423話 一流の執事とは
〜モンティートside〜
爺のくせして、子供のようにドキドキ・ワクワクしながら、眷属達と共にスティーブ君の後を付いていくと……
見事な内装が施された部屋へ通され、回復魔法師の正装で深々と頭をさげる、思慮深そうな若者と目があった。
「直接会うのは初めてだね。僕はモンティート。メグミ君、改めてよろしくね♪」
「はい。至らぬ点も多々あると思いますが、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」
メグミ君がキラキラした若者なのは、以前から分かっていたからいいとして……これだけ豪華な内装を、あのお財布事情でどう創りあげたんだろう?
あれ?
でもよく見ると、なんだか少し違和感があるような……
「申し訳ございません。メグミ先輩から壁紙や木材を買い込んで、暇なモンスター達と突貫工事で造ったもので、微妙に素人感が残っちゃいまして」
そう言って、スティーブ君は苦笑いしながら壁や天井に目を向けたが、壁紙が目に見えるほど曲がっていたり切れ端が残っている訳でもないし……
その辺の職人を呼んで安い報酬で造らせた、下級貴族の屋敷なんかは、ぶっちゃけもっと酷いので、全然恥じるようなクオリティーじゃない!
「あぁ、なるほど。蝋燭とか魔石を使った明かりじゃなくて、メグミ君が<セレクト自販機>で買った物を使っているから、デザインがこの世界のと違うんだ」
一見貴族屋敷にありそうな豪華なシャンデリアも、僕がよく見た物とは違ってゴツゴツしておらず、全体的にスマートな印象を受ける。
それにしても……
「本当に何でも揃うんだね〜。これだけの内装をまともに造ったら、平民の生涯賃金が3周分は飛ぶよ」
「アハハハハ。確かにそうですね。工務店のカタログを見れば家関連は大抵揃うので、当たり前になっちゃってあまり意識していませんでした」
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〜セレクト自販機(Sランク)〜
以下の店で扱っている物の中から好きな商品を100点選び、ソレ等をいつでも自販機のメニューに並べることができる。
データの書き換えやリセットは、前の商品選択から1日以上経っていないと行えない。
・雑貨屋
・ドラッグストア
・工務店
・スーパー
・武器屋
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「凄い!」って感心すると同時に、あまりに勝者の発言すぎて、「他の子の前では言っちゃダメだよ〜」とも思ってしまう。
きっと才能皆無で選択肢が少なく微妙なギフトしかなかった、数多の「お気の毒な魔王」が<自販機作製ギフト>の汎用性を知ったら……
悔しさと嫉妬心で血の涙を流すだろう。
それなりに恵まれていた僕ですら、もしメグミ君と同世代なら「羨ましい」と思ってしまいそうなくらい、彼のギフトは汎用性が高い。
もしロルカナ辺りがそれを知ったら、拘束したうえで枯れ果てて死ぬまで精を搾りそうだし、お世辞抜きに有用だよ。
「それじゃあ先輩、お食事にしましょうか。今晩はグリーンピース尽くしじゃないから、安心してください!」
「うん。それだけで天国に来た気分だよ〜」
メグミ君が着座を促してくれたので、オシャレな円卓とよく合うイスに腰掛けて、スティーブ君が料理を運んできてくれるのを待つ。
デザイン重視と見せかけて、このイスも座り心地抜群で、爺の腰に配慮された優しい構造になっていたから、疲れを感じることはない。
「お待たせいたしました。本日は、モンティート先輩がお好きだという海の幸をふんだんに使い、やわらかな味わいの8品コースを用意いたしました」
「おぉ〜!!」
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前菜:海鮮カルパッチョの食べ比べ
スープ:フカヒレスープ
魚料理:白身魚のムニエル
口直し:ウニの茶碗蒸し
魚料理2:アワビのバターステーキ
魚料理3:揚げたて天ぷら
デザート:ミニシャーベット3種盛り
食後の飲み物:水出し玉露
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お品書きを見ただけで分かるやつだ、これ絶対に美味しい!!
特に「揚げたて天ぷら」が楽しみかも……「白身魚のムニエル」と「アワビのバターステーキ」は、好物でよくウチのシェフにも作ってもらうけど……
天ぷらって何か難しいし、メグミ君のところで買ったお惣菜のも、衣がヘニョヘニョってなっていて、聞いていた感じとちょい違うからさぁ〜。
「どのメニューもおかわり自由ですので、ご希望があれば遠慮なくお申し付けください」
でもそうか、一流の執事って天ぷらも自分で揚げられるんだね。
ウチのオートマタもココで研修を受ければ、同じように揚げられるようになって、僕が作った野菜をさらに美味しく調理してくれるようになったりして♪
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






