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428話 搾取する側・される側


〜モンティートside〜




「ヘクシュィッ!」


「ふふふっ。お鼻ムズムズしたの? 若いとクシャミも元気だね〜」



「すみません。風邪を引いたわけではないと思うのですが……。鼻炎に効く漢方薬があるんで、念のため飲んでおきます」


「うんうん。飲んでおき〜」



 勇者が元いた世界の薬だという、難しい文字が書かれたパックの封を切り、メグミ君はお薬を流しこんだ。


 彼が今使っているのは、「漢方薬」と言われる由緒正しきお薬らしいけど……種類が多過ぎて、説明書が読解できないとどれを使えばいいか分からない。



 だからメグミ君も、<セレクト自販機>で安く買えるにも関わらず、以前は使っていなかったらしいけど……


 <恵のダンジョン>に住み着いた勇者<マサル>が、バイトで読解作業を引き受けたことにより、徐々に利用できるようになったんだって。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜セレクト自販機(Sランク)〜

以下の店で扱っている物の中から好きな商品を100点選び、ソレ等をいつでも自販機のメニューに並べることができる。

データの書き換えやリセットは、前の商品選択から1日以上経っていないと行えない。


・雑貨屋

・ドラッグストア

・工務店

・スーパー

・武器屋


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 しかも漢方薬には、他の薬にない利点があって……この世界の薬と匂いが似ているから、民間へばら撒き金を稼ぎやすいんだよ。


 あまり大々的にやると、薬師ギルドに目をつけられたり強欲貴族が出張ってくるので、今は裏ルート限定での販売だけど……


 それでも収益源の一つに成長したし、経費は「仕入れ代」「商人への報酬」「マサルへのバイト代」のみだから、ローリスク・ハイリターンで儲けられている。






「女性が好みそうな漢方薬もあって、サーシャも好んで利用しているんで、ロルカナ辺りがハマって散財してくれないかなぁ〜」


「アハハハハ。アイツには、"瓶の形状だけ凝った化粧水"とかの方が効果あるでしょう。効きそうな容器に入っているだけで、金貨を落としてくれたりして」



 <農民>同盟はメグミ君のツテがあるから、食料等と一緒に好きなだけお薬も買えて、全く困っていないけど……


 ツテがなくて商人から裏ルートで仕入れている人々は、安定供給してもらえないから大変だろうね。



 メグミ君が仕入れ値の20倍で売っているから、ポーションほど高くはないにしろ、ボッタクられ放題だし……


 真実を知ると、彼等の無知が怖くなってくるよ。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜トキナside〜




『"応報の呪符"設置完了。1枚につき金貨1枚よこしな』


「うっス。(高ぇよ!!!!)」



 基本料金以外にも、何か名目を見つけてはちょこまかと追加料金をせびるロルカナ先輩のせいで、俺の財布には木枯らしがふいたものの……


 先輩は"仕事だけはきちんとやる魔王"なので、2日かけてダンジョン周辺の土壌を全て浄化し、健やかに運営できる状態まで戻してくれた。



 そして現在……


「えっ、マジで!? お肌の調子を整えてくれる薬とか出てんじゃん! アンタ、在庫全部よこしなさいよ!!」


「別にいいっスけど、さすがに手数料を……」


「そんなもん、サービスに決まっているでしょ? 私がキレイなお陰で、<ハニー・カード>の収集効率が上がり、それが今回みたいな窮地を救うんだから」


「…………了解っス。(その窮地を解決してくれた事には感謝するが、俺からは露骨にボッタくったじゃねぇか! ダブルスタンダード甚だしい!)」



 それでも、やる事がなく退屈になったのか、俺のベッドを占領して獣系モンスターを護衛につかせ、屁をこきながら爆睡したガルガロク先輩よりマシだがな。


 護衛ナシじゃ俺等の前で休むこともできない、というのは理解できるけど……毛繕いしまくりの獣を、ベッドの側に置く必要はないだろう!



 そのフェンリル、ボリボリ肌を掻いているし、絶対ノミかなんか飼っているよな!?


 つーか、俺の毛布を敷物扱いしてブロック肉を直置きするんじゃねぇ!


 お前のご主人様(=ガルガロク先輩)は、多少汚くても平気なタチかもしれねぇが、俺は清潔な環境で眠りたいんだよ!






「トキナ。アンタ……目の下に、すっごいクマが出ているわよ。正気もないし、もう少しきちんと体調管理したら?」


「うむ。体調管理も魔王の仕事のうち! 弛んでおるぞ!!」



「うっス。(お前等がストレスを追加するから、安らげるタイミングが何処にもなくて、消耗したんじゃねぇか! クタバレ!!)」


 …………と、言いたい。



 だけど魔王界において実力による序列は絶対だし、戦闘力はイマイチのロルカナ先輩も、怒らせた時の厄介さ……


 というか恐ろしさは折り紙つきだから、しがない後輩の俺は黙るしかないんスよ。



「(あ〜ぁ。なんか最近、ストレスで髪の生え際が気になってきたし、裏で流れ始めた"噂の毛生え薬"も入手しようかな?)」


 いずれにしても、金が足りん!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[良い点] やっぱり… そして裏ルートのお得意様追加かぁ。 [一言] ますますもってメグミの自販機製造の能力がバレたらまずいな、おい。 農民同盟がちゃんと囲い込んでくれるとは思うけど、メリット知ったら…
[一言] まぁ漢方系なら生薬材料だから製法に工夫しただけと言い抜ける事は十分可能ですよねーw
[一言] 以前、スマホでサーシャが調べ物を‥
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