、レバーを中心とした「血を補う食事」をとらせ、彼配下のオートマタに引き渡して、別室で休ませた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜血盟の転移陣〜


儀式にて一定量の血を捧げた魔王およびその配下が、互いのダンジョンを行き来するのに使える転移陣。


設置は自由だが剥がすときも同量の血を捧げなければならず、全員分の血を供与しない限り完全解除できない。


また転移の際は、ダンジョン間の距離に応じてエネルギーが必要となり、魔王のHPまたはダンジョンポイントから自動で徴収される。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「なるほど。そうやって全員の血を混ぜて陣を描くことで、登録作業をおこなうんですね」


「そうそう。後から利用者を追加することもできるけど、その際は捧げる血の必要量が1.5倍になる。だから、もしサーシャちゃんを追加するときは……」



「時間をかけて、コツコツ血を貯める方針でいきます」


「うん、そうだね。女の子だし、無理しない程度にコツコツやればいいよ」



 もしスティーブが僕等の会話を聞いていたら、「僕もコツコツやりたかった〜!」と騒ぐかもしれないが、アイツは"野郎"だもん。


 血の負担だってほとんど僕にきたし、「大樽二つ、三つどんと来い!」である。



「よしよし。あとはこれで、スティーブ君の管理モニターから承認ボタンを押せば……OK! <血盟の転移陣>、設置完了! さっそく使ってみる?」


「はい! ぜひ"お試し"したいです!!」

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[一言] 血盟の転移陣 命がけ。使ってるやつ、ほばいないだろ‥
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